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思考がととのう考え方やリサーチに関する情報をお届けします。UX Research, Design, HCI, IxD, 思考の整理などで仕事をしています。企業、大学、フリーの三輪で実践も研究もしています。

マガジン

  • 考えがととのうマガジン

    状況に合わせて、自分の考えをスムーズに巡らせるための考え方を紹介しています。考え方はたくさんあって、自分に合う合わないものがあります。まるでサプリのようなものです。色々試しながら自分に合うものを見つけていきましょう。

  • リサーチの経験知

    自分がリサーチのデザインなどで意識していることをまとめます

  • 習作AI小説

    AIを使って、世の中の人が気づきを経て前を向いて歩める作品を作ること。

  • 日々のデザイン

  • 生活のデザイン

最近の記事

善意の罠を乗り越えるために、インタビューで使える5つの深掘り質問

一問一答式のインタビューで、調査協力者がフラットに回答することは難しいものです。多くの場合、調査協力者は自分の意見を言葉にするのが難しいですし、また調査者に配慮して自分の考えを直接的に表現することをためらうこともあります。そのため、インタビューワーとしては、対話を深め、答えを引き出すために積極的に質問をすることが求められます。 具体的な例として、ある新しいアイデアやサービスに対して「良いですね、使ってみたい」といった当たり障りのない肯定的な答えが出たとして、単に相手が調査者

    • ユーザー調査の結果を活かすための、ユーザー以外を理解することの大切さ

      ユーザー調査では質的データを扱うことが多いです。質的データは、新しい気付きや学びを得ることに使えるデータで、プロダクト開発における段階で、解決策などの仮説を立てる前に必要とされます。なお、仮説が明確にある場合には、それを裏付ける量的な調査が用いられます。ディシジョンメイカーは、自身の仮説を持っていることが多く、そのために量的データが好まれることが多いように思います。このようにデータの特性を理解し、調査の目的の期待値を合わせることが大切です。 今回は、期待値を合わせるために、

      • 相談してきた人の考え方に寄り添う相談の乗り方

        私たちには、誰しも誰かからの相談を受けるという経験があります。しかし、相手の感情に共感し、自分の意見を効果的に伝えることは容易なことではありません。そこで今回の記事では、「考え方」に焦点を当て、相談に対応するためのテクニックを解説します。 相談に乗るときに考え方に着目するとは? 相談に対応する際、多くの人は直接的なアドバイスを提供することを考えがちです。しかし、それ以外のアプローチもあります。その一つが、「考え方」に焦点を当てる方法です。たとえば、相手がどのような視点から

        • 後玉の哲学 : 厳しい評価に自身をなくしてしまったときに

          「新しい上司が手厳しく、私にも厳しい評価を下すため、自信をなくしてしまう」と悩むOL・美香。ある日、美香は運命のように、公園でゆっくりと過ごす暖かい眼差しの青年と出会った。 ふとした会話を交わす中で、彼が「後玉」と名乗る人物であることが分かる。美香は、なぜだかわからないまま後玉に自分の悩みを話していく。どうすれば自信を取り戻せるのか。後玉は、温かな表情で後玉の哲学を通じて美香に語りかける。 「美香さん、あなたは自分に対して厳しすぎるのです。あなたが抱える問題は、あなた自身

        善意の罠を乗り越えるために、インタビューで使える5つの深掘り質問

        • ユーザー調査の結果を活かすための、ユーザー以外を理解することの大切さ

        • 相談してきた人の考え方に寄り添う相談の乗り方

        • 後玉の哲学 : 厳しい評価に自身をなくしてしまったときに

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          2本
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        記事

          あなたの抽象化のクセを知りたいときに使えるラダーリング法

          抽象化の仕方は、人によってかなりの違いがあります。この違いがあることでうまく人に自分の考えを伝えられなかったり、他の人の議論についていけなくなったりします。また、抽象化のトレーニングをしようと思っても、そもそも自分のクセを知らないとうまくできなかったりします。そこで、今回はラダーリングという方法を使って、自分の抽象化のクセを探る方法を紹介します。 ラダーリングとは?ラダーリングは、はしご(ラダー)を上り下りするように、抽象度を変えながら検討していく方法です。抽象度のコントロ

          あなたの抽象化のクセを知りたいときに使えるラダーリング法

          HCDだけじゃない、いろいろな人間中心のアプローチ+α

          「人間中心」とは、当事者そのものを深く理解することに加え、当事者がシステムを利用する環境、状況などを十分に理解することを目指す。また、人間中心といったときに、システムを利用する人(当事者)に加えて、システムを利用する人に「直接あるいは間接的に影響を及ぼす人」も含む。例えば、会社で利用するシステムであれば、職場の上司、システムの保守者なども含まれる。これらを十分に理解しないままにシステムを作ることは失敗する大きな要因になりえる。 人間中心という単語を使うかはさ

          HCDだけじゃない、いろいろな人間中心のアプローチ+α

          人間中心のデザインに関連するあれこれ

          システム中心から人間中心へかつてインタラクティブシステムは、ユーザが目的を達成できる機能が充足していれば良く、ユーザがシステムに合わせれば良い(使いにくくても)という考え方がされることもあった(参考:ユーザーフレンドリー全史)。しかし、技術の急速な普及にともなってシステムが使われる場面やシステムの数が爆発的に増えることになり、使いにくいシステムにユーザが合わせることは現実的ではなくなっていった。加えて、システムに利用される技術の高度化や複雑化も進み、システム

          人間中心のデザインに関連するあれこれ

          アドベントカレンダーのリサーチ

          このたび、2021年のUX Research Advent Calendarに参加することになったのだが、そもそも私は「アドベントカレンダー」とは何なのかをそもそも知らないことに気づいた。ということで、アドベントカレンダーについて理解を深める記事を書くことにする。 アドベントカレンダーとは? 今回はカジュアルに英語版のウィキペディアを見て、一部を抜粋しつつ和訳してみよう。 (個人的には英語版のwikipediaの方が内容が充実していて好き。また、DeepLという翻訳サービ

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          抽象度のコントロールが難しいと感じるときに使える2つの考え方

          何かについて考えるときに「抽象度をコントロールすること」が難しい、という話を聞くことがあります。私自身も興味をもっているテーマの一つで、抽象度のコントロールが上手くなりたいと思っています。そこで今回は、抽象度のコントロールについて「抽象度を上げる方向性」と「抽象度の段階の刻み方」という2つの視点から考える方法を紹介します。 抽象度を上げる方向性まず「抽象度を上げる方向性」について考えてみます。たとえば「赤いスポーツカー」を対象にしてみましょう。単語をベースに考えるだけでも「

          抽象度のコントロールが難しいと感じるときに使える2つの考え方

          質的なリサーチが重たく感じる時に使える「視点の変え方」

          質的なリサーチは、きちんと進めようとすると時間がかかるものです。普段お仕事をするなかでやろうとすると、重たく感じることがあるかもしれません。そういうときに使える視点の変え方を紹介します。 「一つでも学びば得られたらよし」と考える一度のリサーチで核心に辿りつかなければと思うと、重たく感じてしまいがちです。なので、一つでも自分が知らなかったことを学んでみようと思うようにしてみましょう。 また、学びは失敗したことからも得られます。「どうすれば上手くいくか」に比べれば「どうすると

          質的なリサーチが重たく感じる時に使える「視点の変え方」

          新しいことに取り組む時に使える、到達目標を段階に分けて設定する考え方

          新たになにかに取り組むときは不確実さが伴うので、思い描いた通りに目標を達成できることは少ないものです。 そんなときに、段階的に目標を設定するという考え方があります。たとえば、私が講義を組み立てるときは3段階(最低目標、中間目標、最大目標)で目標を設定することが多いです。下位の目標が達成できないと、上位の目標は達成できないという構造を意識して記述します。 たとえば、単純化するために「自分に合う美味しいカレーを作る」ことについて講義をして欲しい、という依頼があったとしましょう

          新しいことに取り組む時に使える、到達目標を段階に分けて設定する考え方

          仏教の広がりを捉える時に使える、2軸で捉える考え方

          仏教には、たくさんの宗派があって面白いものです。一見すると「本当に仏教としてくくっていいの?」と思うぐらい考え方が違うものもあります。今回はその広がりを、利己的と利他的、自力と他力、という2軸で考えてみます。 これは趣味的な解釈(β版)なので、事実とズレている部分があるかもしれません。もし気づいた方がいたら、教えていただいてアップデートできたら良いなとおもっています。 利己的x自力の仏教初期の仏教(釈迦の仏教)では釈迦自身は自力で悟った(仏になった)ことになっています。そ

          仏教の広がりを捉える時に使える、2軸で捉える考え方

          グループワークで議論が停滞しそうな時に使える「個人の時間を活かす」テクニック

          グループで話し合うことで、一人ではたどり着けない発想ができることがあります。一方で、せっかくグループで話し合っているのに「これなら一人で考えた方が良くない?」という場面に出くわすことがあります。今回は、そんな時に、グループでの話し合いをより活かせるようにするための「個人で考える時間を作る」と「構造的に考えをまとめる」という考え方を紹介します。 グループで話し合いをするときは、参加する一人ひとりの視点の違いを活かして、多視点で議論できることが重要です。たとえば「積極的に発言す

          グループワークで議論が停滞しそうな時に使える「個人の時間を活かす」テクニック

          複雑なことを考えるときに使える、ものことを視点ごとに分けて考える方法

          複雑なものことを考えるときに、すべてを同時に考えることはできません。そこで、どのような視点から考えることが必要か洗い出し、視点同士の関係性を整理したうえで、視点ごとに考えるようにします。 3DCGを描くことを例に挙げてみます。3DCGを描くときは、三面図(平面図、正面図、側面図)といわれる、3つの視点を使って考えたりします(図はNMRIのページ「機械設計のための基礎製図」からの引用です)。 これは、2次元空間上では3次元物体を表現しきれないので、3つの視点に分けているので

          複雑なことを考えるときに使える、ものことを視点ごとに分けて考える方法

          なかなか考えが広がらない時に使える、「なんのため?」に注目して深掘りする考え方

          一生懸命考えているのになかなか考えが広がらない、という時があります。そういう時のために、「考え方」を覚えて使えるようにすると捗るものです。 そこで、今回は「なんのため?」に注目する考え方を紹介します。 観光地について考えることを例にとって考えてみます。観光地について調査してみると、観光地に行きたい当事者から「短時間でいける場所が良い」という声があることが分かりました。その発見をもとに「この観光地は短時間で来れる場所です」とアピールしてみたらどうでしょう。なかなか、ピンとく

          なかなか考えが広がらない時に使える、「なんのため?」に注目して深掘りする考え方

          ニーズを具体的に捉えたい時に、あなたのサービスを必要とする実在する人を考える

          「あなたのサービスを喜んで使う人がいるとしたら、それはどんな人ですか?」と聞いて、具体的な人をパッと答えられることは、サービスを考える上でとても大事です。 サービスを考えるためのレクチャーで受講生の提案を聞いてると「このサービスのユーザーは、このサービスを使う人です」みたいなコメントをもらうことあります。もしくは、「大学生」とか「父親」とかざっくりしたカテゴリで返答がくることもあります。 あなた自身を「大学生」とか「父親」とかのカテゴリでひとくくりにされるとしたらどうでし

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