石巻に「複合エンタメ施設」を 中央一丁目の 空き店舗改修
石巻のまちなかに劇場を作ろう―。これまでさまざまな文化イベントを手掛け、東日本大震災後の石巻の活性化に尽力してきた2人が、築41年の住居兼空き店舗をリフォームして複合エンターテインメント施設の運営に乗り出す。映画、演劇を中心にレコード店や古着屋など雑多な店の出店も募り、「子どもから高齢者まで交流できる新たな場」を目指す。
壮大な企画を実行に移すのは、矢口龍太さん(38)=石巻市中央=と阿部拓郎さん(33)=同須江=。ともに一般社団法人ISHINОМAKI2.0に所属して「まちのコンシェルジェ」として市内の空き家紹介などを手掛ける中、今回の物件に出会った。
場所は中央一丁目の日活パール(平成29年閉館)並びの元ふとん店。石巻小学校や桜坂高校への通学路にもなっている坂下通りに面する。空き店舗は、3月に放送された綾瀬はるかさん主演のNHKドラマ「あなたのそばで明日が笑う」でも使われ、綾瀬さんが再起をかけて開店する書店になった。
サブカルチャーと流行の発信を目指す矢口さん(右)と阿部さん
昨年12月に矢口さんと阿部さんは、この物件に〝一目ぼれ〟。賃貸契約した136.5平方メートルの1階は映画上映や演劇上演にうってつけ。2階の6部屋もリフォームの了解を得た。
演劇ユニット「R」を運営、石巻演劇祭を立ち上げるなど文化面で復興を担ってきた矢口さんは「次は拠点だと思った。プレイヤーは増えているので、表現する場所が必要」と意欲。若者が気軽に立ち寄って流行に触れたり、高齢者がふらりとやってきて名画を鑑賞してコーヒーを飲んでくつろいだり。「サブカルチャーと流行の両輪でエリア全体を盛り上げたい」と話す。かつて文化通りと称された盛り上がりを取り戻したいという。
ドライブインシアターなどを手掛けてきた阿部さんは、広い中庭を見て「壁に映画を映しても面白い」とアイデアを広げる。
志を同じくする人たちに声を掛け、レコード店や古着屋、カレー屋、カフェ、雑貨屋などが集まる楽しそうな場所にするのが目標。2人が在京中に親しんだ下北沢や中央線沿線のイメージを重ねる。
客席数30-50席の劇場では単館系の作品だけでなく古今東西の名画、学生演劇、東京の劇団などを迎える間口の広いエンタメ施設として運営、小中学生は無料で劇場に入れる案もある。
現在、資金捻出で寄付を募っており、月内にクラウドファンディングも始める予定。「当面300万円ぐらいが必要。改装は秋口から始め、劇場部分は来年春にオープンさせたい」と矢口さん。
阿部さんは「確かに心配事はあるが、僕らの後ろには協力してくれる仲間がいる」。コロナ収束後を見据え、将来的には運営母体を法人化して態勢を整えたいという。【本庄雅之】
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