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卒業前に咲かす思い出花火 石巻商業の3年生有志 コロナ世代「皆の笑顔もう一度」

 「高校生活の大半はコロナ禍。卒業前に何とか思い出を作りたい」。そんな思いを抱く石巻商業高校3年の有志3人が中心となって企画した「石商卒業打ち上げ花火」が、22日午後6時から同校校庭で開かれる。3人は住民や教職員の知恵を借りて企画を練り、地元企業から協賛金を募るなど、実現へ汗を流してきた。「皆の笑顔がもう一度見たい」。願いが結実しようとしている。

 有志は菅原魁星さん、阿部ひなたさん、佐々木朱莉さんの3人。いずれも桃生中出身の旧知の仲。今の3年生は高校生活をコロナ禍に翻ろうされ続け、修学旅行の中止、代替えなど学校行事も大きな影響を受けた。

 花火の企画を考えるきっかけとなったのは昨年10月の文化祭。感染対策を講じて開いたが、学校全体がエネルギーに満ちあふれ、同級生の笑顔は3人にとって忘れられない思い出となった。

企画趣旨を説明しながら募金を集めた実行委の菅原さん(右)

 「笑顔をもう一度見たい」。3人は翌月実行委を立ち上げ、教職員やOB、同校と関わりのある(一財)まちと人と代表理事の斉藤誠太郎さん、合同会社デザインナギ代表社員の三上和仁さんもメンバーに加え、「皆が楽しめる企画」という視点から、校庭での花火打ち上げを決めた。

 3人は今月、OBが働く企業や地域の教育会議などを訪ね、趣旨と思いを伝えつつ協賛や募金を呼び掛け、17日時点で約30万円を集めた。菅原さんは「僕たちの思いに耳を傾け、協力してくれた皆さんに心から感謝。何としても成功させたい」と話していた。

 当日、校庭から2―3号玉の花火約80発(約5分間)を打ち上げるほか、軽食販売のキッチンカーも誘致する。集めた30万円はその準備金に充てる。

 実行委を立ち上げた当初、生徒からは「花火は無理では」と懐疑的な声もあったが、今週、改めて開催告知されると3年生の各教室では驚きと喜びの声に包まれた。教職員や下級生も「もっと募金に協力しよう」と熱を帯び始めたという。

 「文化祭で見た皆のキラキラした笑顔をもう一度見たい。本当にそれに尽きる」と菅原さん。「コロナに振り回された高校生活だったが、それで終わりたくはなかった。最後は皆が元気になれる花火を打ち上げ、全員で楽しみたい」と語った。

 当日は在校生と教職員に加え、協賛企業や募金協力者を招くという。
【山口紘史】





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