若手漁業者を熱烈応援 演歌歌手鳥羽一郎さん 師弟サミットに特別出演
漁師としての経験を持ち、海に生きる男たちを題材に歌い続けている演歌歌手の鳥羽一郎さんが6日、石巻市かわまち交流センター=同市中央=で若手漁師と交流した。一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(FJ)が主催する「担い手・親方漁師 師弟サミット」に合流し、水産業の担い手に熱いエールを送った。新曲「北海の花」のミュージックビデオでは、FJの若手漁師が特別出演している。サミット後はミニライブもあり、鳥羽さんが力強い歌声を市民に届けた。
■新曲映像 石巻が舞台
FJはトリトンプロジェクトとして、平成28年から全国の若者を石巻地方に集め、水産業を体験する漁師学校などを通して就労を促進。これまで40人以上が移住し、水産の仕事に就いている。
鳥羽さんは17歳から5年間、遠洋漁業のマグロ船やカツオ船の漁船員として働いた経歴があり、27歳で歌手デビュー。海の男の心情を歌った「兄弟船」が大ヒットした。鳥羽さんはFJのプロジェクトに興味を持ち、自ら応援したいと申し出たという。
新曲のミュージックビデオには石巻市で活動する若手漁師たちが出演。ギンザケやワカメ、ホヤなど水産物とともに、背景には石巻魚市場や渡波地区も映し出されている。こうした縁で師弟サミットのゲストも快諾した。
サミットの前に行われた新曲発表会で、鳥羽さんは「若い漁業者が伸び伸び、生き生きと仕事をしている姿が素晴らしい」と思いを込めた。漁船員時代には、石巻に何度か水揚げで入港した思い出があるという。
「北海の花」の映像が映し出された後、FJの阿部勝太代表理事は「ベテラン漁師の中にも鳥羽さんファンが多い。歌がきっかけになり、若手とベテランをつなぐ橋渡しになってくれれば」と熱烈な応援に感謝した。
続く師弟サミットでは、漁業に就く若者と技術を伝えるベテランが登壇。このうち、群馬県出身の吉井大河さん(27)は、石巻市鮫浦で阿部誠二さん(38)を師匠にホヤ養殖に従事する。吉井さんは「最初は船酔いがひどく方言も分からなかったが、海の仕事は楽しい。今は組合員を目指し、船を持つのが夢」、阿部さんは「仕事の半分を任せられるほど成長しており、手先が器用で、俺よりもロープの扱い方がうまい」と太鼓判を押していた。
漁師たちのやり取りを聞いていた鳥羽さんは「若者とベテランをつなぐ取り組みは石巻がトップランナー。これが全国に広がり、各地でこんなサミットがたくさん開催されることを期待したい」と締めくくった。
ミニライブは堤防一体空間であり、隣接する元気食堂では鳥羽さんを交え、漁業者との懇親会もあった。「北海の花」のミュージックビデオは動画投稿サイトのユーチューブ(https://youtu.be/Z0RuXY1lC9w)で視聴できる。【渡邊裕紀】
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