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漁師学校経て漁業者に FJ・担い手センター事業 水産業に挑む若者世代

 石巻市、県漁協石巻地区支所などの「水産業担い手センター事業」を利用し、牡鹿半島など多くの浜で若者が漁業者の門をたたいている。岩手県や東京都、愛知県など全国から集まった20―30代の若者たちで、約40人が石巻地方に暮らしながららカキやノリ、ギンザケなどの養殖に携わり、新たな人生を歩み始めている。【渡邊裕紀】

 石巻市から委託を受けた一般社団法人フィッシャーマンジャパン(FJ)=千石町=が取り組む事業。漁業体験の「漁師学校」は、水産業を営む若者を地域に増やすことが目的。平成28年の事業開始からこれまで約40人の若者が漁師学校を経て水産関係の仕事に就いた。中には漁業組合の正組合員となり、漁業権を取得した人もいる。

 大阪府出身の三浦大輝さん(25)は同市雄勝町小島に移住し、この地で養殖業を営む佐藤一さん(50)の下でギンザケやホタテなどの養殖業に携わっている。三浦さんは29年に開かれた漁師学校に参加し、水産業に魅力を感じたという。

地域水産業の新たな担い手

担い手として漁業に携わる三浦さん(中央)と冨樫さん(左)
佐藤さん
(右)の下で働く

 その後すぐ佐藤さんの下で働き始め、3年目となった。漁協の准組合員の資格も取得し、順調に海の仕事を覚えて技術を学ぶ日々が続く。三浦さんは「生き物と触れ合う感覚が好きで、種から育てて成長の過程を見ていくのは感動を覚える」と話す。

 指導を担う佐藤さんも「新しい世代に技術を伝えることで、ゆくゆくは雄勝の海を守る存在になってくれれば」と期待した。小島は高齢化が顕著で漁業を退く人もおり、空いた漁場を生かすためにも若い人材は貴重だ。

 佐藤さんの下では昨年4月から山形県出身の冨樫翔さん(20)が働き始め、三浦さんに後輩ができた。三浦さんは今年5月に自分の漁船を持つようになり、ウニなどを漁獲している。

 「正組合員として地域に認められ、カキ養殖などを手掛けながら独り立ちできれば」と三浦さん。山と海に囲まれた雄勝町は「とても住みやすい」と愛着を持つ。正組合員となれば区画漁業権で漁場が与えられ、そこでカキ養殖などを始めることができる。だが、水揚げまでに年数を要するため、組合員になれたとしても先は長い。

 三浦さんは「日々海に出て仕事ができることが楽しい。地域の人たちも優しく、不便を感じることもあまりない」と話し、雄勝の風土にすっかり溶け込んでいた。


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