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サンマ漁 過去最低の可能性 海水温の上昇など影響 女川魚市場 昨年比の3割

近年低調が続くサンマ漁は、今年も水揚げが振るわず、過去最低になる可能性が出てきた。「サンマの町」として知られる女川魚市場でも9月27日の初水揚げから低調が続き、11月29日までの水揚げ量は約1170トンと、昨年比で約3割まで落ち込んだ。三陸沖で魚群がほとんど見えず、現在は遠方の公海上に漁場が形成されている。日本沿岸に近づく気配もなく、漁獲サイズも小ぶりとなっているため、今期の漁は年末を待たず終わる見通しだ。

 女川魚市場は昨年5千トン以上のサンマ水揚げを記録した。しかし全国的な数量は前年を下回り、年を重ねるごとに漁獲量は右肩下がり。今年は初水揚げ以降、10月末までで計268トン。11月はまとまった量が入り計1千トンを超えたが、同29日までで1170トンと昨年同時期の約4千トンと比べて3割に落ち込んだ。

本来は地元のサンマが店頭に並ぶが、この日は気仙沼で水揚げされたものが並んだ

 サンマの漁況予報を発信する国立研究開発法人水産研究・教育機構=青森県八戸市=は当初、来遊量が上向くと予想していたが、実際は昨年を大幅に下回った。例年は晩秋ごろに三陸沖で漁場が形成されるが、今年は公海上からほとんど動いていない。漁場が遠ければ時間や燃料費がかかり、しけなどの影響も受けやすい。出漁の機会が減り、それが漁獲量に影響を与えている。

 それに加え、温暖化とみられる三陸沖の海水温の高さも来遊を妨げている要因と言われている。同機構では「例年とは違うルートでサンマが南下しているのでは」と話していた。

 石巻市中央一丁目の鮮魚店「プロショップまるか」は、地元で水揚げされたサンマを取り扱ってきたが、今年は数量が少なく小ぶりなものが多いという。現在は青森県や北海道、気仙沼のサンマも扱い、ニーズに応えているが、輸送費などで価格は割高。1日に店頭に並んだのは気仙沼に水揚げされた大サイズ(170グラム前後)が1匹380円だった。

 まるかの佐々木正彦社長は「この時期は贈り物でサンマの消費が増えるが、今年は代替としてサバを贈る人が多い」と話す。漁獲が落ち込むサンマに変わり、店頭には震災後に多く水揚げされる暖水性のカマスも並ぶ。鮮魚店では魚種転換も見据えながらサンマの動向を見守る。

 国内のサンマ漁獲量は1958年の58万トンをピークに減少が続いており、漁獲量が回復する兆しは見えていない。水産庁は来年のサンマ漁獲枠を過去最低水準の15万5335トンとする方針を公表しており、今後も低水準が続くとみている。【渡邊裕紀】


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