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逆風 開催運営に四苦八苦 代替大会で選手完全燃焼

 東京五輪・パラリンピックを筆頭に、今年は新型コロナウイルスの影響で大規模なスポーツ大会が軒並み中止となり、全国の舞台を目指していたアスリートたちが機会の喪失に落胆の声を上げた。各競技で研さんを積んできた子どもたちの成果発揮の場として代替大会などが設けられたものの、運営ごとに感染防止対策が求められるなど、スポーツ界も大きな変化が生じた1年となった。【横井康彦】

 石巻地方への影響が大きかったのは中・高総体の中止。全国的に感染が拡大したことで、全国高等学校体育連盟が4月26日に、今夏に東北から九州まで21府県で分散開催を予定していた全国高校総体(インターハイ)の中止を発表。県内や石巻地方では、専門部ごとに代替大会を開くことになったが、高校生アスリートたちは本来目指していた夢の舞台が失われたことに落胆の声を上げた。

 中総体についても各中体連単位で代替の「交流大会」を設けることに。いずれの代替大会も3密回避などの対策が開催の前提となり、競技者のみならず運営側もウィズコロナでのスポーツ大会の在り方を考える機会となった。

 高校野球も春季大会が中止。夏の全国大会も開催が見送られたため、県高野連が独自の大会を開いた。この大会には、今年4月に開校した石巻地方初の私立高校「日本ウェルネス高校」の野球部も出場。初戦敗退を喫したが、その後の秋季大会では名取北を下して公式戦初勝利を飾った。

高校野球代替 2回戦 石巻ー宮城広瀬 (117)武田2打席連続本塁打

各スポーツ大会が代替となった

 こうした中、東京五輪・パラリンピックのため、開催時期を従来の夏場から11月に変更していた社会人野球全国大会「第91回都市対抗野球大会」が開催され、日本製紙石巻硬式野球部が石巻市の代表チームとして3年ぶりに出場を果たした。

 日本製紙は、1次予選を辛くも3位で通過。迎えた福島県を舞台とする2次予選でも本戦トーナメント3回戦で敗戦し、敗者復活戦にまわることとなった。後がなくなった日本製紙ナインだが、ここからチームの雰囲気が一変。気迫のこもった投打で、東北第2代表の座を射止めた。

 迎えた都市対抗野球大会では、初戦の11月24日に福岡県の西部ガス(九州第2代表)と対戦した。日本製紙は先発塚本峻大投手がキレのある投球で6回まで相手打線を抑えた。7回には篠川拓也主将が左前打で出塁すると、中嶋政弥副主将が左中間を破る適時二塁打を放ち、待望の先制点を奪取。勝利までアウト9個まで迫ったが、その直後の攻撃で西部ガスの反撃を許し、初戦突破とはならなかった。

 この試合の模様はオンライン配信され、石巻地方でも多くのファンが視聴した。新型コロナ禍が収束するまでは無観客やネット、テレビ中継が応援の基本となる。間近で活躍を拝めないのは残念だが、そうすることで各界のアスリートたちがプレーの場を得られるのであれば、協力しないわけにはいかないだろう。来季こそ、選手たちがのびのびとプレーできる環境が整うことを、今は願うしかない。


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