見出し画像

スマホを本に代えて 読書推進の鍵は大人 あす「子ども読書の日」

 23日は文部科学省が定める「子ども読書の日」。多様なメディアの発展、普及で読書離れが進む中、石巻地方も例外ではない。石巻市教育委員会が2月に行った読書と家庭学習に関するアンケート調査では、1カ月に1冊も本を読まない割合は小学生12.8%、中学生21.7%となっており、全国、県平均を下回った。読書離れは子どもに限ったことでなく、親世代も共通課題。教育機関では読書の日にスマートフォンを本に代え、親子で家庭読書に親しむ機会を呼び掛けている。

 市教委は昨年度から読書と家庭学習に関するアンケートを実施しており、本年度も3回程度計画。2月の調査では1カ月に1冊も読まない割合は中学生が全国、県とほぼ横ばいだったのに対し、小学生は12.8%と全国(6.4%)の2倍となった。

母親と一緒に本を選ぶ幼児(石巻市図書館)

 読書感想文のコンクールなどを実施する公益社団法人読書推進運動協議会=東京都=では、子どもの読書推進で「幼児には読んで聞かせる」「子どもたちの身近になるべく本を置く」に加えて「大人が読書する姿を子どもに見せる」が特に大切と強調する。

 未来屋書店石巻店(イオンモール石巻内)の尾張早矢香店長(41)は「親から『子どもが本を読んでくれない』という声をよく耳にするが、家庭内に本が少なく、親自身が読書をしないケースも少なくない」と話していた。

 女川町教委教育局社会教育指導員の佐藤克己さん(63)も「子どもだけではなく、仕事の忙しさなどを理由に親世代も読書から離れている」と指摘。同町は、震災前から毎月第3日曜を「家読(うちどく)の日」として家庭での読書を推進している。佐藤さんは「この日ぐらいはスマホから離れ、共通の本について会話をする日にしてほしい」と呼び掛けていた。

 読書の魅力について石巻市図書館の戸田ゆかり館長(56)は豊かな心の育成などに加え「意表を突く展開に出くわすと、自分の考えや悩みごとの小ささを思い知る。読後には悩んでいたことの見通しが開けていることもある」と語っていた。

 読書推進運動協議会では、23日の子ども読書の日から5月12日までを「こどもの読書週間」とし、啓発活動を行っている。石巻市図書館は期間中、貸し出しに応じて模造紙の花を渡し、中学生以下の利用者が紙の木に貼り付ける「どくしょの木」を展開。東松島市図書館では子どもの日に関連する絵本コーナーを置き、女川つながる図書館は100万部以上を売り上げた絵本の特設コーナーを設置する。【泉野帆薫】





最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。皆様から頂くサポートは、さらなる有益なコンテンツの作成に役立たせていきます。引き続き、石巻日日新聞社のコンテンツをお楽しみください。