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車使った初の避難訓練 東松島市 新たな津波浸水想定受け

 東松島市は4日、本年度の総合防災訓練を行った。震度6強の地震の後に大津波警報が出されたと想定。市民や自主防災組織、消防団などが初動対応を実践した。原則、徒歩避難だが、県が発表した新たな津波浸水想定を受け、市は最寄りの避難所まで1キロを超す沿岸部の一部住民を対象に初めて自家用車を用いた訓練を展開。内陸部に設けた駐車場に次々と車が集まり、住民からは「状況に応じた避難手法は必要」との声も聞かれた。

 訓練は「自分の命を守る最善の行動をとる」がスローガン。市は、昨年5月に県が発表した最大級の津波浸水想定を受け、防災マップを改訂。全戸配布し、説明会も開いて周知してきた。

自家用車で内陸部の高台に避難した

 この日は午前9時に地震が起き、3分後に大津波警報が出されたと想定した。市内各所では自主防災組織が中心となり、避難場所での人数把握や要支援者の安否確認、災害対策本部への通信連絡などを展開した。

 訓練で市が設けた車避難の場所は、内陸の大塩市民センターと高台にある東松島カントリーエレベーターの2カ所。市民センターに64台、エレベーターに82台が避難し、職員の誘導で、敷地内に続々と駐車した。

 家族4人で避難した設楽正嗣さん(42)は「以前、津波警報が出た際に車で避難し、渋滞に巻き込まれた経験がある。本当の災害では信号が止まるなど条件が全く異なるため、どの避難方法が正解なのかを考える必要がある」と話した。

 矢本関の内から避難した30代女性は「自宅から鷹来の森までは車で約15分だったが、災害時は渋滞や道路破損などでそううまくはいかないはず。徒歩、車避難などさまざまな避難の検証が必要」と語った。

 市は訓練結果をもとに避難道路などの整備を進めていく。渥美巖市長は「新しい避難形態であり、今後の訓練などに生かしたい」と話していた。市の推計で、今回の訓練の参加者は約7千人(人口の18%)という。
【渡邊裕紀】





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