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住民避難3年ぶり実践 浸水想定後初の防災訓練 東松島・複合被害考え行動

 洪水や土砂災害、地震津波に備える令和4年度東松島市総合防災訓練が5日、市内全域で行われた。新型コロナウイルス感染症の拡大で昨年、おととしと関係機関や自主防災会の役員のみで実施しており、住民の参加は3年ぶり。それぞれが住む地域の災害リスクを考え、状況に応じた避難行動を実践した。

 訓練では午前8時40分、鳴瀬川、吉田川の水位が上昇したとして、市は流域に避難指示。10分後には土砂災害警戒情報が発表された想定で、内陸の大塩、小野、野蒜地域にも避難指示を出した。9時過ぎには震度6強の地震で沿岸部に大津波警報が出されたとして防災行政無線でサイレンを吹鳴し、津波浸水想定地域に避難行動を呼び掛けた。

避難を実践し、地区の集合場所で備蓄品を受け取った(赤井市民センター)

 避難指示の対象にならない地域の住民には、防災備蓄品の確認や地震による家具などの倒壊防止といった自宅でできる対策を求めた。避難訓練後、備蓄品の配布など各地区で自主防災組織が計画した訓練が行われた。

 このうち赤井南新町地区の住民は、歩いて避難の原則にしたがって、高盛り土の三陸道北側の赤井市民センターを目指した。参加した阿部誠さん(78)は「災害は突然やってくるので、訓練は大事。近所とコミュニケーションを取る機会でもあり、実際の災害では声を掛け合ってより遠くより高いところに避難したい」と防災意識を高めていた。

 総合防災訓練は県が先月に最大級の津波浸水想定を公表してから初めてだが、市による避難計画の見直しはまだ。同センターは11年前の東日本大震災の津波で浸水しており、自主防災会の役員は実際の災害ではより北側に避難することを注意喚起していた。

避難場所が孤立した想定で、ヘリによる救出訓練が行われた(赤井小)

 このほか総合防災訓練では、市役所で災害対策本部の運用を確認した避難所担当職員による地域避難所開設訓練を実施した。また、赤井、鳴瀬桜華の2小学校では、県防災航空隊のヘリコプターによる救出訓練を披露。東松島消防署南側駐車場では自衛隊や警察、消防車両の展示があり、家族連れなどが足を運んでいた。

 参加者数は集計中だが、市は約4千人と推計。渥美巖市長は7日の定例記者会見で「訓練としてはしっかりと対応できたが、震災から11年が経過し、参加率が低くなってきている。参加してもらえるよう調整したい」と話した。
【熊谷利勝、横井康彦】





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