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いのちの石碑 計画達成 女川・最後の21基目建立 ゴールでなく〝スタート〟

 東日本大震災の教訓を生かし、1千年後の命を守ろうと女川町立女川中学校の卒業生が設置を進めてきた「女川いのちの石碑」の最後となる21基目が21日、お披露目された。出席した卒業生8人は、プロジェクト完結を喜びながらも「これからがスタート」とさらなる伝承活動に誓いを新たにした。

1千年後へメッセージ

 平成25年11月の第1基設置から丸8年。21基目は、女川の海を見晴らす女川小中学校東側の遊歩道に建立された。

 関係者約30人が見守る中、卒業生で構成する「1000年後のいのちを守る会」の阿部由季会長(23)は「支え協力してくれた皆がいて活動が続いた」と多くの支援に感謝。「この石碑が震災を語り継ぐきっかけになれば」と思いを語った。

note用女川いのちの石碑21基目完成 (7)

 震災当時の中学1年生が「自分たちに何ができるか」考えを絞って取り組んできた。重ねた会合は200回以上。呼び掛けた募金は半年ほどで1千万円を超え、地元石材店からは石碑の無償提供を受けた。

 山下脩さん(23)は「ゴール地点とも思うが、建てることが目的ではなく、今回がスタート。これから伝えていく活動をしたい」、鈴木美亜さん(22)は「一つの自信になり、誇りを持てた。大好きな女川が笑顔あふれる町になればいい」と生き生きとした表情をあふれさせた。

女川いのちの石碑21基目完成 (43)

完成した21基目の石碑と卒業生たち

 須田善明町長は「皆さんの思いと行動力には頭が下がる。このつながりを大切にこれからも歩みをすすめてほしい」と激励した。

 石碑には①普段から絆を強く②高台にまちを作り、避難路を整備③震災の記録を後世に残す―などの言葉が刻まれている。すべて津波到達点より高い地点に設置され、避難の目印の役割もある。

 そして後世の人たちへのメッセージも。「今、女川町はどうなっていますか?悲しみで涙を流す人が少しでも減り、笑顔あふれる町になっていることを祈り、そして信じています」

 1基目と同じ山田太介さん(23)の句「夢だけは 壊せなかった 大震災」も刻まれた。【本庄雅之】


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