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避難道 渋滞で機能不全 石巻・渡波稲井線 路肩停車で後続詰まる 

 沿岸部に津波注意報が出た先月16日の福島県沖地震直後、石巻市が避難道として整備した都市計画道路「渡波稲井線」(延長3.5㌔)で、沿岸部の渡波方面から内陸部の稲井方面へ向かう車線が一時、渋滞で機能不全となった。市によると山の中腹を通る高いトンネル手前で、避難のため路肩に止めた車があり、後続が詰まったという。

トンネルに向かって片側だけヘッドライトが連なる(住民撮影)

 渡波側のトンネル手前から、低い市街地にかけて渋滞が発生。市や住民の話によると、パトカーが路肩に止まった車に移動するよう求め、渋滞は間もなく解消された。昨年3月末に開通した同線は幅が広めの片側1車線だが、反対車線に止めた車もあったという。
 
 11年前の東日本大震災では渡波地区は広く津波で浸水しており、今回も予想以上の津波であったなら、多くの車が被災していた可能性がある。市危機対策課は「自分が助かれば良いではなく、内陸側に走り抜けてくれれば」と呼び掛ける。

 市によると、渡波稲井線から東側の市道流留真野沢田線でも渋滞が発生。狭かった取揚坂が震災後に改良され、海側から内陸側へ越えずに多くの車が高い場所の路上にとどまった。市内では日和山周辺や須江しらさぎ台といった高台で軒並み混雑。予想される津波の高さが最大1㍍の注意報のため、居住地に避難指示が出されなかったが、車を守りたい意識から過敏に反応した人も多かった。

 県は間もなく、新たな津波浸水想定を公表する予定。市は震災で車の渋滞による逃げ遅れがあった教訓から、原則、徒歩での避難を呼び掛けてきたが、浸水想定が大きくなれば避難方法の見直しが迫られる場合がある。市危機対策課は「県の浸水想定を踏まえ、矛盾のない避難の方策を考えたい」としている。【熊谷利勝】


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