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石巻地方震度6弱観測

東松島で建物、道路損壊

 16日午後11時36分ごろ、福島県沖を震源とする地震があり、石巻市と東松島市で震度6弱、女川町で5強と広範囲で強く揺れた。沿岸部に津波注意報が出され、石巻港で最大30cmの津波を観測。午前5時に解除された。石巻地方では建物損壊や漏水、地盤沈下や火災など一部で被害が見られた。震度6弱の観測は昨年2月13日以来1年1カ月ぶり。気象庁は「約1週間は震度6強程度の地震に注意を」と呼び掛けている。

東松島市のあおい地区の民家で、あずまやが倒壊した


気象庁「1週間は注意を」

 気象庁によると震源の深さは約57km。地震の規模を示すマグニチュード(M)は7.4と推定。昨年2月の地震と位置、規模もほぼ同じで東日本大震災の余震域だった。本震の発生2分前にも、ほぼ同位置でM6.1の地震が起きた。

 津波注意報の発令で、沿岸部の住民は近隣の学校や体育館に身を寄せ、2市1町で最大794人が避難した。石巻地区消防本部によると、けがで9人が救急搬送されたがいずれも命に別状なし。女川魚市場では分電盤を焼く火事があったが、人的被害はなかった。

 石巻市と東松島市では計2500戸が停電し、17日正午までに復旧。石巻地方広域水道企業団によると漏水通報が21件(午前8時現在)。東北電力は女川原発に異常はなかったと発表した。

 JR仙石線、仙石東北ライン、石巻線は始発から運転を見合わせ、再開は午後以降の見通し。離島航路は網地島ラインとシーパル女川汽船は通常通り運航。潮プランニングの金華山航路は18日まで欠航。いずれも地震や津波による船舶被害はなかった。2市1町の小中高校は通学路安全確認のため17日を臨時休校とした。

 特に建物や道路被害が目立ったのは東松島市で、公共施設や学校で天井や外壁の一部落下、欠損が発生。市内13路線26カ所で亀裂などが見られ、大塩の県道では20mにわたって20cmほど陥没。大塚では3カ所でがけ崩れがあった。宮戸里浜は新設護岸に亀裂が生じ、大曲の農地では液状化も確認された。

 民家でも建物被害があり、同市あおいの住宅兼店舗の駄菓子屋「和(なごみ)」では、敷地内のあずまやが倒壊した。

思い出される11年前

 震災の風化が叫ばれるが、頻発する地震や津波注意報で忘れられそうにない。福島県沖地震で県沿岸部に津波注意報が出された16日夜、石巻市中心市街地の高台である日和山には多くの人が逃げ込み、避難所では続く余震に市民が眠れぬ夜を過ごした。

避難所で不安な夜を過ごした(石巻市総合体育館)


「地震、津波もうたくさん」

 日和山から総合体育館にかけて避難の車で混雑。急きょ、石巻中学校の校庭も開放された。日和山では中心部から客を誘導してきた旅館の関係者やお試し移住中の大学生もいた。大街道西の女性(26)は、「ここまで来れば安心。11年前を思い出した」と話し、湊地区の60代男性は、暗い海の方向を眺めつつ、「地震も津波ももうたくさんだ」とつぶやいた。

高台や避難所に多くの人

 市総合体育館の武道場には最大50人が避難。提供された毛布にくるまりながら、注意報の解除を待った。その間にも余震があり、「ストーブ消して」という声が飛んだ。南中里から家族と避難してきた相澤卓也さん(52)は「震災の津波で南浜の自宅が全壊した。揺れが大きいので避難した。余震があり、家にいるより安心できる」と話した。

 内陸部でも幹線道路を中心に避難の車の渋滞が発生。大街道地区からイオンモール石巻に避難した70代男性は「イオンか日和山に逃げるかの二択だった。蛇田方面は渋滞があり、津波が来ていたらと考えるとゾッとする」と語った。【取材班】

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