副業OKの企業がダサい理由、あたりまえの働き方

スーツを着ることがない。せいぜい冠婚葬祭くらいだろうか。仕事ではまったく着ることはなく、スーツ指定の会議にも普段着で参加した。スーツは日本の気候にまったく合っていないと思う。無理をして着る意味がわからない。ちゃんとしているように見えるのだろうか。スーツを着て昼間のファミレスでビールを飲んでいる人たちがちゃんとしているようには見えないのだけど。僕がスーツを着ないのは、よくわからないルールに従いたくないという気持ちがあるからなのかもしれない。

よくわからないルールというと「副業禁止」が真っ先に思いつく。副業とは禁止できるものなのだろうか。同じ観点で「副業OK」もよくわからない。むしろ、副業OKの企業はダサい。僕はそう感じている。副業OKの企業は新しくていいんじゃないかと思われるかもしれない。けれども副業OKというのは、本来なら禁止なのだけど許可しているというニュアンスを含んでいる。僕はそもそも企業が副業を禁止できると考えていることがダサいと感じているのだ。

ふつうの仕事では「この日時までにこれをやる」ということが決まっている。それが達成されれば、残りの時間でなにをしていようと構わない。仕事を早く終わらせたら次の仕事が降ってくるという状態だと、生産性を上げようというモチベーションが妨げられてしまう。そこで、期限よりも早く終わったら、残りの時間は自由に使っていいよという取り組みをしていた。最近は、おかげさまで、忙しくて自由時間が取りづらいのだけど。そして業務時間外に関しては、社員がなにをしているかなんて僕の知るところではない。ましてや、その行動を制限することなどできるはずがない。

時間と場所が縛られる業務でなければ、仕事をする時間と場所は自由でいい。うちの会社では勤務場所を自由にしているので、社員は県外に住むことができる。なんなら海外に住んでもらっても構わない。ネットがつながればだけど。オフィスには来てもいいよと言っているが、雨が降ったら僕を含め誰もこない。子どもの病院の付き添いや授業参観などは、ひとこと連絡をもらえば許可を取らずに時間を融通することができる。そういう人としてあたりまえの仕組みを持った会社にしている。働き方改革なんてたいそうなものではない、あたりまえにやってるだけだ。

ただし、この働き方には法律の壁がある。勤務場所を自由にしたことで、役所ともめてしまった。勤務時間の自由はさらに大変で、かなり法律による制限を受ける。立場の弱い労働者を守るための法律だとは認識しているが、社員の働きやすさを追求するとこの法律にぶつかってしまうのは、なんともモヤモヤした気持ちになる。また、職種の壁もある。エンジニアだから時間と場所を融通しやすいのだけど、別の職種を採用した時にどうするのかという問題がある。課題は多いが、なんとかしていきたい。

こんな働き方をしていると、記者の方などから「新しい働き方ですね」と言われたりもする。けれども、僕らは新しい働き方をしたいわけではなくて、あたりまえのことをやりたいだけだ。高度経済成長期の期間限定な特殊な状況に引きずられることなく、この時代の普通な仕組みをつくっていきたい。いまは2018年。数年後にこの文章を読んだ人が、なにをあたりまえのことを言っているのだと感じる世の中になっていればいいなと思う。

サポートしていただくと更新頻度が上がるかもしれません。