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#線香花火

【#2000字のドラマ】金木犀と線香花火

【#2000字のドラマ】金木犀と線香花火

人間は運命や奇跡という言葉が好きだ。現実に起きた自分にとって都合のいい出来事を全て運命と奇跡にするのだ。そして僕もまたそういう人間だった。

八月が終わり、空が少し高くなった気がする九月の初旬。もう夏も終わってしまったのかと言わんばかりのこの世界の雰囲気。アブラゼミが最期の力を振り絞り命の音を鳴らしている。

「翔、もう夏も終わりだな。」

片手にガリガリ君という夏を持ちながら海斗は言った。

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線香花火

線香花火

「ねえ、渚、線香花火ってなんで綺麗だと思う?」

パチパチと火花を散らしながら暗闇に咲く線香花火を見ながら翔は言った。

「なんでだろ、花火はどれも綺麗だけど何故か線香花火は特段綺麗に見えるよね」

そう曖昧な答えを口にした瞬間、その火の玉は落ちた。

「もう落ちちゃった。線香花火がもっと長くついてたら、そんなに綺麗じゃなくなるのかなあ」
翔は寂しそうに火の消えた線香花火の棒だけを持ちながら言った

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