どうして夫は妻の髪の毛を乾かさないのか?

皆さん(特に髪の長い方)は、お風呂上がりの髪の毛を乾かすのが、めんどくさーーーーー!となることはないだろうか?

私は、毎晩風呂上がりに長い髪の毛を乾かすのにすごく体力を奪われている。そのせいでお風呂に入るのもとても腰が重い。

最近、疑問に思っていることがある。
どうして自動のヘアドライヤーが開発されないのだろうか?

椅子などに腰掛け、頭を固定すると勝手に乾かしてくれるような家電のことだ。とても便利だし、家庭に1つずつあっても良いような気がする。

それがなかなか開発されない理由を、私はこう考える。

1.世の中で私のように髪が長くて乾かすのが面倒だと思っている人数が圧倒的に少ない

ここで、それらの悩みをもつ人が女性の約半数だとしよう。そうすると単純計算でいくと人口の約4分の1が悩んでいることになる。家電メーカーの社員の男女比は現在も良い方で5:1くらいだ。ひどい場合は10:1などもある。先程の人口比で換算すると、髪の毛が長くて乾かす手間に本格的に困っている人は社員の約9%となる。ヘアドライヤーの開発の企画部署が10人いたとすると0.9人が悩んでいることになる。1人いるかいないかなのである。

そんな中、自動ヘアドライヤーの開発を訴えてたとしても、「必要だよね」という多数決で勝てるわけがないのだ。よって、開発は遅れてしまうと考えられる。


2.男性が女性の髪を乾かしてあげる、という文化がない

何を言ってるんだ、と思った方はしっかり考えてもらいたい。どうして女性は長い髪の毛を自分で乾かさなければならないのだろうか?

私達は、もちろん自分のために髪の毛を伸ばしているといっても過言ではない。可愛く見られたい、アレンジをしておしゃれに見せたい、など理由は様々である。

しかし、髪の毛の手入れをするのはとても大変なことだ。手が届かない部位はしっかりと乾かすことができないし、本当は髪の毛の上から下へキューティクルを逆撫でしないよう乾かす必要がある。

そうであれば、風呂上がりに化粧水や保湿液をひたすらに塗る必要もなく、何らかの布を身にまとう必要もない手の空いた男性が、女性の髪の毛を乾かすのを手伝うことくらいしても良いのではないだろうか?

働く女性が増えた現代で、急速に発達した家電がある。食べたあとの洗い物をしてくれる食洗機や、お出かけ中に掃除をしてくれるお掃除ロボットである。

なぜこれらの家電が発達したのか。理由は明確である。

女性が社会進出して、家事をする時間がなくなったからではない。そのような女性達は、同居する男性陣に家事の分担をお願いするようになった。依頼された男性は、家事を素直に手伝おうとはせず、なんとか自分の代わりを作り出そうとしたのだ。お金で解決しようとしたのである。結果的に、家電は進化し女性も副産物として楽な暮らしができるようになった。その為あまり避難はされないのだが、根本的には男性が家事をやりたくないから発達したのだと、私は考えている。

逆説的になるのだが、自動ヘアドライヤーが発達しない理由の2つ目は、男性が女性の髪の毛を乾かしてあげる、という文化が無いからだと考える。


3. 日本人の女性卑下、軍隊的精神がとても根強い

最後の理由は、日本人の女性卑下、軍隊的精神がとても根強いこととした。

これはどういうことだろう?

女性卑下、というのは昔の話を引きずっていて、何気ない生活シーンにも残ってしまっているということである。

例えば、子供が生まれたばかりのお母さんの髪型を見てみよう。みんなショートカットやショートボブにしていないだろうか?揃いに揃って、みんな同じような感じなのだ。私はあれがとても嫌いである。

ショートヘアが好きならそれでいい。

しかし、現代も「お母さんになったら髪を短くするもの」「ロングヘアーは子育てしない若い女性がする髪型」という風潮はないだろうか?そんなに深い意味で言っていないのはわかっているのだが、「髪の毛を長くできるのはあと少しですからね〜」と美容師さんに言われたことがある。

どうして、結婚して子供が生まれたら、女性は髪を短く切らなければならないのだろうか?

子供の生まれた友人も髪を短く切っていた。私は「どうして髪の毛切ったの?」と尋ねた。「髪の毛なんかどうでもいいってなるんだよ」と彼女は笑って答えた。もちろん、美容なんかそっちのけで子育てをしている女性も美しく、素晴らしいものだ。

だが、自分の身を削って子供を産み、夜泣きで安定して一睡もできず、一日中子供から目を離すことができないまますさまじい疲労感を覚え、日々くたびれている女性から、美しい髪の毛までも奪うというのか。

本当はオシャレもしたいし美容にも気をつけたい。いつまでも綺麗でいたいと多くの女性が願っているのだ。「長い髪が鬱陶しいのであれば切れば良い」ではない。それは「皿洗いが面倒なら食事をするな」と同じである。

また、女性も自分の身を削ってでも子のために全身全霊尽くすのが良い母親だ、という固定観念に囚われすぎていると思う。子が第一で、夫のことには興味なしという人も多いが、欧州では「子が生まれるのは両親が愛し合っているから」という考えがとても強い。そのため、週末はベビーシッターを雇い、夫婦でディナーデートをするのも珍しくないのだ。

もう時代は令和である。

そういった固定観念や軍隊思想もそろそろ終焉を迎え、私達はどういう生活を送りたいのか?どういう状態が幸せなのかをもう一度考え、話し合い、大人になっていく必要がある。

話が少しそれたかもしれないが、最後の理由はそういった女性卑下(女性自身も知らぬ間に卑下してしまっている可能性がある)や軍隊思想が根強いことから、「自動ヘアドライヤーなんて必要ない!」となり開発がされていないことである。


以上、3つの自動ヘアドライヤーが開発されない理由を記述した。

ここで言いたいのは、どうして開発がされていないのかということだけではない。新しいブームを起こすような製品やサービスの共通点は、人々の文化や価値観を変えることができるかどうかにかかっている。

一眼レフで撮り、特別な趣味とされてきた「写真」を、いつでも誰でも世の中に公開することができる日常の一コマに変えたインスタグラム。

「何枚も着こめば温かくなる」という常識概念から、「これ一枚の薄着にする方が温かい」というのを実現したユニクロのヒートテック。

私達に必要なのは、素晴らしいテクノロジーでも、ハイテクなアイテムでも無い。常識や文化、価値観を変えるようなアイデアなのである。