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【薬学部卒のキャリアについて#1】CRO

 新卒は某外資系CRO(医薬品開発業務受託機関)に就職しました。
 しかし1年満たずして退職、今はのんびり調剤薬局で働いています。

 Twitterでよく「薬剤師オワコン!」と見かけて少し悲しくなったので、個人的な感想を前職の経験と交えて述べてみようと思います。
 ちなみに私はと言いますと、実習が楽しくなかったのもあり、新卒は薬剤師やりたくないなって思っていた人間です。

 今回はまず初めに新卒でCROを選んだ理由、そしてやめた理由です。

※あくまでも私が経験した会社・部署に限られた話ですので、CROが必ずこうという一般論ではありません。ご注意ください><

新卒の時の理想

 私の理想は、「英語を使った仕事をして、憧れの場所で働く」ことでした。
 就活当時、塾講師を4年間続けていて得意分野は大好きな英語。小さい頃から言語に関しては試行錯誤してきたので、仕事でより上達させる自信もありました。特に、薬剤師になりたくない多くの薬学生にとって憧れの「医薬品メーカー」に入れば、色んな国の人と働けるのでは?という夢も持っていましたね。

Ⅰ.考えていた業種と、CROを選んだ理由

 一番最初はコンサルタントや、IT、と色々みてはいたのですが、薬を6年間学んできたことが自分の強みだと思ったので、結果的には医薬品業界だけに絞りました。(この選択は今でも正しかったと思ってます。)
 それから志望できそうな業種を並べていきました。

Ⅰ-Ⅰ.医薬品メーカーのMR

 まず薬学生に大人気のMRですが、私はあまり惹かれませんでした。全国転勤であることや、本社勤務までの道のりが結構あること、車の匂いが苦手であること(笑)等を理由に候補から外しました。大手だとお金一番もらえますけどね!

Ⅰ-Ⅱ.医薬品メーカーの臨床開発

 「憧れの場所」で絞ると、最大手のメーカーばかりになります。そんな薬の開発が好調な会社となれば、多くのエリートたちと競合になるわけです。自分自身中堅の大学出身でなおかつ研究もそれほど熱心ではなかったので、一社だけ受けてしっかり落ちました。

Ⅰ-Ⅲ.その他

 その他考えていた業界は、卸と医療機器メーカー、医療系広告・メディア、特許事務所。
 卸は車が苦手、医療機器はまず医薬品からということで志望順位は低く。
 医療系の広告代理店のインターンに行きましたが、業界上クリエイティブさはないので、個人的に面白くなかったです。そして中途で入社した方がこの会社にとって役に立ちそうだな、と。他、メディアは現場経験ある方が働きやすいと感じました。
 また、医薬品の特許の争いは本当に文字通りの「戦争。」大学で特許に関する講義を聞いてから特許事務所にも興味ありましたが、中途の方がいいのではと思った部分は同じです。

Ⅰ-Ⅳ.残ったのはCRO

 結果、「英語を使った仕事をして、憧れの場所で働く」を叶えてくれるところは、外資CROだけでした。笑
 絞りに絞りまくってからは、受かる自信しかなかったので、ホームページを舐めるように見ては分析し、文章の書き方の本を何冊も読みました。
 そして無事狙っていた会社の仮内定が決まり、私の就活は春先には幕を下ろしていました。

Ⅱ.CROで実際働いてみてよかったことと感想

Ⅱ-Ⅰ.確かにグローバルな働き方

 本社からの資料、システムは全て英語。取引先は海外の会社で、その取引資料も英語。同期はもちろんみんな英語ができて、低くてもTOEIC700台はあったと思います。
 Officeアプリケーションの快適さも最高でした。
 他国支社の人と受けるオンライン研修は、各国の性格が分かりやすくてとても面白かったですし、海外で行ってるボランティア活動に参加する機会もあっていい経験させてもらったと思います。母体がでかいって素晴らしい、と感激しました。
(そして憧れの場所でのランチは最高でした!)

Ⅱ-Ⅱ.オフィスワークのスキルが全般的につく

 業務は全てパソコンで、毎日社内外で何十通ものメールや電話のやり取りがありました。メールボックスには100通は常に届いていて、一つのプロジェクトに関わる人数が多いため、簡潔でわかりやすいメールを書く必要があります。ロールによってはMRに近いこともこなし、オフィスワーカーとして働く上で必要なスキルは全て身につきました。

Ⅱ-Ⅲ.激務、激務、そして激務

 CROって本当に激務のところは死ぬほど激務。毎日とんでもない量の資料を病院とメーカーとの仲介役となってやりとりする必要があり、サービス業あるあるの、「人を粉々にしてはお金を発生させるジレンマ」にはまりやすい構造でした。

Ⅱ-Ⅳ.日本独自ルールの多さ

 いくらグローバルな会社と言っても、日本では日本独自のルールがあるので、それに従わざるを得ない大変さもありました。(JGCPとかね、懐かしい。笑)初めて日本で治験する海外の会社に対してその説明をしたり、資料の確認が日本だけでなく本国にも必要になるので締切は迫ってるのに時間がかかったり。もう大変。笑
 やりがいもあるけどね!

 確かに色んな国の人と働ける。
 そして私はメーカーで働きたかった夢が叶ったような部署にいました。
 しかし、仕事の難しさにやりがいを感じ始めた頃、やめること決意します。

Ⅲ.CROをやめた理由

Ⅲ-Ⅰ. 研修のプレッシャーによる体調不良

 研修は本当に辛かった。またやれと言われたら出来ない。笑
 CROの業務をとても短い期間でこなさないといけず、その他の課題もありカツカツ。追い込まれすぎた月はガスター10なしでは生きられず3〜4kg痩せてげっそり。毎日同期と泣きながら電話。
 某財閥の研修では理不尽に怒鳴られるらしいので、まだ可愛いもんだったのかなぁ?笑(そもそも年収2倍くらい違うけどね)
 そして配属されてからも体調悪い状態が続いてしまいました。

Ⅲ-Ⅱ.たまたま悪かった人間関係

 研修時の上司、そしてメンターや配属先の先輩との相性が悪かった。詳しくは伏せますが、社会人してると色々ありますよね!笑
(もちろん仲良かった先輩たちもたくさんいましたが、仕事の面で関わることがほぼありませんでした)
 ポジティブに考えれば、研修が悪役になってくれてたので、同期同士助け合い、そこに強い絆が生まれました。
 研修を修了して配属された先では、幸い上司には恵まれたのでなんとか仕事がこなせていました。

Ⅲ-Ⅲ. 仕事やその周辺のこと

 研修の時から頑張り続けることが当たり前になっていたので、常に100m走をしてる感覚になっていきました。
 先輩たちは皆激務が当たり前。外注された仕事をしていると、関わる人も多く誰も全体図が把握できていない。システムも煩雑でわかる人もおらず、ある問題を2か月引っ張られた時は本当に発狂するかと思いました。
 仕事全般で小さくて簡単な問題がどんどん雪だるまのようにでかくなっていくことが多く、やめる直前は完全に思考停止しちゃってました。

Ⅲ-Ⅳ. 方向性

 ある日朝起きて、もう無理だ、何言ってるんだろこの人、日本語?と全く考えがまとまらなくなり、やめる決意をしました。頑張っても頑張っても怒られるから、この業界と合わないのでは?と諦めに近かったです。

 そもそもこの職種の仕事のスタイルが合わなかったんだと思います。
 CROでの仕事は「黙々と完璧にこなすことが当たり前」なのですが、その完璧という「基準」が人によって違うのでずっと翻弄されていました。
 そして私は人とコミュニケーション取ることが好きで、笑いながら助け合いながら働きたい。しかし誰も笑ってる場合ではなく、大体病んでる。おおらかな上司でさえ、かなり追い詰められていました。

 当時父によく泣きながら仕事のことを相談しました。
 父は昔仕事で不整脈を起こし倒れたことがあるくらいハードワーカーの経験あり。
「倒れてもいいくらい楽しめなきゃ意味がない。仕事、楽しいか?」と父。
 結局、辛いことも楽しめないと頑張れないんだってハッとしたことを今でも覚えています。
 そして定年を迎えても働き続けてる父の単身赴任が決まります。
 彼は成田空港の椅子で「人生は短い。楽しめ。」と言い残して出国していきました。

 それから「この先のキャリアとは?」と自問自答すると、この環境にはありませんでした。やめることを相談してからも助けてくれていた上司。仕事の出来で期待に沿うことはできず、ちょっと悲しかったです。

最後に

 それから休職を挟み転職活動をしました。薬剤師ももう売り手市場ではないもののなんとか調剤薬局に決まります。
  三年の修行は必要と言われたら否定しません。ただ自分にとってその三年間が価値あるものだとは思えなかった。そして転職した今、その判断は間違いなかったです。
 
約1年間本当に全力疾走してきました。おかげで今があるので全く後悔してませんし、就活してた時に戻っても同じ選択をしていたと思います。
 やめちゃった後悔としては、最先端をもっと勉強したかったなぁということ。

 免許があるからすぐやめられたんだよ、と今でも言われます。それは本当にそう。その努力はちゃんとしてきてよかったな、と痛感しています。というか、免許のおかげで比較的に軽い気持ちで就職できたのかもしれない。
  やめた他の(薬剤師ではない)同期は、やりたいことがはっきりしていて自分が何をすべきかもわかっていました。仕事してみて「思ってたのと違ったからやめるわ」というテンションでやめていったので本当に尊敬してます。笑

次回は

嫌だった(?)薬剤師に転職した理由、実際薬剤師やってみた感想を書いていこうと思います!


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