見出し画像

【ラノベ】『まきなさん、遊びましょう』を読んで

■はじめに


 この記事は「HJ文庫公式レビュアープログラム」に基づいて執筆されています。

 では、さっそく5月31日発売の新作を見ていきましょう!
 今回、読んだのは『まきなさん、遊びましょう』です。

■作品紹介

 まずあらすじを確認してみましょう。
 文庫本巻末のあらすじでは、以下の通りです。

怪異研究会の部室には美しい怨霊が棲んでいる

「まきなさん、遊びましょう。そう唱えると、愛と正義の美少女怨霊が助けてくれるんだ」
霊障に悩む親友を救うため、三鏡高校怪異研究会の部員となった少年・戸川諒介。そこには『まきなさん』と呼ばれる少女の怨霊の力を借りる呪文が伝わっていた。
怪異研究会に次々と舞い込む奇妙な相談・事件――「棚の隙間からのぞく視線」「吸血鬼による殺人動画」そして「鏡の中から襲い来る怪物」。美しくも妖しき『まきなさん』に気に入られた諒介は、彼女と共に人智を超えた力をもって謎に挑む!!

 いわゆる「事件簿」系で、怪異に関する事件の調査を進める→犯人や怪異と対峙する、というエピソードの繰り返しになります。

 こう書くと、キャラ文芸の系譜に連なる作品のようですが、そうでもありません。
 というのも、この作品では、怪異に立ち会ったあと、バトル展開になりがちなんですね。

 ここがよくある怪異ミステリとは違って独特でした。

■本作の魅力

「まきなさん、遊びましょう。そう唱えると、愛と正義の美少女怨霊が助けてくれるんだ」というように、前述したようなバトル展開では、召喚獣のごとくまきなさんが登場します。このまきなさんはとにかく強キャラで、どんな怪異も苦なく倒してしまいます。

 まきなさんは常に余裕で、主人公をからかったりもします。

 メインヒロインというよりも、トリックスターとしての役割を帯びているようでした。

 その点で言えば、むしろサブヒロインの栗原唯ちゃんがメインヒロイン的で、いい味を出していました。
呼ばれて出てくるマキナさんと違い、ほとんど常に主人公と行動をともにしているので、こちらが真打ちヒロインではないかとすら思えてきます。

 この栗原唯ちゃんは透明人間になれる異能者です。

 透明になれるといっても、身体だけです。つまり、衣服はすべて脱ぐ必要があります

 透明になる前にある、恥ずかしそうにもぞもぞと服を脱ぎだすシーンは見どころです。圧巻です。

 シャイでおとなしいけども、下世話なところがある……というキャラ造形はある種の嗜好をくすぐりますね。端的に言うと、エッチです。

 さておき、怪異に関する生態は作り込まれていて、丁寧な取材に基づいているのがわかります。
 実際、巻末には妖怪や怪異に関する参考文献がずらりと並びます。余談ですが、色々なラノベを読んできたものの、巻末に参考文献が並ぶ作品は人生で数冊しか読んだことがありません。

 総じて、ちょっとオトナな落ち着いたラノベが読みたい人にオススメです。

まきなさん、遊びましょう 1 (HJ文庫 た 10-01-01) | 田花七夕, daichi |本 | 通販 | Amazon

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,460件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?