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91.恐怖の自転車通行帯

西洋のパニックホラー映画のようなタイトルにしてしまいましたが…、現在の日本では、法律に従って自転車に乗るとかなり危険な状況になっています。

おそらく、自転車レーンが設けられている国の中では、世界一自転車が走りにくく、歩行者も車にとっても危険な国なんだと思います。

あの自転車通行帯が案として出るのは全く問題ないと思いますが、安くないお金と少なくない人員を動員してよく実行に移したな…なんて思ってしまいます。

でも、全部がではなく中途半端になってしまっているのは、こういうことを決める凄い方達の中にも、これは危険だと一般市民の目線で判断をできている人がいるということでしょうか…いや、完結させるには人員も予算も足りないというだけなのか…。

でも、その中途半端な状態がより一層、人々に恐怖体験を提供しています。

その結果、相変わらず歩道を走る自転車が多く、おまけに別問題ですが、現在はスマホの“ながら運転”をする人が増加しています。

歩いている人も車を運転している人も“ながらスマホ”の人が多くなっている現状があります。

そういう人たちは歩道上の子どももお年寄りも何も見ていません。 

見ているのは手元の小さな画面だけです。

“周囲の人が避けてくれるから自分は大丈夫”という感覚になっているのかもしれません。

この状態は日本では日常的になってしまっていますが、これは異常と考えるべきだと思うこの頃です。

まぁ、日本では、車道では“自転車が邪魔”みたくなっているし、歩道では“歩行者が邪魔”、逆に“自転車が邪魔”…という感覚になっているのではないかと感じてしまいます。

日本では、取り締まりが厳しくはなってきていますが、インフラがそんな状態ですし、個人個人の感覚がそんな感じで周囲に無関心な状況ですから、事故が起きても仕方がない状況です。

そして、自転車だけが無法の状態とも言いましょうか…。

今日は自転車レーン…、自転車通行帯についてのお勉強です。

世界の大半の国では自転車は歩道を走りません。

自転車は歩道ではない道を走ります。

歩行者エリアで自転車に乗ってはいけないわけです。

私は2005年に初めてドイツに行った時に何に1番感動したか…、それは歩道の歩きやすさです(あと当時、日本では概念がなかったエコバッグも衝撃でした)。

自転車専用道路が整備されていたので、歩行者も自転車の人も車の人もストレスがなく快適でした。

その結果、渋滞も起きません。

それを経験してしまったら、日本に帰ってくるとより一層恐怖心が強くなりました。

とにかく、言えるのは自転車専用の通行帯のちゃんとした整備と同じく、車の運転手や自転車に乗る人への教育についても重要になります。

ドイツと同じく自転車専用の通行帯が整っているオランダではインフラ整備に半世紀かけてきたとも言われています。

その上で、逆走する自転車はいません。

歩道を走る自転車もいません。

横断歩道で歩行者が待っていたら自転車も車も止まります。

そして、自転車レーン上に車は駐車しません。

これらのことが徹底されているわけです。

そういう国の人たちより日本人の方が堅苦しくルールとかに縛られている民族のように見られていますが、実際はそういうヨーロッパの人たちの方が伸び伸び気楽にストレスフリーに生きているのでしょうが、他者に迷惑をかけないとか思いやる精神が強いのだと思います。

日本では、自転車が歩道を当たり前に走るようになってしまって、もう半世紀以上が過ぎてしまいました。

一方の車道では、車がレースでもしているかのように縦横無尽に走っています。

自転車がいるとクラクションを鳴らします。

幅寄せする人もいます。

自転車に抜かれないようにと左端ギリギリで信号待ちをする人もいます。

横断歩道でも警察が見ていないと停まりません。

そして、数少ない自転車通行帯では、ほぼほぼ駐車場状態です。

何度も書きますが、自転車専用の通行帯のちゃんとした整備と同じく、車の運転手や自転車乗る人の教育についてがとても重要になります。

しかし、日本の交通環境における自転車の扱いは“原則車道の左側を走る”というルールはあるのですが、免許が不要なことなどもあって未だに曖昧で無法状態になっています。

そこで近年は自転車レーンが設けられて、歩行者と自転車の分離というイメージは描かれましたが、改善されたとは到底思えない状態になっています。

自転車と車やバイクといった車両との関係が以前よりも複雑になったような気もします。

自転車は道路工事などのやむを得ない場合や13歳未満の児童と70歳以上の高齢者が乗る場合などには歩道の通行も可能になっています。

幅の狭い道路にそこそこの広さの自転車レーンがある場合には、車はセンターラインから出ざるを得なくなる状況もあり、歩行者と自転車の事故防止には効果の大きい自転車レーンですが、車両と自転車の関係にとっては危険を感じることも多々あります。

そして車両が左折する際に、自転車の巻き込み事故防止などの為に左に寄るのは常識ですが、それなりに幅のある自転車レーンと車両が左に寄るのは大きく矛盾しています。

それでも法規では車両が左折する際には左に寄せることになっているので、自転車レーンによってスピードが上がりがちな自転車と車両の関係はお互いが注意していないと危険です。

パーキングメーターがある道路に自転車レーンがある場合もあります。

明らかに危険です。

自転車レーンや自転車ナビマーク、自転車ナビラインがあっても車両の駐停車は“道路のもともとの規定に準ずる”、“停車は可”など、矛盾していることが多く、曖昧で中途半端なことからとても危険です。

中には歩道、パーキングメーター、自転車ナビマークという順に並ぶ道路もあり、これも車の乗り降りの際に注意を怠ると危険です。

歩行者、自転車、車両の路上での関係は本来、可能なら縁石なども設けて明確に区切るのが理想ですが、現実的な日本の道路環境では道幅の狭さもあり、それが可能な場所はほとんどないというのが実際のところがです。

自転車には免許がないので、交通教育を徹底するのは難しいのも解ります。

しかし、自転車レーン、自転車ナビマーク、自転車ナビラインという走行帯があったとしても、周囲に気を使って、周りが避けてくれるのではなく、自分が譲る…という感覚を持って、安全で安心できる快適な交通手段にしてもらいたいと切に願います。

道路を歩くこと、自転車に乗ること、車を運転することは、サバイバルゲームではありません。

外国と比べて道幅の狭い日本で、歩行者や自転車、自動車に加え、電動キックボードなどの新たな乗り物が共存できるようなルールや構造を改めて早急に考えなければいけない状況なんだと思います。

現在の自転車通行帯は、道路の制限速度や交通量によって3種類に分かれています。

自転車通行帯は、2016年に国土交通省と警察庁が策定したガイドラインで3種類の形態が定められています。

①自転車道

・自転車が走る道路と車道を縁石などで構造的に分離したもの
・車の制限速度が60キロ以上の道路に整備される
・幅は2メートル以上

②自転車専用通行帯

・車道上に青い塗装などで自転車が走る部分が表示されているもの
・車の制限速度が50キロ、または、1日の交通量が4000台を超える道路
・自転車だけが走行でき、車やバイクは通行することができない
・幅は原則1.5メートル以上

③車道混在型

・自転車の通行位置と方向を矢羽根型の表示などで示しているもの
・車の制限速度が40キロ以下、かつ、車の交通量が4000台以下
・車もこの上を通行することが可能
・幅は75センチ以上

このように、車の制限速度や交通量によって整備するべき自転車通行帯の目安が示されていて、道路管理者は、どれを整備するのか選ぶことになっています。

北海道で多い車道混在型は、他の通行帯と違って、車もこの上を通行することができるので、車との距離が最も近くなります。

自転車に乗っている人も危険を感じていますが、車に乗っている人からしても恐怖の自転車通行帯です。

通行帯を走っていた自転車で死亡事故も起きています。

しかし、制限速度は50キロとなっていた道で、そこには自転車専用通行帯ではなく、車道混在型が整備されていました。

ガイドライン通りに整備ができない最大の理由は、通行帯を整備する為の道幅が確保できないことです。

自転車専用通行帯の整備に必要な幅は、1.5メートルです。

日本の昔からある道路は、沿道に住む人に配慮して道路を整備したので、余裕を持った道幅になっていない状態です。

また、複数の車線があって一見、自転車専用通行帯の整備ができそうな道路でも、ある程度の区間で、連続して整備しないとかえって交通に混乱が起きると考えられることから、車道混在型にせざるを得ないということです。

通行帯の整備は、全国的な課題になっていて、その中でも、車線を50センチ狭めたり、路肩のスペースを活用したりして、なんとか1.5メートルの幅を確保しているケースや電柱をなくして通行帯を整備しているケースもあるようです。

自転車は車道を走らなければならないことを理解していても、車道は恐いので歩道を走ってしまう状態です。

自転車は特に近距離の移動には便利であり健康的な移動手段です。

通行帯を“命を守れる場所にすること”を最優先にした…、街造りの問題として取り組む必要があると感じたところで、本日のお勉強を終了します。

写真はいつの日か…札幌市で撮影したものです。

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