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膨大な医療ドメインの知識に、チームで立ち向かう。ヘンリー社内勉強会とは|ヘンリーという組織を紐解く

株式会社ヘンリーは、「社会課題を解決し続け、より良いセカイを創る」というMissionのもと、クリニック・中小病院向けの基幹システムであるクラウド型電子カルテ・レセプトシステム「Henry」を開発・展開しています。

膨大かつ複雑と言われる医療ドメインで、システム開発を行っているヘンリー。実際に開発業務に携わるエンジニアにも、医療ドメインの知識は必要不可欠です。しかしヘンリーのエンジニアは、もともと医療業界での経験を持っていた人は決して多くありません。

では、どのようにしてドメイン知識をチームで共有し、日々の業務に取り組んでいるのでしょうか。その答えの1つが「社内勉強会」です。

今回は、レセプトコミッティーチームでエンジニアとして開発業務に携わる長尾ビトルさん石川耕平さん(それぞれ“ビトルさん” “耕平さん”とお呼びします)のお2人に、チームで継続的に開催されている勉強会の取り組みについて伺いました。

医療ドメインに立ち向かう、レセプト開発チーム


─ まずは、お2人が所属されているチームについて教えてください。

耕平:現在、僕たちのレセプト開発チームでは「Henry」入院版の開発や、導入予定の医療機関からの要望に応えるための機能追加などを行っています。チームの編成としてはエンジニアが5名、ドメインエキスパートが4名います。

ドメインエキスパートの方とエンジニアとで密に連携を取りながらシステムを作っていて、ちょうど今は1年くらいかけてやってきた入院版の開発プロジェクトが終盤を迎えている状況ですね。

─ チームの中にドメインエキスパートの方とエンジニアの方が半々くらいでいらっしゃるんですね。想像よりもドメインエキスパートの方が多いと感じたのですが、一般的にはどうなのでしょうか?

耕平:確かに一般的には、1つのチームにドメインエキスパートがここまでついてくださっていることはないかもしれません。

というのも、僕らのチームの仕事はドメインへの深い理解が必要で、やらなければならないこともたくさんあるんですね。だからこそ、これだけしっかりとドメインエキスパートの方がいらっしゃるのだと思います。

ビトル:以前はドメインエキスパートの方は少なかったんですが、最近増えてきました。この人数の多さは、医療ドメインの複雑さを物語っていると思いますね。「エンジニアたちに医療ドメインの適切な知識をつけてもらう」こともドメインエキスパートの方の重要な1つの役割になっているのではないかと思います。

毎日のように開催している社内勉強会

勉強会について語る耕平さん

─ 勉強会はいつごろから開催されるようになったのですか?

耕平:2022年4月ごろ、レセプトチームが発足したのと同じ時期からですね。チームの結成とほぼ同時期に「勉強会的なものを始めよう」という雰囲気になって、そこから勉強会もスタートしました。

ビトル:一番初めは、誰かの「これがちょっと分からないので相談したいんですけど」という話の流れからです。がっつり音頭をとって始めたわけではなく、必要に駆られて自然と始めるようになりました。僕も耕平さんも、勉強会には第1回から参加しています。

─ 開催頻度は決まっていますか?

耕平:ドメイン知識の勉強会は、週3回実施しています。毎週同じ曜日・時間に勉強会の枠がスケジュール上で組まれていて、テーマはその都度決めていくような形です。だいたい7~8人くらい参加していますね。

─ テーマはどのように決めているのでしょうか?

ビトル:毎日実施している朝会の中で決めるようにしています。「今日はこれやりたいです」「これ聞きたいんですけどどうですか?」と話が挙がってきたら、じゃあ今日はそれをテーマに、という感じです。

耕平:「このテーマだったら、今日は〇〇さん教えてもらえますか?」「そのテーマなら私が教えます」と、教える側の人も自然に決まっていきますよね。

ビトル:そうですね。特定のドメインに詳しい方とか、ちょうどそのテーマを最近業務で取り扱ったという方がやってくださいます。教える側になるのはドメインエキスパートの方が多いです。

─ 現在、継続的に勉強会を開催されているのはレセプト開発チームだけですか?

ビトル:社内のスケジュールを見る限りはそうですね。他のチームでも特定のテーマに絞った勉強会は月1~2回程やっていると思いますが、ほぼ毎日に近い形で実施しているのは僕らのチームくらいかもしれません。

膨大な知識を身につけ、生かしていくことの難しさ


─ エンジニアの方がドメイン知識を深く学ぶことは、そう簡単ではなさそうです。その課題はどこにあると思いますか?

耕平:人によってまちまちかもしれないですが、僕の場合はすぐ忘れてしまうので……この前勉強会で聞いた気がするけど、どういうことだったかな、みたいな。

ビトル:分かります、僕もです。そもそも医療業界の知識が膨大すぎて、ドメインエキスパートの方であっても専門的な知識を持っている部分は限られているんですよね。

なので、エンジニアとしてもすべての知識を頭に入れることは不可能に近くて、どれくらいの知識が必要なのかも正直把握しきれていません。そういった点が大きな課題になっているのかなと思います。長い時間とコストをかけて、毎日少しずつ反復しながら覚えていくしかないんですよね。

耕平:体系的に学べたらいいんですが、膨大すぎてそういう学び方も難しいですし……。だからこそ、勉強会で頻繁に時間を取っているのは効果的なのではないかと思いますね。

─ では、勉強会の内容を今後に生かすために、何か工夫されていることはありますか?

耕平:概要レベルで文字に起こしたメモを作ったり、録画を残したりしています。その場では覚えていてもすぐ忘れてしまいがちなので……参加できなかった人も後からアクセスできるように、資産として勉強会の内容を残す工夫はしています。

─ 勉強会に参加する上で心掛けていることはありますか?

ビトル:テーマを決める際に、なるべく直近の業務で必要になってくるようなものを取り上げることにしています。これからやろうとしていることを他の人にも見てもらえますし、直近の業務で必要になることだから忘れないようにしよう、と心構えもできるので。

耕平:お互いに相談したりレビューし合ったりということは発生するので、チーム全体で学習しておくことにも意義があるんですよね。一人ひとりが個人で勉強するよりも、チームでやると長い目で見て効率的になるような気がします。

エンジニアリングの勉強会も実施

勉強会について語るビトルさん

─ 勉強会ではドメイン知識だけでなく、エンジニアリングの技術的なテーマが取り上げられることもあるのでしょうか?

耕平:はい、技術的な話題に振り切った勉強会もやっています。最初は週4回ドメイン知識の勉強会をやっていたんですが、3か月くらい前からは、そのうちの1回を技術的な勉強や相談の時間として取っています。

また、ドメイン知識の勉強会の中でもエンジニアが教える側に立って、システムの実装に携わったエンジニアメンバーがまだ詳しくないメンバーにレクチャーする、ということもありますよ。設計周りに関してはドメインエキスパートも深く知らないこともあるので、そういう知識を共有する場にもなっています。

─ なるほど。開発をスムーズに進めるためには、医療ドメインの知識と技術的な知識の両輪が揃わないと難しいということですね。

耕平:そうですね。ただ、弊社のドメインエキスパートの方はエンジニアリング領域の話も理解してくださる方が多いんです。そういう意味では、エンジニアもドメインエキスパートもお互いに歩み寄って、考え方や知識を共有しながらやっていけているような感覚があります。

これまでの変化と今後の展望


─ チームでの勉強会がスタートしてから半年以上経っていますが、その間に変化したことはありますか?

耕平:最初は集まったその場でテーマを決めていたんですが、それだとテーマを探している時間ももったいないですし、本当に聞きたいことが思い出せないこともあったんですね。なので、朝のデイリースタンドアップで話し合ってテーマを決めて午後に開催する、というやり方になっていきました。

─ 今後、勉強会をこんな場にしていきたいな、という思いはありますか?

ビトル:エンジニアも教えてもらうだけでなく、知識を共有できる立場になるのが理想ですね。今後入社される方も増えていくでしょうし、エンジニアみんながドメインエキスパートに頼って知識をもらうだけではなく、ある程度知識を持って他人に教えられるくらいになって、知識の継承というか循環ができたらと思っています。

耕平:僕もビトルさんも勉強会にずっと参加してきていて、その効果というかありがたさをすごく感じています。なので、これから入ってこられる方にもぜひ、同じような恩恵を受けてほしいですね。

継続してきたことで感じられる楽しさ


─ これまで勉強会に参加されてきて、ご自身の変化や勉強会への感想はいかがでしょう?

ビトル:僕自身の変化としては、多少話についていけるようになったな、という感覚があります。最初は勉強会に参加していても、正直何の話をしているのか分からなくて、少し絶望感があったので……(笑)

繰り返し勉強会をやっていくうちに、「そういえばこれあの時に聞いたな」とか、単語が記憶に残るようになってきました。あまり大きな成長という感じではありませんが、ちゃんと継続することが重要なんだな、継続してきて良かったな、というのが一番の感想ですね。

耕平:僕も勉強会に継続して参加してきて、前提となる知識が増えてきたので、だんだん理解できるようになってきました。率直な感想としては、「楽しい」ですかね。医療ドメインはなかなか癖があって面白い部分もあるので、それを面白おかしく和気あいあいと学べる場になっているのは、すごくいいなと感じています。

忘れっぽいところがあるので知識をつけていくのは苦しいんですが、それでもコツコツ続けていくと知識の吸収スピードが変わってきたり、身に付いている実感がわいてきます。業務の中でも「あ、これ勉強したところだ」というシーンが増えてくると、コツコツやってて良かったなと思います。そういう意味でも楽しさがありますね。

─ 知識が膨大で難しいからこそ、学び続ける楽しさもあるということですね。

耕平:はい。もちろん「なんでこんなに複雑なんだ」と嫌気がさすこともありますが(笑)それが面白くもあるんです。やっぱり深い理解というか、どういう構造になっているのかが分からないと、システムとしてもどういった形にするのがいいのか見えてこないですからね。

─ 勉強会には、これから入社される方も参加できますか?

耕平:もちろん!どんどん参加していただきたいです。

─ ちなみに、チームの方以外でも参加できるのでしょうか?

ビトル:基本的にはチーム内でやっていますが、特に参加制限を設けているわけではないので興味があれば参加可能です。今のところ、他のチームの勉強会に参加している人はあまりいませんが……。

耕平:そうですね。でも「今回は神回だった!」という勉強会は、録画を全体に共有することもありますよ。

─ 神回!ぜひ他のチームの方にも見ていただきたい濃密な内容ということですね。

耕平:はい、これはぜひ見てほしいと思ったら他チームにもシェアしています。ドメイン知識を身につけて、それを仕事に生かしていく直接の責務を負っているのは僕らのチームなので、特に勉強会を大切にしているように思いますね。

チームで知識を身につけ、さらにより良い方向へ


─ これから入社される方の中には、医療ドメインの知識をお持ちでない方もたくさんいらっしゃると思います。でも、勉強会でしっかりと知識を付けられるのであれば安心ですね。

耕平:はい。今いるメンバーの中でも、ドメインエキスパートの方以外は医療ドメイン初心者が多いんです。そういう方でも知識をつけながらやっていけている、という実績や実感はありますので、ぜひ安心して飛び込んできていただきたいなと思いますね。

─ 最後に、ヘンリーに興味をお持ちの方へのメッセージをお願いします。

ビトル:弊社では技術力だけでなく、ドメイン知識も取り入れた上できちんと時間をかけて開発を行っています。エンジニアだけで固まって設計するのではなく、ドメインエキスパートの方も交えながら進めていくことも多いです。だからこそ、知的好奇心のある方にはすごくいいチームだと感じられるのではないでしょうか。

耕平:医療ドメインに限ったことではありませんが、ドメインエキスパートとエンジニアがどう協働していくかというのは、他の企業でも課題になりがちです。弊社ではそういった部分も重要視していて、どうすれば快適に働けるのか、というところも突き詰めていきたいと考えています。

こういった課題にも興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一緒により良いやり方を見つけていきましょう!

インタビュー:鶴留彩花


ヘンリーでは、さらなる成長に向けて採用も積極的に行っています。ご興味をお持ちいただけた方は、ぜひお気軽にご連絡ください。