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複雑な仕組みを、シンプルに。レセコン開発の難しさと面白さとは | エンジニアインタビュー

株式会社ヘンリーは、「社会課題を解決し続け、より良いセカイを創る」というMissionのもと、クリニック・中小病院向けの基幹システムであるクラウド型電子カルテ・レセプトシステム「Henry」を開発・展開しています。

今回お話を伺ったのは、「Henry」のレセプトコンピューター部分の開発業務に携わる石川耕平さん(弊社には“石川さん”が複数人いますので、ここでは“耕平さん”とお呼びします)です。そのキャリアはSIerでのエンジニア職から始まり、美術学校への通学や海外留学、ベンチャー企業のVPoTを経て、2021年に株式会社ヘンリーへ入社されました。

エンジニアとして複数のお仕事を経験されてきた耕平さんですが、医療ドメインはヘンリーが初めてなのだそう。未経験の領域に飛び込む際の心構えや、医療ドメインのエンジニアとして感じる難しさ・面白さなど、現場のリアルな声を伺いました。

社会的な意義がありそうだと感じた、ヘンリーとの出会い

─ 現在、耕平さんがヘンリーでされているお仕事について教えてください。

電子カルテ「Henry」のレセコン部分の開発を行うチームに所属していて、開発業務そのものの他に、技術面・設計面でチームをリードするような立ち回りをしています。開発メンバーは全体で15人くらい、その中でレセコンチームのエンジニアは4人くらいで動いています。

─ 耕平さんがヘンリーに出会ったきっかけは何ですか?

ヘンリーに出会ったのは、転職サイトの中で届いたスカウトです。当時は本格的に転職活動を始める前だったのでスルーしていましたが、いざ本腰を入れて転職活動を始めたタイミングでスカウトに返信しました。

─ なぜヘンリーからのスカウトに返信しようと思ったのですか?

理由の1つは、ヘンリー技術力が高そうだなという印象があったからです。また、「医療ドメインで電子カルテを作っている企業」というのは、分かりやすく社会的な意義がありそうだなと感じたのも興味を持ったきっかけですね。

初めて飛び込んだ医療ドメインの印象とは

─ 医療ドメインはヘンリーが初めてと伺っていますが、新しい領域に飛び込むことへの不安はありませんでしたか?

実は、不安というのはそれほどありませんでした。医療に関してはまったくの素人でしたが、どんな仕事でもやってみなければ分からないと思っていたので。今思うと、ちょっと甘く見ていたのかもしれません(笑)

エンジニアとしてのお仕事は、業界によって異なる部分もあれば、そう変わらない部分もあります。技術的な面は結構普遍的なものが多く、どこに行ってもそう変わらないと思いますが、業界の知識や業務ルールはかなり異なります。

そういった意味では、初めての業界に飛び込むハードルは少しあるかもしれませんね。特に医療関係だと取り扱わなくてはならない知識や制度の数も多いので、そこは不安に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

─ 医療業界に対する第一印象はいかがでしたか?

制度やルールがたくさんありそうだなというイメージと、他の業界に比べてより「きっちりしなければならない」というイメージでしたね。

後者のイメージに対しては、複雑な物事をいかにうまく扱うか、それを突き詰めていって業務ロジックの抜け漏れが出にくいようにするには、といった点もエンジニアリングの醍醐味の1つですし、そういった分野を探求していくのは面白そうだなと思っていました。

─ ヘンリーに入社して実際に業務を行っていく中で、その印象に変化はありましたか?

イメージの10倍くらい医療ドメインの知識やルールが膨大かつ複雑で、圧倒されました(笑)いろいろ悩んだ時期もありましたよ。

でも、ヘンリーで働く社員は医療業界の経歴がない人ばかりなのですが、その中でも少しずつ理解しながら前に進んでいます。医療の知識については、必要なものをその都度身につけていく形でも大丈夫なのだと分かりました。

それよりも「複雑な物事をいかにうまく扱うか」という部分が、エンジニアには求められているのだと思います。

「ヘンリーの設計の面白さ」について語る石川さん

日本一複雑かもしれない、レセコン開発の難しさ・面白さ

─ ヘンリーでのお仕事の中で、難しいと感じる部分はありますか?

やっぱり、医療ドメインにおける業務ルールの複雑さと巨大さですね……。レセプトコンピューターは診療報酬制度に基づいたシステムなのですが、レセコンに求められる業務要件は日本一複雑なものの1つだと思っています。

というのも、人によって解釈が異なる部分や曖昧さを含んでいるので、制度をそのままシステムに落とし込むことが困難な場合もあります。地域や病院、医師によって異なることも多く、かなり複雑で難しいんですよね。

ドメイン知識については、チームで毎日30分勉強会をしていて、楽しみながらインプットしています。また勉強会以外でも、ヘンリーには医療ドメインのエキスパートのような方がいらっしゃって、何かあったときにすぐキャッチアップできる環境が整っています。これはとてもありがたいですね。

─ レセコン開発の面白さはどういったところにありますか?

複雑な制度やルールをいかにシンプルに扱うか、そこに求められる技量やセンスを磨いていくのが面白いと感じています。

レセコン開発において、目の前の求められる機能を最短で実装するといういわゆる「戦術的」な方法で開発を進めていくと、世の中にまた1つメンテナンス困難なシステムを生み出すだけの結果に終わってしまいます。機能が増えていっても複雑性を低く保ち、理解容易性や変更容易性を損なわないようにすることがとても重要です。

僕たちがやっているような分野は、具体的な技術を覚えて使う力よりも、ソフトウェアデザインやモデリングなど、純粋な設計力が生きる分野だと思っていて、それを突き詰めて身につけていくのはきっと楽しいことだと思います。

─ システムの設計・開発というと、全体像が見えない中で先を見越して組み立てていくのが難しいところだと思います。システムが崩壊しないようにするために、気を付けていることはありますか?

確かに難しいところですね……。心がけていることの1つとしては、変わっていくことを前提に作る、ということですかね。

不確実性が埋まっていそうなところは、一旦その時点で良さそうなものを置いてみる。先に進むと必ず新しいことが見えてくるので、より正解らしきものに直していく。その繰り返しですね。

業界の知識が求められる部分はエキスパートに聞きながら判断し、関心事を整理したり、ある部分の変更が他に大きく伝搬しないようにしたりと、基本的なことをやっていくことが効いてくると思います。

日本の電子カルテメーカーのための“野望”を抱く

─ 今後のレセコン開発について、耕平さんの思い描く将来像について教えてください。

日本の電子カルテメーカーのためのレセコンを作りたい、という思いがあります。というのも、医療ドメインの複雑な仕組みの処理を各レセコンメーカーがそれぞれやっているのかと思うと、日本の貴重な労働力をもっと他のところに使えるのではないか、と感じる部分があって……。

だからこそヘンリーが圧倒的に優れたレセコンを作り、ヘンリーだけでなく日本の電子カルテメーカーのためのレセコンとして供給できたらいいな、と。そしてこの労働力の消費に終止符を打ちたい、というのが個人的な“野望”ですね。

─ なるほど、それは確かに“野望”という言葉がぴったりですね。では、開発チームとしての野望はありますか?

開発チームの目線で言うと、一人ひとりが自走していけるような強いチームになっていきたいと思っています。

意思決定の現場から遠いと、決められたことをやるスタンスになりがちだと思うのですが、そうではなくみんなが主役・主体である、というスタンスを持ち続けたいですね。お互いに強みを生かして補いあって、みんなで学習しながら成長していけるチームとして、楽しくやっていけたらと考えています。

─ ありがとうございます。では最後に、耕平さんは今後どんな人と一緒に働きたいですか?ヘンリーに興味をお持ちの方へ、メッセージをお願いします。

熱意を持った方や、一緒により良いプロダクト/チームを目指していける方と働けたらと思います。

ヘンリーでは、僕も含めてみんなが成長過程にいると思っているので、僕たちが目指す野望を実現するには、みんなで学んで成長していかなければならない。そういった意味で一緒に成長していける方が仲間になってくださると、とても嬉しいですね。

僕のように医療業界は初めてという方でも、学び合いながら働ける環境が整っています。社会課題の解決に向けて、一緒に歩んでいきませんか。

インタビュー:鶴留彩花


ヘンリーでは、さらなる成長に向けて採用も積極的に行っています。ご興味をお持ちいただけた方は、ぜひお気軽にご連絡ください。