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令和5年度 NPO法人Piece of Syria事業計画書(後編)今年度の重点的な活動

この記事は(前編)「外部要因とこれまでの歩み」の続きです。

3 .今年度の重点的な活動

① シリア国内での教育支援事業

 地震後、さらにニーズの高まった心のケアを中心に、シリア北西部の幼稚園・小学校での教育支援活動を実施し、子ども達が教育を受けられる環境を整えます。

 前年度、現地パートナーNGOスタッフを日本に呼び、幼稚園などの訪問や教育を研究する大学教授とのディスカッションを実施しました。その経験を現場で活動する職員に共有し、現地の状況に合わせた形で応用していき、教育の質を高めていきます。

 一方、地震後、支援が後回しになって校舎の修復が進んでいない状況を受けて、新しいパートナーNGOと共に校舎の修復と学校の再開を進めていきます。
 心のケアのために、新しいスペースを作り、アクティビティを実施すると共に、専門家が国内避難民キャンプを訪れて、先生達向けの研修を行なうアウトリーチ事業も進めていきます。

地震で校舎が復興しない中、一時的な学習機会を作る活動も

② トルコ南部での教育支援事業

 トルコ南部のシリア難民向けの補習校を継続し、トルコの学校に行けなくなっていたシリアの子ども達が再び、トルコの学校に戻るための授業とアクティビティを実施します。

 当初、家で話している母国語のアラビア語と異なるトルコ語の授業についていけず、退学するケースが多かったので、補習校ではトルコ語の補習を中心に実施していました。しかし、避難生活が長期化すると、子ども達はトルコ語の方が理解できるようになり、母国語であるアラビア語は家族で使うために話せるものの、読み書きができない状態になりました。

 そのニーズの変化に合わせて、アラビア語の読み書きの授業を実施しています。トルコ政治の変化次第では、シリアに帰還する選択肢がある中、トルコでもシリアでも住むことができる基礎を作っておくことは非常に重要です。

トルコの補習校の授業の様子


 また算数・理科の授業も実施しており、卒業生は、トルコの学校でトップの成績を修めるなどの成果を出しており、引き続きより良い授業が行われるよう努めていきます。

 また、トルコ人コミュニティと共生していくため、トルコの学校と共に交流のアクティビティを実施しており、こちらも継続していきます。これにより、いじめや文化の違いによって学校に行けなくなることを防ぐことが期待できます。

卒業生にヒアリングし、成果を確認しています

③ 日本国内での平和教育事業と組織基盤強化

 前年、各分野の専門家に登壇いただき、支援者向けにシリアの文化を紹介する「シリアの教養ゼミ」を実施しました。ご参加者の半数以上が、シリアについてほとんど知らない、というところから、「シリアに興味を持ったので、行ってみたい」と思っていただける成果が生まれました。

 また、シリアのオンラインツアーも実施し、観光地をシリア人ガイドがライブ中継で案内する企画では、電波状況が不安定になることがありながらも、それもシリアの状況だということまで伝わりながら、「実際に行ける日」をより明確にイメージできる企画となりました。この企画は、今年度もさらに改善を加えて実施します。

 株式会社With The Worldと協力し、日本の学校の生徒と、団体が運営する幼稚園の生徒とシリア国内の大学生との交流事業にも着手しました。難民や戦争といったイメージとは異なり、自分たちと変わらない人たちなんだと、シリアの人が身近に感じる機会を提供しています。より多くの学校に参加してもらえるよう、With The Worldの方々と共に広報に努めます。

SAKURA幼稚園と日本の学校をオンラインでつないで交流を

 シリアの文化の保全を目指した活動を実施している別のNGOとの協力も検討しており、戦争の中で失われてしまいかねない、シリアの伝統的な文化や習慣を映像や本に残していく事業にも着手していく予定です。

 様々なシリア人NGOとの協働を進めることを通じ、より多角的な視点でシリアの状況を把握し、情報発信の精度と頻度を高めていきます。


 団体代表の中野は、ケニアからの遠隔での活動ながら、前年度もメディアの露出を増やすことができました。本年度もケニアからの活動となりますが、国内のスタッフと協力し、活動をより力強く成長していくことを目指します。

 そして、シリアと聞いた時に「戦争」「難民」といったマイナスのイメージではなく「いつか行ってみたい国だよね」という声が最初にあがるような活動を目指します。 

その一つのマイルストーンとして、2028年度の予算が1億円を超え、シリアのために活動する日本の団体として、一番最初に思い浮かべていただける団体となることを目指します。

令和5年度(2023年度)活動予算書

決算は2023年12月に。その後、総会を行ないます。


最後に伝えたい一言

長文となりましたが、読んでいただき、ありがとうございます。

このnoteを書いている10月9日の少し前から、シリアでドローン攻撃・砲撃・空爆などが各地で起こっています。
すぐに幼稚園そのものとスタッフの無事は確認しましたが、状況がまだ分からないことが多く、避難を余儀なくされている人たちも多くいるそうです。

それでもなお「誰が悪い」とかいう単純な話でないと感じるのは、シリアの他の地域で、他の勢力が攻撃をしていることをニュースで見てるからです。

当事者の怒りを、僕は代弁できないし、やるべきでないと思っています。
外部者である僕が、対立を煽ってはいけないと思うからです。
(もちろん、当事者に対して「怒るべきでない」とも思いません)


以前、「なんでも夢が叶うなら何を願う?」と聞かれた時、僕は「シリアの平和」って答えました。
僕自身の叶えたいことは、僕自身がなんとかできる状況にあると思えるけれど、戦争だけは手も足も出ないんです。悔しいことに。

ただ、平和のために僕ができることはある、と思って、僕は2016年から活動を始めました。

Piece of Syriaが、平和のための活動となれるように、そして、
より多くのシリアの人たちに、より優しい活動ができることを目指していきます。


そのために、是非、あなたの力を貸してください。
下記のサイトを見ていただき、「できること」でお力を貸していただけますと幸いです。



読んでいる方が「面白い!」と思ってもらえるような形で、私たち国際協力夫婦らしい形でサポートを使わせて頂きます。めぐりめぐって、きっと世界がHappyになるような形になるように!