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腰痛をPT的に紐解く  〜その1〜

[腰痛の分類] ・非慢性疼痛:基本自然に治る 73.6% ・慢性疼痛:神経障害性疼痛 疑いなし 20% ・神経障害性疼痛疑いあり:6.4% [急性/持続性腰痛の自然経過] 急性/持続性ともに最初の6週間で著しく改善、低〜中等度の疼痛・能力傷害は1年間残存する例もある。 最初の3ヶ月:33%の患者が改善 1年後でも65%の患者で疼痛が残存 発症時に疼痛レベルが高い、抑うつ傾向、痛みが永続的に持続するという信念、活動量制限、労災などの保証がある方が1年予後の推定と予

    • 心筋梗塞と心不全

      【前置き】 心不全患者さんは年々増加傾向にある。高血圧、心筋症、先天性心疾患、不整脈、心筋梗塞、弁膜症など心不全の原因は多岐にわたる。治療の発展で心筋梗塞後の救命率は上がったものの、反対に重症の方でも生存できるといったパラドックスが生じた。 【心筋梗塞の器質的メカニズム】 心筋壊死→梗塞部伸展→梗塞部瘢痕化、肥大・拡張 【心不全による代償メカニズム】 心拍出量低下→交感神経、RA系活性化し代償機構→心拍数増加、心拡大、心臓刺激ホルモン→心臓への過負荷・傷害→慢性心不

      • CPXについて

        CPXとは心配運動負荷試験のことを言います。 運動負荷中に呼気ガス分析機を使用することで様々なデータを収集することが可能です。 目的としては、運動耐容能の評価、運動時心ポンプ応答の評価、運動時不整脈の評価、心筋虚血のスクリーニング、心不全の重症度評価、心不全症状の精査、運動処方、治療効果判定など多岐に渡ります。 理学療法士としては、 ①安全に効果的に運動ができる強度を見つけることができる ②運動中に心臓や肺に異常がないかチェックすることができる ③今現在、どの程度

        • ATポイントとは?😎

          ATポイント(嫌気性代謝閾値) 有機的な代謝に加えて無機的な代謝が始まる点の運動強度のこと。また、切り替わる点のこと。 無酸素運動は、運動量の増加に伴い筋肉に溜まり始めた乳酸を減らそうとするため二酸化炭素を排泄する量が増え、換気が亢進し心臓に負担がかかります。 ATポイントでの運動はなぜいいのか? 乳酸が蓄積せず長時間の運動が可能。 換気亢進による呼吸困難が起きにくい。 心臓に優しい。 冠危険因子の改善にも好ましい。

        腰痛をPT的に紐解く  〜その1〜

          お煙草をお吸いになりますか?

          ブリンクマン指数🚬 1日の喫煙本数×喫煙年数 400以上:肺ガン危険 600以上:肺ガン高度危険 700以上:COPD、狭心症リスク高 1200以上:咽頭ガン高度危険 喫煙されている方は一度計算してみてもいいかもしれませんね😎

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          心不全患者の栄養の評価と管理を極める

          心不全患者の 5 年生存率は 50% と予後不良で、退院後 30 日間の再入院率は約 23% と非常に高い確率であると言われている。 急性心不全では、血清 Alb 値 3.4g/dl 未満の患者では予後不良、プレアルブミン値が 15mg/dl以下で 180 日間の予後不良とされている。 慢性心不全では総コレステロール値が低値であることが予後不良因子と言われている。 心臓悪液質と低栄養の関係について 心臓悪液質とは心不全患者の意図しない体重減少のことをいう。これは極めて予後

          心不全患者の栄養の評価と管理を極める

          フレイルを呈する高齢心不全患者のサルコペニア・ カヘキシアの実態調査

          サルコペニア ・一次性サルコペニア:加齢 ・二次性サルコペニア:廃用・疾患 心不全では病態による悪液質(カヘキシア)を起因とした二次性サルコペニアが主 高齢心不全患者のうち約 50% はフレイル、サルコペニア、カヘキシアのうち複数の症候群を保有し心不全患者のフレイルの保有率は 18~54%、サルコペニアの保有率は 35.2% 、カヘキシアの保有率は 5%~15% サルコペニアの治療には,タンパク質とビタミン D の摂取に加え、レジス タンストレーニングを行うことが有

          フレイルを呈する高齢心不全患者のサルコペニア・ カヘキシアの実態調査

          フレイル心疾患患者に対する急性期レジスタンス トレーニングの内容と効果を検証する

          心不全は容易にフレイルサイクルの悪循環に陥りやすく心不全におけるフレイルの割合は 44.5%となる。 【レジスタンス運動可能な基準】 ①1 週間以上利尿薬の増量がなく体重安定 ②うっ血の症状がない(起座呼吸,浮腫,腹水,頸静脈怒張) ③50bpm<心拍数<100bpm で安定 ④狭心症状なし,不整脈なし,もしくは頻度が少ない (NYHA)分類 I~III 度・カテコラミン離脱・収縮期血圧≧80mmHg 【レジスタンス運動禁忌】 ①NYHA 分類 IV 度 ②左室

          フレイル心疾患患者に対する急性期レジスタンス トレーニングの内容と効果を検証する

          フレイルPADに対する運動療法

          末梢動脈疾患(PAD)は動脈硬化による慢性虚血で骨格筋の機能障害が起こり疼痛,跛行,潰瘍など下肢特有の症状を呈する病態のことをいう。 【重症度分類】 ・ Fountain 分類 Ⅰ:無症状 ⅡA:軽度の跛行 ⅡB:中等度の跛行 Ⅲ:虚血性安静時痛 Ⅳ:潰瘍化又は壊疽 ・Rutherford 分類 0:無症状 1:軽度の跛行 2:中等度の跛行 3:重度の跛行 4:虚血性安静時痛 5:組織小欠損 :組織大欠損 Fountain 分類の IIa,IIb、Rutherfo

          フレイルPADに対する運動療法

          脳卒中データベースからみる急性期脳梗塞例の心臓リハビリテーション応用への可能性

          脳梗塞患者と虚血性心疾患および慢性心不全患者は共通した病 態背景を有することが多いと言われている。 慢性心不全の心大血管リハビリテーション料算定基準適応例でLVEF40% 以下、血中 BNP濃 度 80pg/ml 以上に該当するのは44%とのこと 包括的外来リハビリテーションを応用することで、脳卒中再発を含めた生活習慣病イベントを減少させ、活動性・社会復帰向上につながる可能性が生まれてくる。

          脳卒中データベースからみる急性期脳梗塞例の心臓リハビリテーション応用への可能性

          診療報酬からみた心臓リハビリテーションの実情

          平成 29 年度の算定単位数の内訳 1位 運動器リハビリテーション料 197,546,116 単位(46%) 2位 脳血管疾患等リハビリテーション料  168,883,823 単位(40%) 3位 廃用症候群リハビリテーション料 35,108,146単位(8%) 4位 呼吸器疾患リハビリテーション料 11,217,921単位(3%) 5位 心大血管疾患リハビリテーション料 8,851,275 単位 6位 がん患者リハビリテーション料 4,972,628単位(1%)

          診療報酬からみた心臓リハビリテーションの実情

          心疾患患者にとって5METsの運動耐容能があることの意義

          心疾患患者さんの運動耐容能として最高酸素摂取量(Peak O2)が 5METS 未満であると死亡率上昇、日常生活動作の阻害因子となる。そのため、臨床的にそのレベルを目指すことに意義はある。 予後を左右する基準値 Peak O2   17~18ml/kg/min(5METs)   AT    11ml/kg/min(3METs) 本来、心配運動負荷試験(CPX)にてその値を測定し、その後の運動療法の目安を設定することが臨床上多いが入院患者さん全員がCPXを実施できるわけ

          心疾患患者にとって5METsの運動耐容能があることの意義