腰痛をPT的に紐解く  〜その1〜

[腰痛の分類]

・非慢性疼痛:基本自然に治る 73.6%

・慢性疼痛:神経障害性疼痛 疑いなし 20%

・神経障害性疼痛疑いあり:6.4%

[急性/持続性腰痛の自然経過]

急性/持続性ともに最初の6週間で著しく改善、低〜中等度の疼痛・能力傷害は1年間残存する例もある。

最初の3ヶ月:33%の患者が改善 1年後でも65%の患者で疼痛が残存

発症時に疼痛レベルが高い、抑うつ傾向、痛みが永続的に持続するという信念、活動量制限、労災などの保証がある方が1年予後の推定と予後因子に関わる因子として報告されている。

急性腰痛から慢性腰痛に移行しないように2次予防していくことが理学療法士として重要である。

[バイオメカニクス的なメタアナリシス]

メタアナリシスでは、腰椎伸展可動域低下、股関節より腰椎の可動量低下、角速度・角加速度低下の3つの要素が重要な因子

[バイオメカニクスが心理社会学的因子と絡み合う]

・Catastrophizingと歩行時の脊柱起立筋活動に関連+

・Catastrophizingと立位前屈動作の脊柱起立筋活動に関連+

・Kinesiophobia(運動恐怖)と立位前屈動作における運動の切り替え時間に関連+

[画像所見と活動制約]

・非特異的腰痛:85%

・特異的腰痛:15% 腰椎椎間板ヘルニア、脊柱菅狭窄症、圧迫骨折など

MRIでの退行性変化などの画像所見と症状がマッチングしないことは多い。

[Spinopelvic parameters/Spinopelvic Alignment]

脊椎外科領域で使う立位側面レントゲンでの指標

①脊柱アライメントのパラメーター

・SVA(Sagittal vertical axis):c7椎体中央からの重線と仙骨後上縁との前後距離

SVAの補正 C7からの重線が仙骨の前方にあると(46mm以内が正常)疼痛、能力障害に繋がる。

・胸椎後弯角(TK):T5−T12の角度

・腰椎前弯角(LL):L1−s1の角度


②骨盤パラメーター

・Sacral slope(SS):仙骨上縁と水平線との角度

・Pelvictilt(PT):大腿骨頭中心と仙骨上面の中点を結ぶ線と重線との角度

・Pelvic incidence(PI):大腿骨頭中心と仙骨上面の中点を結ぶ線と仙骨上面に対する重線との角度

加齢・耐候性変化により、SVA、TK、PTは増加、LL、PI-LLが低下

PIが大きい場合はPT(骨盤後傾)が大きくなる。

PI=SS+PT

High PI:SS(仙骨前傾)↑・LL(腰椎前腕)↑

Low PI:SS(仙骨前傾)↓・LL(腰椎前腕)↓

[SVAを増加させない為の代償機構]

加齢・退行に伴い胸椎後弯↑、腰椎前弯↓、骨盤後傾↑が生じる。

・水平注視獲得のための代償機構:膝屈曲→前方に杖把持

[骨盤帯と股関節の関係性]

下位腰椎前弯↑、骨盤後傾↑(股関節伸展↑)▶骨盤帯が前方へ偏位

Hip extension capacity:股関節伸展許容量=大腿骨頭に対する骨盤後傾+股関節伸展=骨盤前方スウェイ


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