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妻の品格

半沢直樹の新シーズンが思ったほどシーズン1より人気が控えめな感じではあるが、依然として人気ではあると思う。

もちろん人気の理由はいろいろあると思うが、まず勧善懲悪であるようなストーリーであったり、日本らしい上司の出世競争の弊害を受ける部下たちの葛藤、謝罪や土下座大喜利もそうだろう。銀行マンという仕事内容の多少の知的好奇心もあると思う。

その中でも一つの人気シーンと言えるのは、半沢の妻役である上戸彩が登場するシーンかもしれない。個人的には上戸彩は好きでも嫌いでもないタイプの女優なのだが、役の設定としてオシャレな仕事で働く妻として自立しており、それでかつ、料理や家事ができて旦那の仕事に理解を示している素晴らしい内助の功タイプの理想の妻だ。

私は結婚していないので、あまりよくわからないが、奥さんが旦那の仕事についてよく理解している夫婦というのは多いのだろうか。

例えば、社内結婚であればお互いの部署についてよく知っていたり、理解しやすいと思うが、この半沢直樹の場合、奥さんはそういう感じではなさそうである。

政府から債権放棄するよう圧力をかけられていることを説明しても、「んーちょっと、よくわかんないけど・・・」みたいな感じの奥さんなので、ものすごい勉強しているという感じでは無さそうな奥さんの印象がある。

私も日本人の男なのでなんとなく雰囲気でわかるが、日本の男性というのは自分より奥さんが賢いことをあまり良く思わない人が多い。

女性自身はどうかわからないが、女性が仮に年収1000万以上であったとしても、女性は自分より年収が高い人と結婚したいという願望を持っている人が多いだろうし、自分が稼いでもないのに年収1000万を求めている人もざらにいる。

変な乱暴な言い方になるが、女性自身が男性より下でありたいというような考え方が割と世間一般的に根付いている感覚はある。それは性差というか、どのような男性を女性が好むかという話なので、そうしたいならそれでいいと思うが、あまり得にならない考え方だとは思う。

もちろん男性優位な社会で、男性自身も女性には男性よりひ弱な存在であって欲しいと考える人が多いので、いわゆる男性の3歩後ろを歩くような妻が求められることは現代でも多い。

結構前から、女性の社会進出について様々な議論がされているが、あまり目覚ましい改善というのは見られていない。

結婚も晩婚化しているし、経済的な所得の減少から、男性の方が稼いで欲しいと考える女性にとっては、さらに結婚がしにくい状況になると思うし、男性もこの給料で結婚するの不安だな。という感覚が拭いきれないと思う。

平均以上の金を稼いでいても、拭いきれないような不安はずっとつきまとっているし、仕事が楽しければいいが、つまらなければ逃げようにも逃げられなくなってしまう。

前の記事で、女性の社会進出が進まない原因は、女性がそこまで出世したいと思ってないことが一因ではないか、と書いた。

それについてはエビデンスも何もない私の肌感覚だが、現状の働き方で仕事をしてお金をたくさんもらえるなら欲しいという人が多いだろう。しかし、仕事に没頭して部下を従えてリーダーシップを取っていきたいという考え方を持っている人よりは、早くお金持ちと結婚して家事と仕事と子育てを自分のコントロール下で頑張りたいと思う人のほうが大多数だと思う。

政治家なんていう仕事は何をしているかわからないが、とりあえず忙しいことは確実だろうし、家庭のことをある程度見切りをつけて仕事をしなければいけない。それならまぁ女性議員は増えないだろうと思う。

女性自身はそういう働き方を望んでいないが、そういう働き方をしている男性を支えたいという女性は多いんじゃないだろうか。

妻の花ちゃんはフラワーアレンジメントの仕事をしていて、勝手な憶測だが、銀行マンの半沢よりはよほどビジネスを軌道に乗せてない限り収入は下だろうし、半沢が帰ってきたらいつもおしゃれな夕飯を作って待っていてくれるような理想の妻ではある。

ヒモ夫をテーマにしたドラマじゃない限り、日本の一般的な夫婦の形として女性の方が経済的にパワーバランスが強い家庭は描かれることが無いと思う。良い意味でも悪い意味でも現実離れしていると言える。

そして理想の女性を代表するような半沢の奥さんだが、女性からするとあのような奥さんは理想なのだろうか。

銀行のドラマなので、花ちゃんが毎晩料理作るの面倒くさいとか、仕事で変な客いたからもう仕事辞めたいとか、そういう事を言うシーンは全くないが、毎日あのクオリティーの奥さん業務をこなしているとなると、かなりハイスペックだと思う。

地方好きの自分としては、地方に飛ばされるのが出世コースから外された人の典型みたいな印象を与えるのが嫌だが、銀行の場合はそうなのかもしれない。それでも奥さんの花は、「地球のどこでも付いていくわよ。」みたいなメンタルの持ち主で、旦那への献身度が半端じゃない。

噂によると、婚活市場では、地方出身より都市部出身の人のほうがスペックが高いとみなされるらしい。私は全然気にしたことがなかったが、未だにそんな部落差別のような偏見を持っている人が居ることに驚いた。どちらかというと自分は地方にずっといて、東京恐いです。という人のほうが好きではある。

田舎の人は性格が優しいというのは、なんとも言えないが、時間感覚が都市部とは圧倒的に違うのは誰でも感じると思う。わかりやすく言えばカリカリしてないので、待つこと等に寛容である。

また話が脇道に逸れたが、実際に半沢直樹の奥さんの花が、現実に存在するのかはわからないが、どう考えても男性目線からしたら理想の奥さんではあると思う。

夫を立ててくれて、一緒に闘ってくれるような戦友でありながら、女性のパートナーとしても魅力的な奥さんである。半沢直樹の人気の一端を担っているとは思う。

ただ、一方で妻がこうでなければならない、というようなイメージの固執が嫌だなとも思う。半沢には子供がいないのでなんとかなっているが、子供がいるのにあのような働き方をずっと続けていたら、実際どうなんだろうな。とも思ってしまう。

人間なので理想があるし、こういう夫婦が良いというイメージがあるだろうが、やはり現実にいない人とは結婚できないので、そこはなんとも難しいところではある。

年収いくらで、自立していて、家事が出来て、美人で、イケメンで、包容力があって、清潔感があって、オシャレで、、、と要求を増やせば増やすほど数は減っていくわけで、現実からは遠のいていく。

私は男性なので、女性が何を考えているのかわからないが、夫のために尽くそうと思っている人は多いんだろうか。

もちろん夫のことをめちゃくちゃ好きだったら、自然とそうなるのかもしれないが、何十年もパフォーマンスを保つのもそれなりにしんどいと思う。

ただ、バリバリ働いて稼いで出世するような夫であってほしいと願う妻も、多数いることは現実としてあるかもしれない。

家庭内でできる仕事などが増えているので、家事と両立させながら、女性が活躍できる分野はこれから伸びそうだなとは思う。

家でできるパソコンを使う仕事の分野であったり、なんか知らんけど芸能人が結婚したら奥さんが料理やヨガの資格取るみたいな、そこらへんの分野での女性の進出は伸びると思う。

不思議なもんだが、そのような奥さんが理想というムーブメントが掲げられたら、日本全体がその方向へ向かっていくような風潮はある。

自分にとってはヨガしようが家事しようが寝てようが、人間として面白ければ問題無いが、良くも悪くも日本の文化なんだろうなとは思う。




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