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【モテな医の読書記録】花田菜々子「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本を進めまくった1年間のこと」

お世話になっております。モテな医です。
12月に入りましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
師走というだけあって、新型○ロナウイルスに振り回され続けた2020年もあと1ヶ月足らずに終わるのですね。早く終息してくれないかなぁ。ちなみに医療機関も例年ならこの季節からだんだんとインフルエンザの流行などで忙しくなります。例年ならね。インフルの発生数は例年の1/300まで抑えれてるのにコ○ナの流行止められないって一体どう言うことだい。早く終息してくれないかなぁ。(2回目)

本日はこちらの本について紹介させていただきます。

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「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと (花田菜々子 著)」(以下、「であすす」)

自分がnoteを始めたり、Twitterを再開したり。今の自分に多大なる影響を与えた本です。

恥ずかしながら、2年前に刊行され、ベストセラーになったようでしたが、つい最近まで存在を全く知りませんでした。なんでもっと早く読まなかったんだろ(@ ̄ρ ̄@)

では参ります。

!注意!
ネタバレにならないよう極力配慮しましたが、一部本文の内容に抵触する部分が含まれています。未読の方はご注意ください。

①著者 花田菜々子さんについて

文庫版の公式プロフィールより引用。
出生地:東京
出生年:1979年
職業:書店員
簡単な経歴:「ヴィレッジヴァンガード」「二子玉川 蔦屋家電」「パン屋の本屋」などを経て、現在は東京駅近辺で「HMV &BOOKS HIBIYA COTTAGE」の店長さんをされているそうです。
(読んだあと、自分も密を避けつつ行ってきましたがとても綺麗な本屋さんでした!)

②本文のあらすじと概要

33才、書店員の主人公(花田菜々子さん)。12年間続けたヴィレッジヴァンガードの経営方針についていけず、家庭生活でも閉塞感を感じていた。
夫と別居することになるも、仕事と本と夫で回っていた自分の人生の狭さに途方に暮れる。
「狭い人生・・・・。もっと知らない世界を知りたい。広い世界に出て、新しい自分になって、元気になりたい。」
そんな中、目についた「X」という奇妙な出会い系サイトと出会う。知らない人とあって、30分だけ話をしてみる」。なんだ、この世界。見たことない。
「変わった本屋の店長をしています。1万冊を超える膨大な記憶データの中から、今のあなたにぴったりな本を一冊選んでおすすめさせていただきます」。
そこから本を読んだり読まなかったりする人たちとの様々な出会いを通じて、「好きなこと」で「自由に」生きていくことに目覚めていくお話です。

③読んだ雑感

結論から言います。うなづき過ぎて首がもげそうになりました。「この本は、全人類におすすめしたい本」で、尚且つ「全人類におすすめするに値する本」だと強く感じました。
なぜそう感じたか。理由について解説していきます。

まず、あくまで自分の持論ですが、何かを批判するには自分の中での一つの「基準」となるものが必要だと考えています。こと本に関しては、自分の中で一つの大きな基準となっているのが「理科系の読書術(鎌田浩毅著)」と言う本に書かれていた、

・「読書とは『すでに知っていることをなぞる行為』で、その上で新しい知識、価値観を受け入れる。言い換えれば、過去の自分を肯定されて初めて、知的好奇心が湧き出すのである。」
・「人間関係において、2割の人は何を言っても許される関係の人、7割の人が失礼なことは言えないが礼節を弁えて付き合えばなんの問題もない人、1割の人がどんなに真摯に対応してもうまくいかない人となる。これは本においても当てはまる。世の中で『2割の書物』に巡り合えれば、それだけで人生の幸福への切符を手に入れたことになると言えよう」

この2つです。
「であすす」は自分にとってこの2つを見事に満たす、まさに「人生への幸福の切符」のような本でした。

まず、この本全体を通じて花田さんが語られている「SNSで知らない人と出会い続ける」と言うことを通じて「知らない世界を切り開いていく」と言う体験は、まさに自分が大学時代に体験してきたことでした。
中高の6年間、大学受験のための勉強しかしてこなかった結果、大学に入ってから全く周りの同級生と馴染めず、「狭い世界」の中で孤独に過ごすことを余儀なくされた18歳の自分。どこにも居場所が見つけられなかった時、ひょんなことからTwitterを始め、そのままのめり込み、自分の居場所を見つけ出していきました。
その結果、当初は人の目を見ることも、挨拶することもまともにできないほどのコミュ障が徐々に改善してきたり(完全には治りきりませんでしたが・・・)、オフ会を通じて彼女ができたり、ネットの世界の中で雲の上だった有名人と会って話をさせていただいたりと、自分の世界を切り開いていけました。
しかし、周りの人から「ツイ廃」「ネットでしかいきれない陰キャラ」「お前実生活で友達いないだろ」など否定的な意見を言われ、「自分は人間関係を形成できない社会不適合者なのか」とずっと思い悩んでいました。
この本に書かれている内容は、「SNSを通じて閉塞感のある人生を脱却し、自分らしい生き方を切り開いていく」と言う意味では、自分が大学時代に体験してきた経験と酷似していました。「自分以外にもこんな体験してきた人がいたんだ」「自分の大学時代は間違っていなかったんだ」と、強く「過去の自分を肯定された」気持ちになりました。

特に印象に残ったのが第6章の最後、ずっと憧れだった本屋さんの店長に「逆ナン」の末に会いにいった後のシーン。おそらく「であすす」で一番の見せ場は第7章のビブリオバトルだと思いますが、自分の中ではここのシーンもそれに匹敵するくらいの絶頂を感じました。
もう普通の幸せはいらない。恋愛も結婚もいらない。お金も安定もいらない。何もいらない。ただ今日見た光を信じて生きていこう。自分の求める幸せが何なのかはっきりわかった。そんな夜だった。
医師といえどもその中で天職になるような分野にはまだ巡り合えていない自分にとって、このシーンは強く印象に残りました。医学自体は好きだけど自分のやりたいことがはっきりせず、とりあえず一般内科プログラムに乗っかった自分。内科専門医を取った後、専門科をどこにするかはまだ不透明な自分。まだモラトリアムで、自分のやりたいことがはっきりと決まっていない自分。
内科専門医をとるまでの3年間で「自分の魂を決定づける経験」をすることは果たしてあるのだろうか。もっと真摯に医学に向き合おう、と身が引き締まる思いを感じました。

「そうは言っても、お前がTwitterでしか友達のできなかった社会不適合者なだけで、他の人には当てはまることはないんじゃねーの?」
これだけだとそう感じる人ももちろんいるでしょう。しかし自分はこの本は全ての現代社会に閉塞感を感じている人に読んでもらいたいし、読んだら確実に心が震えると思いますし、果てには「自分も本を紹介してほしい」と強く思うと確信しています。
なぜなら、第7章のラストで語っていた、
『あなたが素敵』+『この本すてき』→『素敵なあなただからこの本おすすめ』」と言う本の紹介の仕方。
これはまさに「過去の自分を肯定した上で、新しい知見を取り入れる」と言うことを対話を通じて実践しているからです。
『つらくなったとき、あの本を読めばそれはすてきな俺をすてきな俺でいさせてくれるものであるらしい』とその人が心の片隅にでも留めてくれたなら、私のその人の前に現れ、この活動をさせてもらった価値がやっと発生すると言うものだ。
花田さんが、今までどれくらいの人に本の紹介をしているのか。まだ本の紹介をされているのか。自分にはどんな本を紹介してくれるのか。それはわからない。
ただこれだけは確信を持って言えます。この本に出会った人、花田さんに会って、本を紹介してもらったことがある人は、確実に「人生の幸福への切符を手に入れ」ていると言うことを。花田菜々子さんの考え方や、著した本は、間違いなく全ての人の「生涯の伴侶」になると確信しています。
ちなみに、蛇足ですが続編の「家族の話」も読みましたが、これもまた毛色は違いますが、著者の深い内省や他者への思いやりを基盤に書かれた本で、死ぬほどお勧めできる本なので、後日紹介します。

④まとめ

この本への想いが強すぎて、熱量過多で思いつくままに書き散らしてしまったので、まとまりがなく、読みづらくなってしまいました。
しかし、これだけは言わせてください。
この本は、全人類に自信を持って強くお勧めできる本です。
ていうか、花田さんから本を勧められてみたい。巻末に書いてあった「この本を読んでくださった方にすすめたい本一覧」は、リストの中で自分にフィットしそうな本は大体購入しましたし、どれも刺さりました。「声をかける」はまだ中途だけど自分のしてきた体験と重なるし、「知らない人と出会う」はアメリカ特有の住環境や言い回しがなじまなくて読みづらかったけど、もっと「知らない人」と話してみたい、コミュニケーションを取る相手の閾値を低くしたいと強く思いました。「女くどき飯」はまさにオフ会で経験したことに近くて、楽しく読めました。また、デート中に女性がどんなことを考えているのか、女性と話す経験が慢性的に乏しい自分にとっては大きく参考になりました。(全ての女性がああ考えているわけではないと思うけど笑)「寂し過ぎてレズ風俗に行きましたレポ」は自分の置かれている状況と重なって読むのがしんどかったけど、自分よりもさらに辛い状況の中で自分の醜悪な部分と闘っている姿には勇気づけられました。「ガケ書房の頃」も中途ですが、紆余曲折を経て「ガケ書房」を立ち上げられたのが30代の頃と伺い、「もう27だし」「もう若くないし」と年齢を言い訳に挑戦を避けるようになってきつつある自分を奮い立たせてくれました。
それでもまだまだ、自分の知らない本で、自分に合う本はたくさんあると思う。花田さんに会って本を勧められてみたい。もっと「知らない人」と話をしてみて、自分の世界を広げてみたい。

でもコロ○のせいでうかつに東京行けないんだよなあ。ホント、早く終息してくれないかなあ。(3回目)

モテな医 拝

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