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出会うべくして出会った詩

谷川俊太郎の「はだか」という詩集がずっとほしかったのだが、なんとなく買わずにそのままだった。電子書籍だと手間もないのだが、とりわけ詩集になると紙の本で持っていたい気がして、買っていなかった。先述のとおり、積ん読も山ほどあるし。

ところが今日、とうとう読んでみたくなって、電子版を衝動買いしてまった。大好きな紙のぬくもりや手ざわりはないけれど、その詩の数々には、生命のあたたかさがある。なまあたたかさ。

とくに好きになった「はな」という詩の一部分を、書き留めておく。

せんせいははなのなまえをおぼえろという
だけどわたしはおぼえたくない
のはらのまんなかにわたしはたっていて
たってるほかなにもしたくない
はだしのあしのうらがちくちくする
おでこのところまでおひさまがきている
くうきのおととにおいとあじがする
にんげんはなにかをしなくてはいけないのか
はなはたださいているだけなのに
それだけでいきているのに
谷川俊太郎 詩集『はだか』


この詩には、出会うべくして今日出会ったのだと思う。読書に関していえば、唐突な欲求には従ったほうがいいのかもしれない。

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