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フードイラストレーション①

7年前(2013)から描き始めた食べ物の絵について、その変遷

世界堂を物色するのが大好物で気になる画材や文具を見つけたら惜しみなく買って使ってみる。へきち初期の作品はこんな画材で描いてみたというものが多い。
テープとペンだけで描いたTAPE AND PENなんていうそのままタイトルにした作品集もある。他にもUnicurve(ユニカーブ)は作画に使用した定規メーカーの名前だったりする。
始めからよし食べ物を描くぞと始めたわけではなく木版画絵具という画材に注目するところから始まった。

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まず断っておきたいのは僕はあまり正当な画材の使い方はせず邪道と言える使い方を好む。木版画絵具を使うけれど木版画を制作したいわけではなかった。
ホルベインの木版画絵具(※1)のカラーはややくすんだトーンが美しい。

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白い紙にのせると弱い印象なので黒画用紙にのせてみたら発色が良くなり、下地の黒が所々見えることを利用してハーフトーンを作り出すことも出来た。木版画はもともとグラデーションやぼかしの技法があるので絵具も柔らかく伸びのよい粘度になっていて乾きにくい。絵具はスポンジローラーを使って出来るだけフラットに塗った。↓

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木版画絵具を使った最初の作品。vector catch(2012)
黒画用紙に木版画絵具をのせた時の色鮮やかな印象を大事にして単純な形の組み合わせで配色の実験をした。形は前に描いたものの影響を受けながらどんどん変化させていく。形が変化していく方向を摑まえるという意味をタイトルに込めた。

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なんとなく画材をいじってみた抽象的なドローイングやペインティングから具象的な物を描き始めるというのは僕の制作過程でよくあるパターンになっている。vector catchでは抽象的な形で実験を繰り返してみたが、次にこの画法を具象を描く仕事で実践してみた。

昔のくらし今のくらし2013(川崎市市民ミュージアム)

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昔のくらし今のくらしは縄文から昭和まで、生活道具の移り変わりからくらしの変化をふりかえる催し。ミュージアムに保管されている豊富な道具が展示され体験コーナーも用意されていました。本展は小学3年生の授業カリキュラムにも対応した内容になっており実際に小学校でチラシが配布されるということも制作のポイントとなりました。
いわゆるカット絵と呼ばれるような線画+木版画絵具でレトロな印象を作り。最終的に線はモチーフの形を示すための最小限の印象に止めるため白抜きにして木版画絵具の色面だけが残る軽い仕上がりにしました。
この展覧会は以後2014〜2019まで同コンセプトで開催され、へきちで広報物デザインを担当しています。

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次はさらに画法を応用して食品を描き始めた頃を振り返りたいと思います。
きっかけはお味噌汁のパッケージのお仕事でした。
(田渕)

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※1:残念ながらこの絵具は2016年に廃盤になっており在庫を持つ数軒の画材店にしか無い。

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