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3月23日:「あえて動かない」という指導者の資質。

おはようございます。

放デイで日々、障害児と接しながら、一番厄介なのは実力不足と多動を兼ね備えた戦力外の職員だなぁ…なんて思ったりします。いきなり強烈に毒吐いてすいません。へいなかです。

今日は、教育・支援の現場で働く大人が早い段階で身につけた方がよいことについて。タイトルのとおりですが「あえて動かないことが大事だよ」って話です。

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1)叱るor怒る問題

怒るか叱るか諭すか…

という論争がありますが、僕はぶっちゃけ全部使う。今日はそこの議論はしない。

とはいえまったく触れないわけにもいかないので一言だけ。

感情は学ぶものです。自己イメージが形成され、行動半径が広がるにつれて感情は複雑化する。物事に対して自分の心がどう波打つか…はある種自然発生するものだけど、そのざわつきにどんな名前をつけ、どう対処するのか…は学ぶもの。

世の中の「時には怒ることも大事」という意見の大半は叱る技量が足りないことから来てるのであんまり賛同できませんが、僕は「誰がどんな場面で何に対して怒ってるのか…」を体感的に学んでいくという意味で、時に人の怒りに触れる必要はあると思っているので、時には怒る。

ついでに言うと…

「怒るのを我慢する」という状況がとってもストレスフルでいろんなリスクをはらんでるとも思ってる。

必要なのは「適切に怒る技術」だと思う。

それは叱るのとかなり近いけど、でも違う。

僕は結構、怒る。

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とはいえ叱る怒る諭すの区別は今日の本題ではないので、ここからはとりあえず「叱る」という表現で進める。

2)叱りたくなる大人の心境

大人が子どもを叱る時にはざっくり2つの目的がある。

①自分の不快感の表出(伝達)
②相手の行動の変容

当然、より大切なのは②。

ところが、自分の負の感情をきちんと抱えて処理することができない人は、②を掲げながら①を優先する。

結果…

自分の感情をぶつけるだけで相手の行動は何も変容せず、すぐ先の未来で「あの時言ったのにまた同じことやりやがった!」とより大きな怒りを抱える生み出すことになる。

人は記憶に基づいて目の前の現実を見ていくから、「以前にも言った」が加わった2回目以降の問題行動にはより一層大きな負の感情が怒るわけだ。

そんなわけで、どんどん大きくなる自分の心のざわつきは、問題行動に対する衝動的な反応を生み出し、さらに問題を大きくしてしまう。

指導が下手な人ほど感情的になってしまうという無限の負のスパイラルだ。

行動変容が目的のはずなのに、実際にはそれよりも自分の感情の発散を目的にしているから、自分の説教の理由もまた、ただの感情論になってしまう。

こういう時は叱るべきだ。

とか

たまにはガツンと言ってやらなきゃわからない。

とか。

だからといって感情的な叱責が正当だとは言えないのだけれど、本人はそれに気づけない。自分の負の感情を「社会の負の感情」にして社会正義のつもりでぶつけてしまう。

叱るべき

という言葉で隠した、ただの感情表出だ。

それは本人も気づかぬうちに嘘になっているから、子どもには響かないし、関係性も悪くなる。子どもは1対1で対等に向き合う大人の言葉以外は受け付けない。

・・・・・・・

3)とりあえず黙るべし

ということで、とかくアンガーマネジメントの下手な大人ほど、衝動的に叱責してしまいがち。

そして

そんな衝動的で嘘のある叱責では効果など生まれない。

だから大事なのは黙ることだ。
まず子どもの行動をよく見る。
そしてその結果が出るまでよく待つ。

もちろん危険な行為は止めなければならないが、それでもギリギリまで待つことが大切だ。

教育現場では「注意・指導はその場で端的に行うこと」を基本方針としているが、それは衝動的な叱責とは別の話だ。

そもそも「その場」とはどの場なのかをきちんと考える必要がある。

経験に勝る学びはないとよく言うが、では経験とは何か…それは行為の瞬間ではなくその結果を受け止めた時に形作られるものだ。

暴飲暴食をしているその瞬間に「それは健康によくないよ」なんて言われても基本的には響かない。翌朝の体調不良によってはじめて、昨晩の暴飲暴食が「よくない行為」として経験値になっていく。

行為は結果が体感できて初めて経験になる。

衝動的に叱責する人は、行為の瞬間に動いているから子どもの経験を削いでしまう。だから必要なのはまず黙ること。よく見て、ギリギリまで待つことなんだ。そしてその待ってる間に指導の角度を考えればいい。

「その場で端的に行う」という注意・指導の基本方針において「その場」とは「子どもが自分の行為の結果を体感した瞬間」ということなんだ。

プロのピッチャーの球は速い。150km/h前後。時には160km/hを超える。その球が自分の所に来るまでの時間はほんの一瞬だが、それでもバッターは待ってから打っている。ピッチャーが投げた瞬間にバットを振る人はいない。

まさに刹那と言うべき短い一瞬だが、そこには確実に「見る・待つ」という作業が入っている。だからこそ的確に打つことができている。

イチローも大谷も、メジャーに行ってからフォームがコンパクトになったが、あれは速い球を見て待つための工夫なんだろうと思う。

最小限の動きで的確にボールを捉える…そのために見て、待つ間を作る。

教室で黙ることのできない小心者は常にから回る。

まずは黙って動かない。
それができてはじめて場が動く。

まず黙るべし。

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こんにちは!へいなかです! 非行少年の地域定着支援を仕事にするべく、経済的な基盤をつくるためにアレ…

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放デイのスタッフをしながら、わが子の非行に悩む保護者からの相談に応じたり、教員等への研修などを行っています。記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。