【本棚から冒険を】じっちょりんのあるくみち(絵本)
東京は26℃近くまで上がったり、かと思ったら2月の気温まで下がったりと、不安定な日々が続いています。月曜からも天気が崩れるそうで、なかなか「春が来た!」という実感はありませんが…。
毎年春の訪れを感じるこの時期には、かとうあじゅさんの『じっちょりんのあるくみち』を読み返しています。読み終えると、何の変哲もない自分の住む町をお散歩してみたくなるのです。
そもそも、「じっちょりん」とは何でしょうか?
絵本の中ではっきりと説明はされていませんが、どうやら妖精のような生き物のようです。
種を食べないのは、この町の緑を豊かにするため。
種を大事にしまっておく「たねかばん」がいっぱいになったら、家族でお仕事に向かいます。仕事とは、種を埋めて回ること。
写真だと分かりづらいのですが、草花の近くに「おおいぬのふぐり」「かたばみ」「たちつぼすみれ」など名前が記載されているので、これ一冊で春の草花に詳しくなれます。
じっちょりんたちが種を植えるのは、花壇や空き地だけではありません。コンクリートで舗装された道や壁の隙間にもしっかりと埋めています。
読みながら、「確かに!うちの近くの道にも花が咲いてる!」なんてうなずいてしまいます。
陽が当たらない場所は草花の成長が遅くなります。そこで、じっちょりんたちは段差ステップの中でも陽が当たる場所を選んで種を埋めます。
大人はじっちょりんたちに気付きませんが、子どもや散歩中の犬はしっかりと気付いている描写が、「妖精」感あふれていて好きです。
長い旅のように感じますが、人間にとっては「ちよっとそこまで」の距離です。改めて地図を見てみると、この町はほとんど土がありません。だからこそじっちょりんたちが種を埋めて回っているのかもしれませんね。心なしか、住んでいる人々はとても素敵な表情をしています。素敵な人々が住む町だからじっちょりんたちがやって来たのか、それともじっちょりんたちの緑化魔法(?)によって人々が明るい表情をしているのか---。
私が住む町も、緑化計画に力を注いでいるそうです。じっちょりんたちが手助けをしてくれているのでしょうか、最近はあちらこちらで草花を見ることが増えました。
天気の良い休日に、お散歩してきます!
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