浮遊するバーチャルねぶた、未来の喧騒【青森ねぶた祭 体験記】
みなさんは最近、数ヶ月単位で時間をかけて、準備したことはありますか?
今回は、青森ねぶた祭りの体験記と、そこから浮かび上がった未来のねぶたについて、お話ししました!
旅行計画とファミレスの夜
青森のねぶた祭りを見に行く準備が始まったのは、今年の3月でした。
その日も、定期的にご飯に行く友人たちと、雑談しながら夕食を食べていました。
話題の中で、今年もどこか行こうぜ、って話になったんですよね。
いくつか候補が上がる中で、皆、青森に行ったことがない、と話になりました。
せっかくなら、ねぶた祭り見に行こうぜ!
ということになり、今回のお話が始まりました。
それからというもの、だいたい月1回、夜にファミレスで集まり、大学生みたいな旅の計画を進めていくことになります。
ホテルや交通機関を調べ始めるのですが、感染症明けということで、オーバーツーリズム(観光客が多すぎて、宿や交通機関、観光地がパンクするという問題)も取り立たされていたので、早めに予約などを進めていきました。
青森駅周辺のホテルは、開催約3ヶ月前の4月で標準価格帯は既に満室。
青森駅から少し離れた場所で、なんとかホテルを取ることになりました。
そして、ねぶた祭りの座席。
実は、ねぶた祭りでは観覧席が用意されていまして、大通りをねぶたが行き交う様子を、目の前で観覧することができます。
こちらも一般発売日当日の販売時間に予約をしました。
いざ、青森へ
そして、時は流れまして、ねぶた開催の8月。
とうとう祭りの日がやって来ました。
新青森駅に到着すると、東京駅かと思うほど、人がごった返していて、祭りの盛り上がりをまじまじと見せつけられました。
駅の外にも、観光バスがたくさん停まってました。
ここから、在来線で青森駅まで移動し、会場となる駅周辺のアーケード方面に向かっていきました。
到着したのが、昼過ぎだったのですが、本当に祭りが開催されるのか、と思うほど、この時間帯は人が少なかったです。
逆にちょっと心配になりました。
少し歩いた先にある、アスパムという、三角形を起こし上げた形の展望ビルがあるんですが、そちらの方面に向かって歩いていくと、だんだんと人が増えてきました。
展望ルームから、雄大な青森を遠望していると、どうやら、この建物の裏に、ねぶたの倉庫があることに気づきました。
ねぶたとの初対面
アスパムを降り、ねぶた倉庫に向かうと、賑やかな声。
観光客に、ねぶたを練り歩く地元の学生や、大人たちが、祭りの前の打ち合わせでしょうか。ねぶたの前に集まっています。
人混みを進みながら、倉庫を進むと、初めて、生のねぶたと対面しました。
安置されたねぶたは、電気がついてなくても、びっくりするぐらい大迫力でした。
本当に立体造形がすばらしく、武者や鬼、妖怪の躍動感を間近に感じることができました。
ちなみに、ねぶたの1台の制作費は約500万円ということで、かなり力の入ったものになっております。
企業ねぶた を楽しむ
到着するまで知らなかったんですが、企業のねぶた、というのもあります。
2人ぐらいで練り歩けるぐらいのサイズ感なんですが、これも面白かったです。
変わりものだと、チャオチュールのねぶた、なんてのもあってですね。
企業も一体となって、お祭りを盛り上げている雰囲気が伝わってきました
ポケモン、呪術廻戦など、最近のアニメのねぶたもありました。
展示された、練り歩く前のねぶたを堪能していると、だんだんと、祭りの時間が近づいてきたこともあり、急激に人混みが形成され始めてきました。
昼間の様子からの激変は、どこから人が現れたんだ??と思うほど、恐ろしいほどです。
いよいよ、観覧席に向かうわけですが、観覧席は、大通りの歩道に作られていて、靴を脱いで上がる感じになっていました(先に紹介した写真)。
一人当たりの広さは、60センチ×60センチぐらいで、横に二列になっていて、道路に面している前の座席の人は、足をぶらぶらと伸ばしたりできます。
床は、うすい畳シートみたいになっているので、クッションがあると良さそうです。
祭りがやってくる!
開始時間が近づくと、遠くから、太鼓の音や声援が鳴り響き始めて、徐々に近づいてきました。
いよいよ、“祭り”がやってくる!というワクワク感と高揚です。
まずは、子どもたちの太鼓ねぶたから始まって、太鼓や、錫杖を持った人、企業のミニねぶた、踊ってる人、仮装集団といろんな人たちが練り歩いていきます。
これらの踊ったり跳ねたりするひとたちを、跳人(ハネト)というようです。
踊り方もそれぞれ自由なのがねぶたの特徴らしい。
なかには、観客席や観覧している人たちに、鈴やうちわを渡す人もいたり、
子供とベビーカーを押して歩くお母様たちがいたり、
ベビーカーの頃から凱旋する赤ちゃんたちは、エリート教育だなと感じました。
あとびっくりしたのは子どもたちの数で、青森県の若者全員参加してるんじゃないかってくらい、小さな子どもから高校生、そして大学生まで、たくさんの子どもたちが練り歩いていました。
ねぶたの真骨頂は、ねぶたそのものだけではなく、自由な祭りをみんなで楽
しむことなのかもしれない、というのを感じましたね。
あとは、楽器隊なんですが、大太鼓が横に7つ連結されて、てっぺんで太鼓を叩いている台車とかは、映画のマッドマックスを想起させる様子でした。
迫力のねぶた、幻想と荘厳
そして、いよいよやってきた肝心のねぶたですが、夜になるとほんとうに圧巻でした。
光の淡い陰影が、幻想さと荘厳さとなり、舞台ごと移動してきた巨大な歌舞伎のワンシーンのようでした。
練り歩いてくるねぶたは、観覧席の目の前までやってきて、ねぶたを傾けてくれるんですが、巨人に見下ろさせるような迫力が本当に素晴らしかったです。
色合いなんですが、行燈の赤やオレンジといった派手な原色もいいんですが、個人的には、青色がめちゃくちゃ良かったです。
波の表現や、雷のバリバリを表現する際に、白に青を混ぜていて、めちゃくちゃ青い光が生えていました。
総じて、青森の大人の文化祭、子供たちにとっての青春のような、夢のような祭りでしたが、本当に見にいって良かったです。
これを見るために青森に行った甲斐がありました。
ねぶたの技術進歩・革新の変容
さて、こうして青森ねぶた祭りを楽しんできたわけですが、
祭りの始まり自体は、調べた限りだと1700年代に遡るようで、現在のように、ねぶたが大型になったのは戦後だそうです。
戦後からねぶたの作成方法は変わっていないのか、というとそうではなくて、最初は公言が蝋燭だったりしたわけですが、それが電球に変わったり、竹でできた骨組みが針金に変わったりと変化しているようです。
加えて、2000年代に入ってからも、技術が入ってきています。例えば、ブルートゥースマイクを活用したねぶたの統制、などですかね。
最初は火災対策だったものが、テクノロジーによって、伝統は残しつつも、ねぶたが進化しているように思います。
2010年代の話だと、2013年から、パナソニックのねぶたでは、LEDを使っていて、より多彩な色合いを表現できるようになったり、ねぶた内部が暑くなりにくくなる、などもあったようです。
さらには、2022年からは、太陽光パネルで発電して蓄電池で点灯する脱炭素ねぶたなども登場しているようです。これで、ねぶたが300キロほど軽くなったりもしたみたいです。
ねぶたの技術は今もなお、進歩の真っ最中、といった形です。
ということで、青森ねぶたの歴史が始まって、おおよそ300年経ち、ねぶたの技術革新が起こっているわけですが、さらに300年後のねぶたはどうなっているんでしょうか?
最後に、未来のねぶたと、未来に響く喧騒についても妄想をしてみたいと思います。
未来のねぶたはどうなる?
予想1:バーチャルねぶた
2023年の現代人の予想としてはまず、バーチャルねぶたはいずれやってくる気がしています。
最近、メタから出ましたが、メタクエストスリーのような、MRデバイス、VRとARの中間ですね、こういったものが出てきたように、現実空間に存在するねぶたに、仮想空間上の演出がオーバーレイされることで、より迫力のあるねぶたが出現するかもしれません。
雷のエフェクトが見えたり、龍が炎吐くぐらいは現代の技術でも十分できそう。
あとは、測量技術も向上しているので、iPhoneの比較的新しい機種だと3Dのスキャンなどもできるようになってきているので、オリジナルねぶたの持ち込みや、みんなでねぶたをデコレーションできたりするかも。
観客参加型のねぶた祭りが出てくると、さらに楽しめるんじゃないでしょうか。
予想2:空中浮遊するねぶた
ちょうど数ヶ月前に話題になり、残念な結果となりましたが、超伝導物体もでできましたし、ねぶたの台座やパーツが空中に浮く未来も来るかもしれません。
ねぶた全体を浮かせることはないとは思いますが、刀とか、雷とかの飛び道具が、よりダイナミックに表現されるようになるかもしれませんね。
予想3:現代を反映した物語に基づく ねぶた
そして三つ目は、ねぶたの題材が、現代、2000年代ものも含まれるようになるのではないでしょうか。
題材となっているものが、平安時代や戦国時代の物語を題材としているので、我々現代人の様子が、童話や寓話、伝説となって、ねぶたへと姿を変えるかもしれません。
例えば、300年前に存在したウルトラマンや仮面ライダーが、実話から来ている、とどこかで間違って伝われば、2000年に登場した、正義のヒーローとしてねぶたとなることもあり得るかもしれません。
予想4:人力で練り歩くねぶた
一方で、今のままでいてほしいな、と思うねぶたの姿もあるなと思っています。
それは、人力で練り歩く、ということです。
人々の笑顔や情熱、祈りがあるからこそ、ねぶたというものが続いているのだと思います。
人々のねぶたへの熱い思いが、次の300年に繋ぐためにも絶やしてはならないものの、一つであることは間違い無いと思います。
2023年、僕らの目の前で、ベビーカーに座り、街宣していたエリート跳人(はねと)たちが、50年後、100年後、1000年後の未来へと現代のねぶたを繋いでくれるといいなと思っています。
以上、未来の喧騒を願う、2023年10月の現代人でした。
まとめ
今回は、8月に初めて観に行った青森ねぶたと、未来に響く喧騒を妄想してみました!
人生に一度は見に行くことをお勧めします。
楽しんでいただけましたら、スキや番組フォローいただけると嬉しいです。
Podcast番組「拝啓、3000年の人類へ」は、Spotify, Apple Podcast, Amazon Podcast からお聴きいただけます。
参考
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