なぜ、今、健康経営なのか?

話題となる健康経営

こんにちは
『健康を企業文化に』を理念に健康経営アドバイザーの
健康マネジメントスクール
水野雅浩です。

社員が健康で仕事のパフォーマンスを発揮できる職場づくり、「健康経営」という言葉は、ここ数年で、新聞やビジネス雑誌で取り上げられない日はないほどホットなキーワードになりました。

また、Withコロナ時代がスタートし、健康というキーワードを中高年だけではなく若者も強く意識する時代になりました。「24時間働けますか」というCMが流れ、会社に泊まり込みで仕事をしていた私の若い頃では考えられないことです。

今までは、健康は自己管理。健康診断で何か引っかからないかチェックしておく。病気になったら、お金と時間を使って病院に行き、元の健康状態に戻すという、「守り」の取り組みでした。しかし、これからは違います。社員が健康で長く働けるように企業が積極的に関与していく。生活習慣病に陥る前に、先手を打っていく。今の健康状態を高く安定したものにする「攻め」の取り組みに代わりつつあるのです。

 突然ですが、あなたの会社には、どちらの社員が多いでしょうか。
・  朝から疲れている社員と、活力あふれる社員。
・  メタボで生活習慣病を抱える社員と、すっきりスリムな社員。
・   カップ麺を食べる社員と、野菜や魚を中心とした定食を食べる社員。
・ 午後に集中力を失う社員と、集中力が継続している社員。
・   机の上にエナジードリンクが並ぶ社員と、トクホのお茶を飲む社員
・  不測の事態にメンタルダメージを受ける社員と、しなやかに対応できる社員。
・ 健康診断でC~D判定があふれる社員と、A~B判定が占める社員。
後ほど、詳細を説明しますが、社員が健康か不健康かで、年間の労働生産性は約100万円違うことが分かっています(古井裕二先生/東大特任教授/予防医学)

成果を出す企業、戸惑う企業

  • すでに健康経営に取り組み始めた企業では、その背景として、従業員の平均年齢の高齢化、メタボ社員の行く末が心配になったこと、採用難になってきたこと、このまま何もしないと茹でガエルになってしまう、と一念発起。結果として、
    l 喫煙率が激減
    l  生活習慣病をかかえたメタボ社員が減り、スリムになってきた
    l  社員の集中力が上がり、ヒヤリハットが減少。生産性が向上
    l  離職率の低下
    l  健康経営の事例をHPに上げたところ若手の応募も増え
    l  業績向上につながった

  • というプラスのスパイラルの事例を紹介していました。

  •  一方で、よかれと思って健康経営を始めたものの、社員の反応が悪く、頭を抱えている企業もあります。
    l  禁煙活動などでは、ベテラン社員達が態度を頑なにしてしまった
    l  ウォーキングイベントなども実施したが一発花火で終わってしまった
    l  「階段を使いましょう」とポスターを貼ったものの誰も使っていない
    l  会社は康経営とPRしているが社員の満足度は高まっていないなどなど。

  • アクサ生命保険の『社長さん白書2020』を見ると、従業員の健康づくりを重要な経営課題と位置づけ、生産性や企業価値の向上につなげる「健康経営」については、「内容を知っている」と答えた経営者が44.0%と、健康経営への認知に関する設問を取り入れた2016年の19.0%から4年間で倍増し、認知の高まりが明らかなりました。

  •  一方で、「健康経営」を取り組む上での課題について、時間・人的なリソースがない(48.2%)、健康経営の内容が分からない(33.7%)、進め方、取り組み方が分からない(24.0%)が多くの場合阻害要因となっています。

  • また、「健康経営」を取り組む上で必要なサポートについて、健康経営のメリット(40.5%)、具体的な取り組みや進め方(36.9%)、他社事例(27.7%)の情報を求めていることがわかり、「健康経営」の導入・実践に最初の一歩を踏み出すためのサポートが必要であることが分かっています。

胃潰瘍、部下の離職、2回の上場

私は現在、健康経営のアドバイザーとして健康経営の導入を支援し、また、社員の健康習慣を見直す講師として企業、行政、大学、時には学習塾で講師をしています。では、はじめから健康に気を使っていたかというと、20代30代は、真逆の生活をしていました。

新卒から日本有数のベンチャー企業に入社し事業の立ち上げに参画したこともあり、終電で帰るのは当たり前。深夜1時に役員に報告メールをすると、朝5時には返信が来る。週に1回はサウナで寝泊まり。この過程で会社は創業から10年で7,700億まで成長し2回の上場を経験しました

。ビジネスパーソンとしては、何物にも代えがたい経験が出来たのは事実です。では光の側面だけだったかというと、そうではありません。上司は血尿を流していましたし、私も胃潰瘍を患い、部下はメンタル不調で退職していきました。多くの社員の長時間労働と健康を犠牲にしながらの成長でした。

私はその後、香港で勤務をし、日本の働き方と真逆の働き方に遭遇します。それは、従業員の健康に投資をすることでパフォーマンスを上げる「健康経営」です。香港では、経営者は、「社員が健康でなくて、どうやって企業が成長できるんだい?」という会話をし、投資家は、「経営者が社員の健康に関心がない企業には、恐ろしくて投資ができない。だって投資の回収リスクが発生するからね」という会話は、当時の日本では聞いたことがないものでした。日本から飛行機に乗ってたった4時間の海外では、これほど健康を大切にしているのか。これでは日本は負けてしまうと強烈な焦りを感じました。

そもそも健康経営とは

今では、日本でもビジネスパーソンの中でも普通に話題に登る健康経営という言葉ですが、そもそもの源流は、心理学者が1992年に出版した『The Healthy Company』に基づいているといわれています。

この書籍で示されているのは、 「従業員の健康管理が重要な経営課題であり、企業が従業員個人のヘルスケアを実践することによって、生産性などの業績向上を図る」という考え方。

健康経営が進んでいるアメリカを見てみると、その代表格Johnson & Johnsonでは、世界250社、約11万4,000人に健康教育プログラムを提供し、投資に対するリターンを試算したところ、健康投資1ドルに対して約3ドル分の投資リターンがあったということです。

実際に、アメリカでは、ジョンソン・エンド・ジョンソン、IBM、アメリカン・エキスプレス、ダイムラー・クライスラーなどが健康経営に取り組み、高い業績を上げACOEM(米国職業環境医学会)から表彰を受けています。


日本においては、健康経営研究会の岡田先生が提唱され、「働き方改革」の骨子を作られました。日本でも広がりを見せている健康経営ですが、実際に、生産性の向上という効果はでているのでしょうか。大和証券は、東証と経済産業省が共同で選定した「健康経営銘柄」で構成する株価指数を作成し、その推移を分析しました。すると、東証株価指数(TOPIX)を上回っていることから、従業員の健康に投資をしている企業ほど高い成長率を持ち、株主からも長期的な成長を期待されていることが分かります。

健康経営に取り組んでいる企業は、社員が集中して仕事をしている割合が高く、ストレス対策ができているのでメンタルリスクや離職が低いため、ヒューマンエラーも少なく、労働時間内に集中して結果を出していることが見えてきます。

私が投資をするのであれば、金の卵を生むガチョウに鞭打つ企業ではなく、ガチョウの健康ケアをしている企業に投資をしたいと思います。


次回は、健康経営7つのメリットについてお伝えします。

健康マネジメントスクール
水野雅浩


■プロフィール
健康マネジメントスクール 代表 水野雅浩 専門:健康マネジメント/健康経営 新卒から介護・医療サービスの事業のベンチャー企業の立ち上げに参画。最年少で支社長になり、2回の上場を経験。しかし、その過程で、胃潰瘍になり、メンタルや体調不良で退職する部下を見て、健康を犠牲にして来たことに疑問と後悔を持つ。その後、香港での勤務時代に、従業員の健康に投資をすることでパフォーマンスを上げる健康経営に出会い衝撃を受ける。帰国後、健康を後回しにする日本の風潮を変えるため『健康を企業文化に』をミッションに、社員の健康マネジメント/経営陣の健康経営をテーマに企業・行政・大学を中心に講師を務める。著書6冊。デビュー作『グローバルで勝つ!太らない疲れない7つの習慣』はアマゾンランキング1位。

■著書
『グローバルで勝つ!太らない疲れない7つの習慣』 『グローバルで勝つ!太らない疲れない21の習慣』(アスカビジネス) 『稼げる男 稼げない男の健康マネジメント』(飛鳥新社) 『最強のサプリメント戦略』(アイディア企画) 『睡眠力』(アイディア企画) 『親子で作る健康習慣 本番力で受験に勝つ』(学事出版)
■講演実績
富士通株式会社、東レ株式会社、株式会社麻生グループ、株式会社中外製薬、三菱商事株式会社、JR西日本グループ、株式会社大日本印刷、北日本銀行、Huawei Technologies Co., Ltd.大塚製薬株式会社、ネスレ日本株式会社、鳥取銀行、日本海新聞社、岩手日日新聞社、京都ホテルオークラ、とりねつ株式会社、ソルネット経営コンサルティング、税理士法人中央総合会計事務所、北斗工業エンジニアリング、一般社団法人日本パーソナルブランド協会、株式会社ホーマス・キリンヤなど 【労働組合】全トヨタ労働組合連合会(119社)、豊田自動織機労働組合 【行政】鳥取県、宮崎県、福岡県、岩手県など 【大学】台湾大学 【塾】公文など多数保有資格

■保有資格■ 健康経営アドバイザー(認定番号3000092)東京商工会議所 健康マスター検定エキスパート・認定講師 一般社団法人 日本健康生活推進協会 日本成人予防協会一級健康管理指導員(認定番号H35366) 米国NLPコーチング研究所 NLPプロフェッショナルコーチ





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