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災害医療の現場で起こる命の戦い①

はじめに

ある本を読んで深く災害について考えさせられることがありましたので、今回はそのことについて触れていきたいと思います。

その本とは下にも出ていますように「ナインデイズ 岩手県災害対策本部の闘い」という本です。

この本は災害対策本部で働いたある医師を主人公として、あの地震発生からの9日間、災害対策本部ではどんなことが起きていたのか、災害現場ではどんなことが起きていたのかを生半しく書いてあります。

私はこの本を子供が昼寝をしている時間で一気に読んでしまいました。災害に関わる仕事をしている、していないに関わらずみんなに読んでおいて欲しい1冊です。

被災者はどんな状況だったのか

「あの日すごく寒かった」

あの東北で起こった大地震は3月11日でしたが、その当日は雪が降るような寒さだったそうです。

想像してみてください。雪が降る中、外で避難のため過ごさなければならないということを。

またあの地震では津波が特に問題でした。雪が降るような日に津波によって海の水をかぶってしまうなどした人たちはどれだけ寒かったでしょうか・・・。着替えなんてあるわけがありません。

津波に巻き込まれ濡れたまま、外で救助を待つ人が何百人、何千人といたそうです・・・。

多くの病院も津波に巻き込まれましたが、間一髪屋上などに逃げた医療スタッフや患者などは濡れたまま過ごしていたそうです。患者のために乾いた服は全て患者に渡し、医療者はゴミ袋をかぶる、カーテンを身に着けるなどで暖をとっていたそうです。

同じ医療者として本当に尊敬します。過酷な状況下でも患者のために尽力された方々には頭が上がりません・・・。


私は熊本地震の際に災害支援として活動をさせていただいた経験があります。その時、最も怖かったのは余震でした。

避難所などで理学療法士として活動をする中で余震があると、一瞬その場の空気が変わります。みんな一斉に話すのを止めるのです・・・。あの空気感は忘れません。

被災者はみんな、極限の緊張感の中で不安や悲しみ、怒りなどを抱えて過ごしているのです。


「目の前で人が流された」

津波の恐ろしさは直に体験をしていなくても、あの映像を見れば一目瞭然でしょう。決して忘れてはいけません。

津波で流されて亡くなった人が一体どれだけいたのでしょうか。

この本で書かれてあった例を出しましょう。

津波から逃げる途中、水位がだんだんと上がってきたことに気づいた母親は三歳になる娘を高く持ち上げたまま溺れて亡くなったそうです。間一髪で3歳の娘は助かったようですが、意識は不明の状態だったようです。

子供のために命をはって守った母親の強さ・・・。どんな気持ちだったのでしょうか・・・胸が張り裂ける思いです。

その他、地震に関する本をいくつか読みましたがどれも涙なしでは読むことができません。

別の本に記載されていた内容です。こちらの本もオススメです。

ある避難所に1台の軽トラックが到着しました。降りてきたのは2人の男性。荷台に乗せられていたのは1人の男性の方の奥さんと子供、どちらも津波に巻き込まれて亡くなっていました。

津波が引いて男性が家の瓦礫を片付け家族を探していると見つかったそうです。その男性は避難所についても何も発しませんでした。

変わりにもう1人の男性が言います。「せめて綺麗にしてやれねぇのかよ」と。亡くなった2人とも泥だらけの状態だったそうです。


こんなの普通じゃありませんよね。みんな当たり前にその日を過ごしていたのです。あっという間に日常が消え去り、地獄が訪れ、多くの人の命を奪いました。

目の前で人が流されていくのが見えるのに、どうすることもできなかった。そんなことが起こっていたのです。

集まってくるのはおびただしい遺体の数・・・自分の家族がそこにいないかと遺体安置所に探しにくる家族たち・・・。


あれから何年もたち、復興も少しずつ進んでいます。

でも決してあの大惨事だけは忘れてはいけません。東北に住む方々だけでなく、日本人全員が絶対に忘れてはいけません。

台風、豪雨による水害なども最近では頻回に発生するようになりました。災害は地震だけではありません。

私たちの大切な生活を守るための行動を1人1人がしっかりと行いましょう。

最近では防災グッズや書籍などが目立つようになってきました。これは非常に良いことです。

災害発生直後は自衛隊も助けてくれません。発生直後の自分の行動が、その後の生き死にを左右します。

災害で悲しむ人が1人でも少なくなるような世界にするために出来ることから始めましょう。


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