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#23 逆境で心折れる人と折れない人の違い

stand.fm『瞑想Cafe』の23回目の放送です。
『瞑想Cafe』では、ストレスを手放し、苦しみから解放されることをメインテーマにしています。
今回は、「逆境で心折れる人と平常心を保てる人の決定的な違い」というテーマでお話したいと思います。

『瞑想Cafe』では、瞑想に関することを中心に、心とからだの健康をテーマに話をしていきたいと思います。
特に、ストレスを手放し、苦しみから解放されるために役立つ情報を発信していきたいと思っています。
そのために役に立つ情報として、マインドフルネス、ヴィパッサナー瞑想、ブッダの教え(ブッダ・メソッド)、アーユルヴェーダなどを中心に、誰にでもわかりやすいように、私の体験を交えながら、ご紹介していきます。

この記事では第23回の放送内容を要約して、お伝えいたします。

1.はじめに

ストレスを手放す続きのテーマでお話しようとしていましたら、10月12日付のニュースで、脳科学の専門家である細田千尋(ほそだ・ちひろ)先生が書いた「脳科学が教える、逆境で心折れる人と平常心を保てる人の決定的な違いとは」という記事が目につきました。

この内容は、ちょうど私がお話したいと思っていたテーマに沿っていましたので、今回はこの記事をベースにお話したいと思います。

東京大学大学院総合文化研究科研究員
科学技術振興機構さきがけ研究員
帝京大学医学部生理学講座助教
博士 細田 千尋(ほそだ・ちひろ)先生

記事参照先:https://news.biglobe.ne.jp/economy/1012/pre_201012_9926098503.html

2.レジリエンスとは

今まで、ストレスとは何か、ストレスを手放すとは何かに関してお話をしてみました。

ただ、同じストレスがかかっても、ストレスに強い人と弱い人がいますよね。

大きな精神的打撃を受けても、立ち直れなくなってしまう人と立ち直れる人、折れる人と折れない人、この違いは何なのでしょうか。

逆境にさらされたり、過度なストレス状態に陥ったときに、精神的な傷を受けて一時的に落ち込んでも、そこから立ち直り、環境に適応していくことができる人がいます。
この特性のことを「レジリエンス(resilience)」
と言います。

レジリエンス(resilience)の日本語訳は、「弾力」や「復元力」、「回復力」を意味する言葉です。

「(物理的な)外の力からのゆがみを跳ね返す力」という意味で、もともと物理学で使われる言葉です。

レジリエンスは、ストレス(stress)と共に、物理学で使われている用語で、対をなす言葉になります。

ストレス:外力による歪み
レジリエンス:外力による歪みを撥ね返す力

また、レジリエンス(resilience)は、「脆弱性(ぜいじゃくせい)(vulnerability)」という言葉の反対に位置する概念です。


なお、レジリエンスに類似する言葉にメンタルヘルスという言葉があります。
メンタルヘルスとは、私たちを悩ませるストレスや精神的な疲労、悩みを軽減し緩和してくれるサポートのことで、精神的健康や心の健康、精神衛生や精神保健と訳されるものです。


2.レリジエンスの高い人の特徴

2006年の論文では、深刻な外傷性のストレスにさらされた場合、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症するのは14%程度と報告されています。
このPTSDになる人とならない人の差が、レジリエンスになります。

過酷な環境下にいながらも、PTSDなど精神的に崩れることのなかった人の特徴などから、レリジエンスの高い人の10の特徴が明らかにされています。

レリジエンスの高い人の10の特徴

①楽観主義
②利他主義
③確固とした道徳的基盤をもつ
④信仰心やスピリチュアリティを持つ
⑤ユーモアがある
⑥自分の役割のモデルを持っている
⑦他人の社会的なサポートを受けられる環境を持つ
⑧恐怖を直視できる
⑨使命感が強い
⑩メンタルトレーニングを受けている。

また、脳科学の研究からは、レジリエンスの強い人は、幸福感に関わるオキシトシンやセロトニンなどが多く分泌されていることがわかっています。
さらに幸福感と関連している左眼窩前頭皮質さがん・かぜん・とうひしつの体積が大きいこともわかってきています。


このレリジエンスを高める方法として、アメリカ心理学会は以下の「レジリエンスを築く10の方法」を提唱しています。

レジリエンスを築く10の方法

① 家族や友人・他人と良い関係を作ること
② 克服できない問題と捉えてしまわない
③ 変化を生活上での一部分としてきちんと受け入れる
④ 何かしらの目標に向かって進むこと
⑤ (流されず)断固とした行動を取ること
⑥ 自己発見のための機会を探すこと
⑦ 自分に対する肯定的な見方(自己効力感)を持つこと
⑧ 物事の捉え方についての展望を持つこと
⑨ 希望に充ちた見方を持つこと
⑩ 自分自身を大切にすること

今現在、過度のストレスで、苦しんだり、悩んだりしている人にとっては、この10項目が心に入ってこないのではないかと思います。


3.レジリエンスを高めるために

細田千尋先生は、レジリエンスを高める方法としてのマインドフルネス瞑想を勧めています。

マインドフルネス瞑想によって、

①注意制御:今だけに意識を向ける
②感情調整:感情をのせずに事実だけに目を向ける
③自己知覚:正しく自分を知る

が導かれ、結果的に自己コントロールができるようになり、効果を得られるとされています。

人は、他人と比較し安心感や不安感を行き来したりしがちです。

けれども、置かれている環境・状況について、良い悪いといった価値判断をしたり、不快だ、と感情的に反応したりせずに、自分の状態や思考の癖について俯瞰することが重要です。

そこで初めて、感情にとらわれずに選ぶべき選択や、とるべき行動をとることができるのです。

その結果、問題を大きく考えすぎてしまったり、破局的な解釈(何もかも終わりだ、等)といった、悩んでいる時に起こりがちなことも避けられます。

この「状況を俯瞰し感情に左右されない力」を鍛えることで、効力を発揮してくるのです。

理不尽なことも多く、それをなぜ自分が受け入れなければいけないのか?と受け入れられず苦しむ時、マインドフルネス瞑想などを活用しながら、感情コントロール訓練をし、レリジエンスを高めることができれば少し生きやすくなるでしょうと言っています。


前回お話した「ストレスを手放すための2つのステップ」

STEP1: 意識化すること
STEP2: 浄化すること

この「意識化する」ということは、気づきの瞑想であり、マインドフルネスです。

すなわち、「①注意制御」、「②感情調整」、「③自己知覚」のこの3つのステップになります。

そして、「浄化する」ステップとしてヴィパッサナー瞑想があります。

今後は、このヴィパッサナー瞑想に関して、詳しくご説明していきたいと思います。




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