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自分が乗る船への信頼感

会社の若手社員が一人退職すると聞いた。

彼は入社3年目の営業マンで
私の部下と同期だったはずである。

なかなか保守的な業界の営業部隊に配属され
彼なりに試行錯誤した結果、
ここ最近かなりいい結果を出すようになったのに
非常に残念である。

とは言え、私は直接的に彼と話す機会は
それほど多くなかったので、
彼がなぜ退職を決めたのかは知らなかった。

そんな中、昨日彼の同期の部下と
二人で試作品のサンプリングを行うことになった。

何気ない話の流れでなぜ彼が退職するのか
理由は何かを聞いてみたのだが、
どうやら会社が変化しないことに対して
諦めの気持ちが生まれたのが理由らしい。

恐らく私の部下は具体的なことを
本人から聞いているのであろうが、
それは私にはあえて言わないようにしているのが
話し方から伝わってきた。

私からも特に詮索することはせず、
「そうやったんやな」と返答を返す程度にとどめ
その話題は終了した。

だが、そのときふと私の中で疑問が生じた。

彼はなぜ会社は「変わらない」と判断したのだろうか。

仕事をしていると当然ながら会社に対する
疑問点や不満点は出てくるものである。

それらが小さい時には多くの人が
心の中に留めておくであろうが、
それらが大きくなったならば
誰かしらにそれを相談して、
解決しようと動くはずである。

今回退職する彼は比較的自己主張が強いタイプなので
恐らく、不満点を誰かに伝えていたはずである。

ところが、結果としてそれは解決されず
解決の糸口すら見えない状態になったのであろう。

私には彼の心中は察することができないが、
自分が大きく不満に思うことが
どうにもならないと感じた絶望感は
とても辛いものだったと思う。

誰もがずっと働きたいと思える会社など
ありえない。

なぜなら、人によって求めるものが
全く違うからである。

しかし、私たちが働くような中小企業は
大企業に比べるとフレキシブルなはずである。

そんな中、彼に働きたいという意欲を失わせるほど
変化を嫌ったと考えると
私の中でモヤモヤしたものが残る気がするのだ。

これまで色んな人が退職する場に立ち会ったが
今回の彼のような若手が、
希望を感じられずにやめてしまうことは
私たちにとっても大きな損失であるとともに
絶対に改善しなくてはならない課題である。

先日仕事をすることは新大陸を目指して
航海することと同じであると書いたが、

https://note.com/hdhjfhdj/n/n092849e2c582

その航海ができるのは船への信頼があってこそである。

航海に出ることは大きなリスクを伴う。

それでも航海に出ることができるのは
航海した先にある大陸への期待値の大きさと共に
船への信頼感があるからこそである。

今回の彼は船への信頼感に不安を感じ、
下船することを決めてしまった。

残された私たちがすべきことは一体なにか。

それは船への信頼感を
今一度取り戻すことではないだろうか。

彼がやめても多くの乗組員が会社という船に
乗り続けている。

私にできる事は決して多くはないが
乗組員の一人として、
船にある欠陥は直していきたい。

彼の最終出社日まであと数日。

一度彼に話を直接聞いて
何をどうできるのかを検討してみようと思う。

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