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休日ミッション

昨日は妻が資格試験を受ける日であった。

試験会場が家から2時間ほどの場所なので
午前10時ごろに家を出ていかなくてはならない。

いつものように朝活から家事をして
朝の準備をしていると、
子供たちがいつもよりも早く起きてきた。

一日子供たちと過ごすので
一人時間をもう少し味わっていたかったが
こればかりは仕方がない。

そこから子供たちと朝食の準備をして
ちょうど整った頃に妻が起きてきた。

早朝から起きてきたせいか子供たちは
この時点で既に頭のウォームアップが完了して
朝食の食卓からよく喋っていた。

そして、朝食が終わると娘はすぐに着替えて
外で遊びたいと言い出した。

娘はまだ5歳なので、
家の外で一人で遊ばせるわけにはいかない。

食後にゆっくりコーヒーを飲みたかったが
娘と外の道で遊ぶことにした。

とはいえ、娘は道で自転車の練習をしたり
縄跳びをするだけなので、
私はずっと見ておく必要はない。

そこで、私はとあることをやり始めようと
道具を取ってきた。

何をしようとするかというと、
花壇に植えた木を移設する作業である。

「花壇に木?」と思われるかもしれないが
我が家の花壇には1本の木を植えていた。

ゴールドクレストという木で、
冬場にも緑がちゃんとでるので
数年前に冬の寄せ植え用として
1本を花壇のセンターに植えたのである。

わが家では毎年夏と冬に花壇の花を入れ変えるのだが
このゴールドクレストは成長が早く、
花を入れ替えようとしたときには
かなり大きく成長していた。

花を植え替える時には、残った花は
一輪挿しのようにして部屋に飾ることはあるが
基本的に捨ててしまう。

普通ならゴールドクレストも廃棄ということに
なるのだが、
何となくこの成長を見せられると捨てる気になれず
それからずっとゴールドクレストをセンターにして
花壇を作り続けていた。

ところが、その間にもゴールドクレストは
順調に成長を続け、
ついに背丈が1mを優に超えるほどになった。

それでも依然として寄せ植えを続けていたのだが
あまりに背丈が違うために
バランスが合わなくなってきたのである。

何となく合わないと思いながら、
どうしていいかアイデアが浮かばないまま
私数年間放置していたのだ。

娘が一人で縄跳びをしているので
私はそのゴールドクレストを庭の一角に
植え替えようと思いついたのである。

めったに使わないシャベルを取り出し、
早速私は作業に取り掛かった。

我が家の花壇は土の深さが40㎝程で
それほど深くはない。

なので、ゴールドクレストの植え替えも
比較的すんなりと終わるだろうと
私は高を括っていた。

植え替える先の庭に穴を掘って準備をして
早速花壇のゴールドクレストの周囲を
シャベルで掘り起こそうとした。

ところが、不思議なことにシャベルが
一定の深さ以上に入っていかないのである。

おかしいと思いながら土を掘ってみると
驚いたことに花壇の下を縦横無尽に
ゴールドクレストの根が張っていた。

以前からよくこんな柔らかい土でこの背丈を
支えてられるなと不思議に思っていたのだが
ゴールドクレストも考えていたらしい。

こうなると受け入れる先の庭もしっかりと
大きな穴を掘っておかなくてはならないので
私は一旦作業を中断して庭の穴掘りを
再開した。

そうするとそのタイミングで息子が
外に出てきた。

「パパ、何してるの?」と聞くので
経緯を説明してやると、
何となく面白そうと感じたらしい。

息子が手伝ってくれることになった。

すると縄跳びをしていた娘もそれを聞いて
手伝うと言い出した。

そこで、私は二人に小さなスコップを渡し
庭の穴掘りを一緒にし始めた。

ある程度の大きさになったので、
次は3人で花壇に張り巡らされた根っこを
掘り起こすことにした。

「え、こんなところにも根っこが伸びてる」
息子のそんな声を聞きながら根っこを土から出し、
木を持ち上げてみて、
その作業をしばらく繰り返し、気が付くと作業開始から
1時間が過ぎていた。

ようやくすべての根っこが出たらしく
木を抜くことに成功し、
庭の穴にその根っこを慎重にいれる。

そして、そこから3人で掘り起こした土を
その穴に入れることにした。

なぜだか息子も娘もとても嬉しそうである。

しっかりと埋めておかないと
風で倒れてしまうので、
息子には土を押し固めるように言い、
娘にはホースで水をやるように言うと
二人とも喜んで作業をし始めた。

私はその間、花壇のほうを整地しつつ
寄せ植えしている他の花の手入れをして
二人の様子を見ていた。

時折ホースの水で遊んだりはするものの
二人して仲良く作業をしている様子は
縄跳びや自転車の練習を見ている時とは
また違う成長を私に感じさせてくれた。

そして作業が終わり、片付けをして
部屋に戻ると、妻が出かける時間が
近づいていた。

妻も直前に復習をしておきたかったらしく
テーブルでテキストと向き合っていたが
子供たちは嬉しそうに妻に庭を見るように言う。

仕方なく庭を見た妻が「え、すごい」
と言うと、誇らしげな顔をする娘。

日ごろ休日は何かをして遊ぶことが多いが、
何か一つミッションを与えて、
それを一緒にクリアしていくという体験も
悪くないのかもしれない。

もちろん毎週植え替えをするわけにはいかないが、
住み始めて5年以上が経ち、
庭に作ったウッドデッキも一部作り変える必要がある。

なかなかハードなミッションになりそうだが
子供たちと一緒にするには悪くなさそうである。

以前にも別の記事で書いたのだが、
子供に対して父親ができる事はそれほど多くない。

甘えさせてやることは母親ほどできないし、
母親に比べると一緒に過ごせる時間は少ない。

しかし、父親だからこそ導いてやれる
冒険があると私は思っている。

今回のエピソードはどこかに行ったものではないが
子供たちにとっては木を植え替えるという
一つの冒険であったのだ。

来週以降はウッドデッキの改装という
大きな冒険に出てみようと思う。

完成した新品のようなきれいなウッドデッキと
子供たちの満足そうな顔が今から楽しみである。

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