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フランス旅行記3 2週間目の苦悩と牡蠣の味。

こんばんは。
昨日はnoteを書く時間が取れなくて、夜は眠たかったのでそんな中書いても仕方がないと思い、睡眠を優先してしまいました。

今回は前回の最後で少し話した通り、3週間もいたらそれはいろいろあるよねという話をしていきたいと思います。

2週間目の苦悩

先日公開されたPodcastでのはじめての一人しゃべりをするという企画の中で割と話してしまったのでそこと内容が重なってしまうところもあるかもしれないです。こちらも聞いてみてください。


人にはそれぞれリズムがある。
朝起きる時間から、起きてからどういう順番で何をする、顔をまず洗うとか水をまず飲む、歯磨きをまずするとか、朝ごはんの時間は、朝ごはんはそもそも食べるのか、起きてからどれぐらいの時間で準備完了となるのか、などなど1日を通して様々な人が様々な自分のリズムというものを持っていて、それに沿って生きている。

誰かと一緒に住むと言うことは各々のリズムをお互いに尊重しながらそれを人に合わせたり、時には自分に合わせてもらったりしていく必要がある。その中には自分に合わせてもらうのが得意な人もいれば、人に合わせるのが得意な人がいる。

自分は完全に後者だ。
人に自分のリズムを押し付けるのは得意ではないし、人と生活するときは人に合わせる必要がないところでも歯磨きのタイミングを一緒にしてみたり朝ごはんを抜く感じかなと思えばそれに合わせてみたりなど、合わせるのが割と好きだし、それを苦に思ったりもしない。

自分はそういう人間だと思っていた。
フランスに来て、友達と一緒に生活するまでは。

自分は優柔不断で、人がこれをしたい!といえば好んでそれに合わせるようなリーズナブルな人間だと思っていた。だけど自分の中にはそれなりにリズムが存在し、それを崩されることを苦に思っていないわけではないと気がついた。でも、これもすぐに気がついたわけではなくこれが苦痛だったのかもしれないと思うのはこれよりももっと後のことになる。

最初に疲労感が自分を襲った。
とてつもなく疲れて頭は思考をやめていた。この状態になると誰とも会話しようと思わなくなる。会話をしようと思っても頭が働かないので何を話したら良いのかが思いつかない。どこに言っても基本無口な状態が数日間続いた。景色をみても感動すらろくにできない、無口で真顔な感じの悪い状態が数日間か続いた。

確かに自分はテンションを使い果たすと無口、真顔になって少し空気を悪くすると言うことがこれまで何回もあった。でもそれは寝れば治ったし、次の日までその状態を持ち越すなんてことは一度もなかった。しかし今回の疲労は寝れば治ると言うものでもなく、次の日もまた無口が続いた。会話を全くしないと言うわけではないけど、自分が参加する会話の量が圧倒的に減ったのである。

別れ

そんな中、友人のSとお別れの時が来てしまった。
彼女はこれからドイツでの新生活があるため、早めにこの旅を切り上げることになっていた。わかっていたこととは言え、思っていたよりも大きな寂しさがそこにはあった。R君とIとはまだお別れではなかったけど、飛行機でも一緒だったし、その前にもフランスに来るための買い物に何度か行ったり、わりと頻繁に会う機会があったので彼女の旅立ちは想像以上に自分にダメージを与えた。

新生活

Sが去った数日後に、R君がある提案をしてきた。
「ハヤト、別々に生活してみない??」自分の疲れを察してくれたのかそれとも彼自身も疲れていたのかはわからないけれど、とにかく彼は朝起きて挨拶をするなりいきなりそれを提案してきた。自分が彼の家を離れ、安宿で生活してみるという話だ。良いかも!と思ったけど、すぐにある心配が頭をよぎった。「予算大丈夫か?」と。自分の旅程に外泊は全くもってなかったのでこれは大きな支出になりそうだった。

しかしこのまま一緒に生活を続けていてもお互いあまり良いことはないだろうし、嫌な空気を出してしまって申し訳ないという気持ちもあったので、自分はその提案を承諾した。

いろいろとネットで安い宿を探したあげく、Iが見つけてくれたパリ郊外にある日本人ユースホステルに泊まることを決めた。値段を優先して決めたので、口コミには良い評価と微妙な評価が混在していたけど、フランスに来ている日本人というのに興味があったし、知らない国の人と同室になって荷物の心配を四六時中していなきゃいけないというのも嫌だったので、そこに泊まることにした。

日本人宿

案の定、宿のある街は移民がほとんどで、パリとはかけ離れた風景が広がっていた。とにかくアラブ人が多かった。そしてどこかインドと雰囲気が似ていて、「なんでフランスに来てまでインドの風を感じなきゃいけないんだ」と思ったほどである。とにかく第一印象はあまり良くなかった。良くないというか悪かった。

宿も長期滞在者が住みついているような印象を受け、あまり気持ちの良いものではなかった。ああ、ハズレだ。到着直後に思ったことである。

しかし悪いこともあまり長くは続かないというのは本当で、幸いなことにルームメイトに恵まれる。

部屋に入った瞬間の彼はヘッドホンをしてこちらをチラリとみて「うっす」と小声で呟いただけでまた友達との電話(後から相手は彼女だったと知る)に戻ってしまったのであまり良い印象ではなかった。

タトゥー持ちでマッチョだったので気になって話しかけてみると、彼は日本人でありながらフランス軍で勤める外国人部隊の人だということがわかった。なかなか愛想の良い方で、そのほかにもいろいろと軍の話を聞かせてくれた。自分がここに来た経緯も話したところで会話は終了した。

牡蠣の旅

今日は疲れたし、このまま寝るかと思って準備をしていたらいきなり「牡蠣食いにいきません?」とご飯に誘われ、さっきまでいたパリに30分かけて電車で向かった。牡蠣を食べる前にもう少しお腹を減らそうということでパリのいろいろなところを歩いて回った。彼には日本に彼女がいるらしく、ここ何年間か会えてないけど遠距離で続いているんだという話だったり、その彼女と付き合ったときの話を聞いたりしながら歩いた。

遠距離は自分には無理だと思っていたけど彼の話を聞いているとなんだか自分にもできそうな気になってくるから不思議だった。とにかく、そうやって楽しく会話をしていたらあっという間に2時間ほど経っていた。お腹はペコペコだったし、彼のおすすめの安くて美味しい牡蠣が食べられるという店に足を早めた。

しかし、いくら歩いても一向に到着しない。おかしいなと思い携帯を広げる彼だったが、なんと店の名前を覚えていないらしくGoogleマップは役に立たなかった。もうお腹も限界をむかえていたので「ここに入りましょう!」と彼が指さしたのは、絶対に自分たちには不相応なみるからに立派な高級店だった。しかしもうこれ以上歩きたくなかったし、食べる量抑えれば良いやと意を決してその店のドアを開けた。

「Bonjour!!」という元気な声をかけられ席まで案内された。席に着くまでの間に見た客は皆、年配の方ばかりだったし、ものすごくリッチそうな服を着ていた。ワクワクよりもドキドキが勝っていた。

自分ほどは緊張してなさそうな彼も「やばいとこ入っちゃったすね」と少し焦っていた。「でも、まあ入ったからには楽しみましょうや」とワインを真っ先に頼んだ。いわゆる食前酒というやつ。初体験だ。

しかしアルコールというものは偉大で、一グラス飲むころには緊張がほぐれ、不相応を心配する気持ちはほとんどなくなっていた。でも、値段の心配はなくならず牡蠣は少なめにオーダーした。彼は「休暇の最終日なんで」と遠慮なく大量に牡蠣を頼んでいた。

ちなみに自分は牡蠣というものがすごい好きなわけではない。わりとクセが強いので、出されたら食べるけどそんなに好き好んで食べたい!とはならない。しかし、この店の牡蠣は違った。まず貝にひっついたままの牡蠣をスプーンでこすり取り、赤玉ねぎとビネガーのソースを少し上に載せる。それをそのまま口元まで運び口に流し入れる。最高だった。牡蠣のクセはそんなに強くなくクリーミーで、そこにビネガーの酸味と汁の塩味がマッチする。確実にフランスに来てから一番に美味しい食べ物だった。

夢中で頼んでいた牡蠣を平らげてしまった自分たちはそれだけでは物足りず、追加でオーダーした。それもさっさと平らげ、ワインももう一本空けたところで終電の時間が来てしまった。伝票をみるのがこわい。割り勘をしようと合計金額の2分の1をする頭の準備をして、伝票を表に返した。€106。日本円で約¥13,000。頭が爆発しそうだった。食べ物に対してこの金額を払ったことなんか一度もない。

金額に呆気にとられていると、彼は「あ、払うよ」とだけ言い、伝票をささっとレジに持っていきカードで会計を済ませてしまった。カッコ良かった。あとで彼の年齢を聞いたら自分のたった2つ上だった。「自分もいつかこうなりたい」と素直に思った。

そのあと、ちょっとした恋愛相談にまでのってくれた。

物凄い優男との物凄い出会いの話である。

次の日に出て行ってしまった彼のいない部屋はなんだか寂しかった。

でも、昨日の美味しい牡蠣と優しく熱い彼のおかげで疲れと寂しさは飛んでなくなったように思えた。

最後に

いかがだったでしょうか。フランス編第三弾。

明日はいよいよ第四弾最終編です。この牡蠣事件の後には何をしたのか、何を考えたのか、そして帰ってきた今、何を考えてるのか。とそういうことを書きたいと思っています。

是非読んでください!

それではまた明日ー!

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