麹屋が儲からないことは、僕が麹屋をやらない理由にはならない。
どうも。丹波市の片田舎で不思議な麹屋をやっています本間です。
6月に開業、8月から本格稼働を始めた弊事業でありますが、
開業にあたって、最初の二ヶ月間、経営計画書とみっちり向き合いました。
正直、軽く病みかけるくらいには数字と向き合いました。
その結果、分かったことは
「麹屋って儲からねー笑」
ということ。
そう。
麹屋は儲からないです。
麹屋は、つくった麹を売って稼ぎを得る、ものづくり、もの売りの商売です。
なので、必ず元手がいります。
原料である米や、資材や、加工の道具を買います。それでつくって、売って、頂いた売上と、使った経費の差額が儲け(粗利)です。
そこから更に販管費と呼ばれる販売に関わる経費を引いて残るのがいわゆる営業利益です。
製造業の粗利率ってそんなに大したものではなくて、平均で20-30%、どれだけ良くてもせいぜい30-40%とかです。
麹屋も同様に、その粗利率から逃れることはできません。
しかも、麹の単価って、驚くほどに低い。
だいたいスーパーなんかで見る単価で1kg1000円というのが一般的な相場です。
僕の麹屋はちょっとだけ特別なので、税込み1kg2000円を頂いています。
1kg2000円だから、10kg売って2万円、100kg売って20万円です。
ここまでお話して、数字を知ってる人なら、これがどれだけ絶望的か、すでにおわかり頂いたと思います笑
仮に、もっとも粗利率が高いとされる4割が粗利としましょう。
その場合、1kg2000円を売り上げて、800円が粗利です。
10kgで8千円、100kgで8万円。
ここから更に販売などに関わる宣伝費やガソリン代などの経費が引かれていきます。
手元に残るのはせいぜい良くて5万円くらいでしょうか。
これが、僕の稼ぎというか、生活費になります。
あと、ここから更に税金や借入の返済があります。
もうお分かりですね。
100kg売って、僕の稼ぎって、2,3万円とか、それくらいになります。
僕や家族が生きていくためには、そうですね、月に20万円は必要なんじゃないでしょうか。
ということは、この10倍つくって、売ることが求められます。
つまり、少なくとも一ヶ月に1000kg、僕は販売し続けなければいけません。
これを一週間に直すと週200kgから250kg、
一日あたり30kg、
毎日売り続ける必要があります。
いや、僕もお休みがないと倒れちゃうので、
4,50kgくらいつくり続けて、売り続ける必要があります。
ちなみに、僕の現在の製造上限は、1日あたり10kgです。
お休み分を差し引くと7kg/日くらいです。
そもそも、製造上限として破綻しています笑
工房の工事が終われば、4,5倍くらいの製造能力が見込めますが、それでも一日30kg、
あれ、ぎりぎり生活できるレベルですね笑
製造上限としての限界が生活できるギリギリの水準ですし、
しかも、毎日30kg、売れますかね?
想像してみてもらっても、毎日30kg、使わないですよね?
毎日1kg使う人だっていない。
せいぜい、月に2,3kgじゃないでしょうか。
となると、僕は毎月2,3kg使ってくれるお客さんを500人見つける必要があります笑
見つかりますかね?
そもそも、毎日そんな量の梱包出荷しながら、つくり続けるのが可能ですかね?
そんなに売り続けることが可能でしょうか?
想像するだけで、事業として破綻してますよね笑笑
僕、これを冷静に計算した時、思わず笑ってしまいました笑笑
そうです。僕が、麹屋として食べて生きていこうとすることそのものが、"詰んで"います。
だから、米以外の変わった麹をつくったり、有機や無農薬のお米をつかって米麹をつくったりして単価を上げようとしていますし、
イベント出店をやらせてもらって、別に売上を立てようとしています。
生き抜くためには、何でもやるしかないなぁ、ということに気付きます。
それを計算して計画を立てて、それを見て病みかけても、僕は麹屋をやることを選びました。
まともな考え方の人は、選びませんよね笑
でも、正直、そこに、麹屋を始めることに重大な決断は要りませんでした。
もう、麹屋として、試しに生きてみることに、迷いがなかったからです。
儲からないなら、ちゃんと生きて儲かるような方法を考え抜えばいいんです。
工夫と知恵と閃きを、諦めなければいいだけです。
しかも、今の時代はとっても素敵で、
失敗しても、債務整理したら命までは奪われません。
失敗しても、またサラリーマンとして働けばいいだけです。
結果的に、僕は貯金を失うだけで、
僕も家族も、露頭に迷うことはありません。
なーに、しにゃーしないのです笑
必死こいて生きていくのは正直やりたくないですが、
僕は僕の選んだ選択を、特に後悔していません。
人生なんて、壮大な実験だ、と僕は考えています。
この実験、どうなるか、僕自身も分かりませんが、
多分きっと、試してみる価値がある気がすると、僕の直感が、そんなことを囁いています。
麹屋は儲かりません。麹屋として生き残れるか、全く分かりません。
でも、もし僕が麹屋として生き抜くことが出来れば、
全国の、蔵人を諦めて、醸造から離れざるを得なかった醸造家たちにとってのセカンドキャリアの可能性を示す、という足跡を残せるような気もしているのです。
麹屋は儲かりません。
たったそれだけのことが、僕が麹屋を始めることには、なんの障害でもありません。
なーに、やれるとこまで、やってみたらいいんですよ。
その方が、多分きっと、僕の人生は面白いような気がしてるんです。
しらんけど笑
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