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ロジカルシンキングの本質とフレームワーク【情報インテリジェンスの高め方⑥】

前回の「時代の流れを捉える3つの視点【情報インテリジェンスの高め方⑤】」では、時代の流れを読むことの大切さや、「政治」「経済」「社会」という時代を捉える視点についてお話してきました。

この3つの視点から世の中の流れを読み、自分のビジネスはどこに位置していて、何がどう影響しあっているのかを把握することが、情報インテリジェンスを得る上では重要です。


※前回の記事はこちら


また、同時に今回解説する「ロジカルシンキング」も情報インテリジェンスを得るために重要なスキルの1つです。

今回は、ロジカルシンキングを行う上でおすすめのフレームワークや、ロジカルシンキングをどうビジネスに生かしていくべきなのか、その本質について解説していきます。


自己紹介

事業投資家の林周平(@HayaShu88と申します。10社のグループ企業の経営と林経営塾を主催しています。

僕の詳しいプロフィールは以下をご覧ください。

ロジカルシンキングのフレームワークMECE

ロジカルシンキングを行う上でのフレームワークにMECE(ミーシー)があります。

MECEとは、「もれなく・ダブりないピラミッドの論理構成」のことです。

主題があっていきなり結論を出すのではなく、縦軸の「ほんで?(So what?)」と「なんで?(Why So?)」という2つで論理構成を組み、横軸のMECEで抜け漏れを防ぎます

例えば「男性と女性」なら漏れがない状態といえます。

「男性と女性と子供」だと、男性・女性の中に子供は含まれているのでだぶっています。被りがある場合、それは論理的ではないと判断するためのひとつの指標となるかもしれません。

もれなくだぶりがない状態が、MECEな状態です。

図にすると、いくつかの円が重なって範囲をカバーしている状態では四隅がカバーできておらず、抜けもダブりもあります。

MECEな状態とは、全体が四角形なのだとすればその面積をすべてカバーできており、同じ色で塗り重なった部分もない状態です。

ロジックツリーの場合は、例えばダイエットしても体重が落ちないことが主題だとすれば、食事方法が悪い・運動不足・ダイエットの方法が悪い、という原因が挙げられます。こちらを横側に広げていきます。

さらに、食事方法が悪い場合、食べるもの・食べる時間があるでしょう。僕は食べる順番が抜けてるからMECEじゃないなと思いましたが、これは余談です。このように漏れがあると上司やクライアントが刺してきます。

さらに食べる時間となると朝、昼、夕と分けられる。もっと言えば間食もありえますね。僕みたいな性格だとこのように細かく言われてしまうでしょう。

このように一つ一つの事柄を「ほんで?」と抽象度を上げ、「なんで?」と深堀りする方法がロジックツリーの考え方です。

例えば、自社が客単価が下がっている問題を抱えていた場合、結論から論理武装してもいいし、一つひとつ考えて最後に結論を出してもいいでしょう。

もっとも僕は人間が直感的に思うことを割と信じるタイプなので前者でもいいとは思いますが、後者の方法がきっと万人にとってはいいのではないでしょうか。

ロジカルシンキングの本質

ロジカルシンキングとは、そもそも騙されないための思考法なんです。論理を通すための方法だと思ってる人は結構います。

ロジカルシンキングは、騙されないために検証するための思考方法であり、相手を説得するための方法ではありません

つまり矛ではなくて盾です。

矛としてロジカルシンキングを使い始めると、ただの嫌なやつになります

「君の話は何か確かにそうなんだけど、納得いかない」みたいなことを言われる人になっちゃいます。

別に、「ロジカルシンキングで論理構成をしてプレゼンしてはいけない」という意味ではありません。

世間には、ロジカルであることが正しいという思い込みがあることは否めません。僕はそれをおかしな話だと思っています。ロジカルシンキングは、社会的なコンセンサスとして存在しているように僕には見えます。

「これ論理的だから通していいよね」と言われた相手は、そうだねと同意する以外ないですよね。人はこの企画書とあっちの企画書、どっちが論理的だろう?と当たり前のように検討してしまい、論理的な側を選びます。

要は、ロジカルであることが正しいという価値観が、なぜか今この世の中にはあるんですよ。

「ロジカルだから全部だめだ」ということではありません。

ロジカルだから正しいかどうかではなく、「ロジカルに検証すれば騙されない」、「間違ってはいないということだけは判明する」ということです。

ロジカルこそ最高という考え方は、本当にやめるべきだと僕は思います。

ロジカル至上という考えが至る先は、「おっさん化」です。

長年どこかに勤められた方ほど、よく言えば論理的に考える教育を受けています。でも最後どうなるかと言うと、自分の感情で物事の意思決定をすることができなくなってしまうのです。

よく「論理的に正しいことは、誰が見ても正しい」とか「数字は嘘つかない」とか言いますよね。

決めやすいから、そのようなことを言うわけです。論理は客観的であり、数字も見ればすぐに意味がわかる。

主観的に感情で決める場合、リーダーシップが必要です。戦いを乗り越える能力が必要です。

客観的なこと、論理的なこと、数字、前例といったものは、誰もが脳死で使える道具なんです。簡単だからこそ、そちらに流れがちになってしまいます

忘れがちですが、そもそも人間はアニマルでしかありません。コンピュータは機械であるため論理構成はされています。

人間がアニマルなのであれば、別に論理構成されてはいないわけです。これ以上の本質はないと僕は思っています。

感情で生きているはずの人間が知性を持ったことにより、論理的な会話をし始めました。ソクラテス辺りの文化人がこのような文化を作りました。人間に論理という文化、文明を授けてくれたわけですよね。

それが土台になってはいるものの、それイコール人間ではないですよね。もともとアニマルなのだから。

男性は、上記のような勘違いをしがちな傾向があると僕は思います。女性は、感情で生きていらっしゃることが多い。男性はこの考えに陥り、最終的に鬱になったりしてしまう。感情を処理できないためです。注意していただきたいです。

もう一つロジカルシンキングの特徴として、ロジカルシンキングで発想すると、つまらないアイディアしか出ないというものがあります。ロジカルシンキングは万能とは言えません。

例えばピカソは、「子供の頃のように描こう」と生涯ずっと努力し続けた人なんですよ。大人の絵はロジカルでつまらないと思ったのかもしれません。これもひとつの人間の真理を示しているのかもしれないですね。

他にも、子供の意見とか若い学生さんの意見って、宙に足が浮いてはいるものの面白いことがありますよね。

そうなるのは、物事を論理的にキャッチできなかったり、自分の中で構築できなかったり、事例を知らなかったりするからです。でも、それはそれでいいですよね。

論理的に発想することで、アイディアはロジカルに表出します。ただ、ロジカルは別に万能ではないため面白いかどうかはわかりません。ただ、少なくとも発想はできるため、30個案を挙げろと言われたら割と短い時間でできるかもしれません。一方、感情的に30個のアイデアを挙げろと言われたら難しいでしょう。そういった使い分けはできるかもしれません。

もう1回だけ強調します。ビジネス書なんかでは今でも当たり前のように「論理的な発想法が良い」と必ず書かれています。「私はアイデアマンと呼ばれるが、自分でアイディアを考えたことは今までに一度もない。私は常に論理的な発想によってアイディアを出している。その方が再現性があり……」という感じです。

男性社会で通用するためのビジネス書という前提があって、男性がそういった考えが好きだから論理ばかり取り上げられるのかどうかは知りませんが、僕はそういった考えは全部嘘だと思います。

それだけでは絶対おかしな世の中になってしまうはず。なぜなら本来はアニマルだからです。どうにも論理が正しいという価値観がすりこまれていて、この時代はロジカルが強くなっています。ちょっと注意したいですね。


※次の記事はこちら

  • 話のテーマと抽象度を合わせよう!【情報インテリジェンスの高め方⑦】


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