ドローンを飛ばして鳥になろう

早川由紀夫(火山の地質学者、ドローン写真家) http://www.hayakaway…

ドローンを飛ばして鳥になろう

早川由紀夫(火山の地質学者、ドローン写真家) http://www.hayakawayukio.jp/

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最近の記事

    • ドローンで見た2024年1月能登半島地震(2):7月調査

      3月27-28日に続いて、7月27日に2度目のドローン調査を能登半島でした。 珠洲市仁江町国道249号の行き止まりにある大きな崖崩れには、隆起した海中に降りて大きく迂回する工事道路がつくられている。いまは未舗装だが、名舟海岸と同じようにこれを舗装して一般に共用するのだろうか。 そのひとつ西側の崖崩れは、すこし海側に移動して工事道路をつくっている。海に降りてはいない。 東京新聞1月6日写真に黄色で工事道路を記入した。この先にはトンネルが山を貫いているから崖崩れはなさそうだ

      • テフラを挟むクロボク/ロームの断面

        美しいクロボク/ローム断面写真を土壌学者の藤井一至さんが紹介しました。火山噴火で降り積もった堆積物(テフラ)がそのあいだに挟まっています。1500年前の榛名伊香保軽石と2万1000年前の浅間白糸軽石です。写真ではわかりませんが、3万年前のシラス噴火で南九州からやってきた姶良丹沢火山灰も最下部にあるはずです。 榛名伊香保軽石の厚さが150センチですから、ここは群馬県渋川市北部のどこかです。利根川の子持山側ではなく赤城山側でしょうか。アスファルト道路の側面ですから、すぐ消滅して

        • 2024年5月11日に北日本各地で撮影されたオーロラ写真

          太陽活動が活発化している知らせが広く行き渡った11日、雲なくよく晴れた北日本各地から多数のオーロラ写真がツイッターに報告された。前夜、ヨーロッパと北アメリカで、ふだんオーロラを見ることがない低緯度までよく見えた知らせが届いたことが観察機運を高めた。土曜日だったことも幸いした。 日本では、北海道から京都府、兵庫県、そして(おそらく)神奈川県までオーロラが撮影された。下の地図の風船をクリックすると写真が出る。紫風船がオーロラ。青風船は検討するも不採択。 肉眼では見えないオーロ

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          死者報告があった噴火 過去1300年間

          過去1300年に日本列島で起こった火山噴火のうち死者報告があったものを書き出した。それに、死者報告がなかったM5噴火を加えた。古い時代は大きな噴火で死者が出ても文字記録として残りにくいからだ。 時代によってばらつきが大きいが、100年あたり約500人が死亡した。日本列島の火山噴火リスクは5人/年程度だ。100年に1回か2回、100人以上が一度に死んだ。まれに1000人以上が死ぬこともあった。大勢の命を奪った加害要因は山体崩壊による土石なだれと、それが水域に突入して発生した津

          死者報告があった噴火 過去1300年間

          ドローンで見た2024年1月能登半島地震

          2024年1月1日の能登半島地震で、外浦は最大4メートル隆起した。内浦は津波に襲われた。どちらでも地震動による家屋倒壊がひどい。崩落した斜面も多い。 地震から3か月たった3月27-28日、ドローンを携行して現地調査した。27日は金沢駅から出発して門前町を撮影したあと志賀町福浦に投宿。翌28日は珠洲市と輪島市を撮影して金沢駅に戻った。 皆月湾上空で撮影した球面パノラマをご覧ください。 珠洲市宝立町鵜飼の上空で撮影した球面パノラマをご覧ください。 珠洲市宝立町鵜飼を北から

          ドローンで見た2024年1月能登半島地震

          2024年能登半島地震災害の応急対策 初めの2週間

          官房長官記者会見は2週間で10回のみ (扉写真は、1月14日輪島分屯地で激励する岸田総理。首相官邸ページから)

          2024年能登半島地震災害の応急対策 初めの2週間

          20万回以上閲覧されたツイート 2024年能登半島地震

          1月1日 ホワイトボード 43万回 1月2日 非常災害対策本部設置 55万回 1月6日 熊本地震の5倍 85万回 1月15日 醜悪な返信 39万回 1月25日 食事が有料 64万回 1月31日 初動の誤り 28万回 2月3日 ドラレコ映像 30万回 2月11日 ストリートビュー 350万回 扉画像は、2012年10月に撮影された同じ地点。 2月23日 ボランティアによる解体撤去 52万回 2月24日 レトルト食品提供の呼びかけ 38万回 2月28日 モン

          20万回以上閲覧されたツイート 2024年能登半島地震

          地震隆起と海岸段丘のモデル

          地震で海底が隆起するのを繰り返すと海岸に階段状の平坦面ができる。しかしそれは砂浜に限られる。磯浜ではできない。 上の図は、地震で隆起するときの磯浜と砂浜の違いを模式的に示したものである。地震は同じ時間間隔で繰り返すとする。たとえば2000年間隔をイメージしてください。 磯浜では、地震で波食棚が隆起しても、そのあと長く続く静穏期に波食棚の表面が波で全面に渡って削られて、海が元の崖下まで届く。隆起した波食棚は段丘として残らない。地震が繰り返されるたびに海岸に面した崖が高くなる

          地震隆起と海岸段丘のモデル

          能登半島地震で政府の初動が遅れたのは誤って特定災害対策本部を設置したから

          死者230人 9割が家屋倒壊による2024年1月1日16時10分に起こった能登半島地震(M7.6)から3週間が過ぎて死者カウントが増えなくなってきた。最終的には230人ほどに落ち着きそうだ(直接死のみカウント。災害関連死は除く)。死因は、火災10人、土砂災害8人、津波2人が、いままでに報告されている。残りは家屋倒壊による死者で、210人ほどになる。9割だ。生き埋めになって死亡した人の数は、土砂災害を加えて220人ほどだ。 地震当日から救命救助に当たった自衛隊の報告では、救

          能登半島地震で政府の初動が遅れたのは誤って特定災害対策本部を設置したから

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          宇宙から見た東京圏の夜景

          宇宙から見た東京圏の夜景

          近年の火山噴火で降り積もった火山灰の分布図

          過去の火山噴火で地表に降り積もった火山灰は、少なくとも厚さ1ミリないと地層中に保存されるのはむずかしい。保存条件がもっともよいのは泥炭地だ。いっぽう、目の前で起こる降灰は、0.1g/m2の微弱でもひとに気づかれる。1g/m2なら、自動車の上などきれいに掃除された平面上に火山灰が積もっているのが観察できる。 1000g/m2が1ミリだから、1g/m2は1ミクロンである。目の前で起こる噴火は、最薄火山灰層の1000分の1にすぎない1ミクロンの積灰でも計測できるというわけだ。だか

          近年の火山噴火で降り積もった火山灰の分布図

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          中禅寺湖に突き出た八丁出島の紅葉

          中禅寺湖に突き出た八丁出島の紅葉

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