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牛乳か相談だ

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牛乳ができるまでの十勝の牧場のとある日常をご紹介。牧場で働く前に読むと、どんな仕事なのか、牛乳の選び方等もわかります。
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2020年10月の記事一覧

牛の寝床は循環します

牛の寝床は循環します

牛が横になる時、床のゴム板(もしくはコンクリ)では痛いし居心地悪いので、朝晩2回、牛の下に麦稈を寝藁として敷いています。

小麦生産地だから大量にある麦稈十勝は小麦の一大生産地。収穫した後の麦わら(麦稈)を大きなロールにして酪農家は牛の寝床にします。

麦わらは英語でstraw(ストロー)と言いますが、実物を見て初めてなるほど! と思いますよ。

牛のう〇ちと共に畑に還る牛はすぐに寝床をう〇ちと共

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仔牛1頭、いくらでしょう?

仔牛1頭、いくらでしょう?

霜が降りた朝。
育成牛舎に入ってみると生まれてすぐの仔牛が尿溝に落ちてた(゚o゚;;

寒さでやられちゃうので大急ぎで牛舎に戻ってこの仔牛用ヒーターをオンに。

これ、数年前に導入された冬場に仔牛を乾かして暖めるためのもの。

生まれたホル♂は肥育農家へ今朝生まれたのはホルスタインの♂。
牧場では飼うことができないので、

10日ほどで体重が落ち着いてきたら肥育農家さんに引き取られて行きます。

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牛は寝ている時に仕事する

牛は寝ている時に仕事する

夏の間は搾乳が終わってもなかなか牛も体温が下げられず、立ったままとか落ち着かない様子だったけど、気温が朝晩一桁になってくると過ごしやすいらしくこうして寝転がっている牛が増える。

牛乳は寝ている時に作られる牛は立っている時ではなく、こうして床にゴロンと横になっている時に牛乳を体内で作っている。
だから、いい牛乳を沢山だして貰うには、餌を食べたら水を好きなだけ飲んでゴロンと横になるのが一番いい。

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旨い草、みーつけた。

旨い草、みーつけた。

いつもと違う牧草ロールを入れた直後、牛達が一斉に寄ってきた

左側奥の草は反対にほとんど食べない。

牛はグルメです牛の味覚はどうなってるかは知らないけど、美味しいものとそうじゃないものの見極めは的確です。

美味しい餌(=カラダにいい)はペロっと食べる一方で、不味い餌(=栄養価低い等)はあからさまに残します。

牛の胃は微生物の養殖場牛の胃の中には数え切れないぐらいの微生物が住んでいて食べた草を

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わたし、遊んじゃった♪

わたし、遊んじゃった♪

今朝、餌を牛舎で運んでいると外の暗闇の中に牛🐂。

すぐに耳標を見たら若牛だったのでその場で掴むのは諦めて餌やりを先に済ませてから追い込みをスタート。

若牛はすばしっこいので、遠くから挟み込んで元いた場所へ追い込んでいく。

勝手に鍵を開ける

この鍵、上に上げると外せるんだけど、どうやらこの鍵を自分であげて扉を開けたらしい。

ということで、鍵の周囲にビスを打ち付けて勝手に上げられないように

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スタッフは「休む」ことも仕事です。

スタッフは「休む」ことも仕事です。

牧場休みは基本的に週1。
一度体調を崩すと戻すのも大変なので休んで欲しい。

疲れたオーラは伝播する不思議なもので大きなため息や疲れたオーラを撒き散らすと本人が気づかないところで周囲の人達にも伝播してしまいます。

休める時は堂々と休め休んでいいと言われたらちゃんと休む。仕事は全力で向き合うものだし疲れた状態だと見落としなども増える。1人では無いので足りない部分はみんなでカバーできるものです。

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牛の角は切るのが一番

牛の角は切るのが一番

ここに並んでいるホルスタイン♀の子供達。
今からの運命も分からずに大人しく待ってくれてます。

大人への儀式=角切り

牛は、角があります。ホルスタインも。
子供の時にこうして角を切っておくことで、大人になった時に牛同士で喧嘩して相手を傷つけたり、人間に怪我をさせるような事がなくなります。
ただ、牛の角は、血管が通っているので切ると痛い(と思います)。
いままではずっと押さえたり、枠に運んだりする

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全頭検査始めます!

全頭検査始めます!

昨日は月に一度、乳質と乳量をチェックする乳検の日でした。

これは1頭ずつチェックするサンプルを取る容器。
計測器をミルカーに取り付け、1頭ずつ乳量をチェック(目視!)すると共にサンプル分の生乳をこの容器に取ります。

乳検で廃用候補や病気の牛を確かめるこの乳検では、前回分娩からの日数と共に乳量と乳質をチェックします。

乳量が少なく半年〜1年、次の妊娠ができない牛は「繁殖障害」ということで廃用候

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逃げた牛は「ひっ捕まえる」

逃げた牛は「ひっ捕まえる」

写真の牛は捕まってうなだれているところ(笑)

金具外れてとりあえず逃げたたまたま僕がみてた時に金具が外れて逃げたこの牛。 最初は牛舎を走ったり麦稈崩したりとやりたい放題でしたが、応援が1人来たので通路で挟み込んだ。
素の位置とは逆に動いて餌側に飛び出したので、意を決して牛のモクシ(紐)を鷲掴みにして無理矢理引っ張った。

力と気合のせめぎ合い力では絶対敵わないので、気合いで元に戻れるよう引っ張る

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今日は素直に乗ってくれました

今日は素直に乗ってくれました

酪農・乳牛は牛乳を出してナンボです。
そこは動物とは言え愛玩動物のペットと大きく違う点。

感情的には出したくない牛もこうして廃用にする時もあります。

10頭は積めそうな家畜車でやってきてくれる運転手さんが牛をひっぱり、僕はその後ろから追い込む役。

なぜ、廃用になったのか?
一度乳房炎になったこの牛。
治療して治ったんだけど、乳量がガタ落ちになった。
ただ、妊娠はしてたのでこのまま搾っていたら

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10万越えたらそれは、乳房炎のサイン(泣)

10万越えたらそれは、乳房炎のサイン(泣)

搾った牛乳は、2日に1回、6:30頃にやってくるタンクローリーで出荷されていきます。

この集乳車がやってくる頃は、朝、搾乳を無事に終えてほっと一息ついている事が多い時間です。

”体細胞数”は、白血球数の別名この写真は、2日に1回牧場に届く検査結果の数字。

体細胞数検査って何だと思いますか?
単位は1000/mlなので この数字だと110,000。

牛には乳房炎というのがあって、乳頭の先から

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仔牛を舐める母、放置する母。 牛それぞれ。

仔牛を舐める母、放置する母。 牛それぞれ。

夕方、牛舎に入っていつも通りに仕事を始めるといきなり仔牛(・・;)。

しかも耳標がついてるし。

どうやら少し前に生まれていたのに気づいた奥さんが耳標つけて運んだみたい。

仔牛はだいたい1時間くらいで立つ

生まれてすぐの牛は1時間くらいしたら自分で立ちます。

これ、自分で立って母牛のおっぱいに吸い付かないといけないので、自分で立つようになったんじゃないかな。

親牛に舐めてもらった仔牛は病

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脱走、脱走、また脱走(泣)。

脱走、脱走、また脱走(泣)。

写真は、無事先日収穫&サイレージが完了したデントコーン。

昔は縦型のサイロに入れてましたが、いまは頭数も増えたので、こうしたバンカーサイロに収穫したデントコーンを詰めてビニールシートで密閉して発酵させます。

獣医さんから連絡が・・・誰もいないお昼時。牧場の奥さんに”牛が逃げてたから追い込んでおいたよ”
と連絡があったらしい。

夕方、仕事をしていると、通路の隅っこになぜか牛のう○ちが・・・・。

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かわいい顔して頑固者

かわいい顔して頑固者

初産の牛で、最初はミルカーを付けられるのをビビる牛は少なくありません。

でも朝晩搾っているうちに慣れてくるのが普通。

ところが今回の初産牛。

まあ、うるさい。
首を上げて、ロープで縛り、脚を上げないようにする金具(キックノン)をつけてもうるさくて、2人がかりでミルカーをつけるだけでも大仕事。

つけてからもすぐに暴れたり体を寄せてくるので、非常に危ない。

本来だったら搾り切るところまで搾り

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