【短編小説 ルチアーノ -白い尾のオナガ- 9】Hollow 洞
9 Hollow 洞
梟《ふくろう》が巣立った後の木の洞を見つけ、ルチアーノは逃げ込むように中に入った。途中何度も木にぶつかり、茂みに突っ込んでぼろぼろになった翼をたたむ力はもう残っていなかった。隅に残された卵の殻を何とはなしに見ているうちに、巣にいた頃を思い出した。梟の巣はふかふかとして、母さんの羽の下で眠っていた頃に似ていた。
もう何も思いつかなかった。全部やったが、どれもうまくいかなかった。それにとても疲れてしまった。父さんと母さんに愛しい息子だと言われ、ルチアーノは