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短編小説『ルチアーノ -白い尾のオナガ-』麗野鳩子

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尾羽が白いオナガのルチアーノ。 尾羽を青くする方法を探しに旅に出ますが・・・・・・。 レトロでイタリアンな作品になったと思います。 (全10回、約10,300字)
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9 Hollow 洞 梟《ふくろう》が巣立った後の木の洞を見つけ、ルチアーノは逃げ込むように中に入った。途中何度も木にぶつかり、茂みに突っ込んでぼろぼろになった翼をたたむ力はもう残っていなかった。隅に残された卵の殻を何とはなしに見ているうちに、巣にいた頃を思い出した。梟の巣はふかふかとして、母さんの羽の下で眠っていた頃に似ていた。 もう何も思いつかなかった。全部やったが、どれもうまくいかなかった。それにとても疲れてしまった。父さんと母さんに愛しい息子だと言われ、ルチアーノは

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【短編小説 ルチアーノ -白い尾のオナガ-】あとがきにかえて(短歌)

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