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遊戯王関係とそれ以外で分けるか悩み始めている
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#エッセイ

露出狂との遭遇

家を出てものの数分、久々に露出狂に出会った。

彼はこちらをじっと見据え、少し思い悩んだのち、思い切って上着を開いたようだった。

もしかしたら彼にとって此処は初の露出の舞台なのかもしれない。
人間何事にも初めてというものがあるが、今まさに私は彼の初舞台へと舞い降りてしまったようだ。

それにしても、露出狂に遭遇するのは何年ぶりだろうか。
ここら辺にはもう生息していないと思っていた野生動物を久々に

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大人の言葉が子供達を追い詰めた話

子供の頃、他の子が嫌がっているのにも関わらず、変なあだ名で呼び続ける子がいて困っていた。

皆で集まり、どうして嫌がっているのにその呼び名で呼ぶのかと先生が聞いたところ、要約すると「自分が呼ぶ名前には深い意味はなく、相手を馬鹿にするものではない。自分は呼び名や名前にこだわりがない」とのことだった。

「自分の名前をとても大切に思っている者もいる」
「相手が不快だと分かっている呼び方を続けるのはよく

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夜道で声を掛けられて振り向いたら血の気が引いた話

知人の敷地の草刈りの手伝いに行った。
辺りが暗くなったので、最後に草置き場へ多めに運び今日の作業を終わらせる事にした。

知人が草をまとめている間に先に運んでいると、犬の散歩中の女の子が街灯の下で自転車の男に執拗にナンパされていた。
明らかに困っていたので身内のフリをし「そこで父が待っているから早く一緒に来るように」という程で女の子に声をかけた。

しかし、私は背に草の溢れる籠、腕に大量の剥き出し

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サンプル品を触ったら思いも寄らない怖い目にあった話

個人経営の小さな家電屋に来た。
店内を見回すと子供の頃に欲しかった押すと国名を音声で流してくれる地球儀があった。

私は懐かしくなりオーストラリアを押したが、壊れているのか音は鳴らなかった。
すると、見知らぬオヤジが入店し、すぐさま店主に向かい「商品の置き方が紛らわしくて音の出ない普通の地球儀を買ってしまった、さらにサンプルで展示されている物も音がならなかった」と怒り始めた。

その間も私は諦めき

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なりすましの電話によって思いもよらぬ被害を受けた話

実家に電話が掛かかってきて母が応対した。
私の旦那が電車で女性を触り示談金などを払わなければならなくなり、これからの子供に掛かる費用の事もあるので、取り急ぎいくらか貸して欲しいとの内容だった。

「私一人の収入じゃどうにも出来ない…」
と、電話口の私は声を震わせた。
母は「やーこ大丈夫?」と心配した。
そんな母の横で、私はシャツを顔まで被ったカオナシのような姿で神妙にその会話を聞いていた。

私が

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苦情を言われて丁寧に対応したら裏目に出て怖い事態を招いた話

知り合いの店の手伝いに行き、店主と私とアルバイトの木村で店に立った。

そこで教科書に載るような見事なご婦人クレーマーに出会した。

店主は他のお客様の対応に追われている為、私が餌食となった。話を聞いていると
「あなた、ちょっと!」
と、更に後ろから新たなクレーマーが現れた。
クレーマー達に挟まれてしまった。
オセロであったら色が変わるところであった。
突如変色しだした私を見れば、クレーマーといえ

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スマホの調子が悪くなり調べて貰いに行ったら恐ろしい事になっていた話

最近調子が悪いとは思っていたが、ついにスマホのSiriが私の呼びかけを無視する様になった。
こちらの声を拾いきれていないらしく、通話も怪しい状態となってしまった。

絶望的な気持ちになりながら、朝早くにショップへ行くと店員に怒鳴っている客がいた。
私がカウンターに案内されると、「他のお客様もいますので、お声を少々落として…」と、その客に対応していた店員が気を遣ったが為に、客の怒りがこちらに飛び火し

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男が玄関に入ってきて悲鳴を上げた話

引っ越し当初、まだエアコンを設置していない寒い部屋で私と母は凍えていた。

なんとか耳だけはいつもの防寒対策で暖かくできたのだが、部屋自体は寒く電気ストーブなどで寒さを凌ごうとしたがどうにもならず、暖をとるため当時飼っていた犬の取り合いにまで発展した。

人間のあまりの愚かさに嫌気がさしたのが、犬は深いため息を吐くと自分の小屋に入ってしまった。

愛犬に見捨てられてしまった……と、悲しみに暮れた私

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