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【訪問リハビリ会話術】意欲を維持するために必要な目標設定時の会話!

訪問リハビリに限らず、セラピストと利用者さん(病院であれば患者さん)やその家族と一緒に、生活での困り事の解決、希望の実現のために”目標設定”を行います。

例えば、下肢骨折後に自宅退院し、屋外でもスムーズに歩けるようになりたいと希望されていた利用者さんがいたとします。

セラピストは、自宅から最も近くにあるコンビニエンスストアまでの往復400mの屋外歩行ができるという目標を設定しました。

目標達成に向けてリハビリを取り組んできましたが、歩くと足が重い、腰が痛いなど症状が出始めると、屋外での歩行練習を拒否させれるようになりました。

現状では、自宅での関節運動、筋力向上運動を中心にリハビリを行い、歩行練習への意欲は低いままです。

上記のように、利用者さんやその家族の意向やニーズを聴取し、セラピストの知識と経験をもとに目標設定を行ったのに、ドンドン利用者さんの意欲が下がっってしまい、困ったことはないでしょうか?

今回は、リハビリ意欲を維持するために必要な目標設定時の会話のポイントについて紹介します!


リハビリ意欲が下がる目標設定とは?

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そもそも、リハビリをすることで現状よりも良くなる未来=目標であるので、目標設定をすることで、努力したり、現状の行動を変えたり、活動的になりそうなものです。

しかし、目標そのものが利用者さんにとって最善かつ有意義でない場合には、意欲を低下させてしまいます。

私は、多くのセラピストが目標設定時に、利用者さんのニーズの聴き方が足りないと感じています。。。

セラピストの多くは、「利用者さんに失敗体験をさせたくない」、「始めから無茶な目標を設定してしまうと落ち込んでしまう」、「小さな目標を少しずつクリアしていくことが最善」のような思い込みがあると思います。

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リハビリの目標設定が、セラピストにとって都合が良いことになっている場合が多いのではないでしょうか?

例えば、上記の例の下肢骨折後に自宅退院し、屋外でもスムーズに歩けるようになりたいと希望されていた利用者さん。

目標が「自宅から最も近くにあるコンビニエンスストアまでの往復400mの屋外歩行ができる」でした。

この目標の”自宅近くのコンビニエンスストアまで”という距離設定は、セラピストにとって都合が良く、利用者さんにとっては無意味である可能性があります。

仮に、「コンビニまでまずは歩きましょう」とセラピストから言われても、その場所へ行くことに気持ちの高ぶりがない利用者さんであれば、ドンドン意欲が下がると思います。

つまり、目標の中に、利用者さんの意向、思考以外の言葉は存在しない方が良いと考えます。

それでは、リハビリ意欲を維持するためにどのような目標設定をすれば良いかについて、以下で紹介します!


意欲を維持するために必要な目標設定時の会話

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リハビリ意欲を維持するために必要な目標設定では、利用者さんの意向、思考を詳しく聴取する会話が重要になります。

つまり、「リハビリをしてどのように生活したいですか?」、「解決したい困り事は何ですか?」のようにニーズを問いかける質問をしたら、その返答を掘り下げて、堀り下げて、利用者さんの思いまで聞くことがポイントです。

利用者さんの思いまでに聴取するために、効果的な会話は、「なぜなぜ法」になります。

「なぜなぜ法」とは、トヨタ式生産方式の中で紹介されている小さな無駄を削るために行う方法なのですが、意欲を維持するためにも有効であると言われています。

この「なぜなぜ法」を用いて利用者さんの意欲を高め、その瞬間に作られた目標をその都度確認するようにするだけで、意欲を維持することができます。

例えば、下肢骨折後に自宅退院し、屋外でもスムーズに歩けるようになりたいと希望されていた利用者さんの場合。

「なぜ、屋外でもスムーズに歩けるようになりたいのですか?」と問います。

「入院前に日課にしていた散歩をもう一度したいから」と返答されたとします。

さらに、なぜなぜ法を進めます。

「なぜ、散歩をしたいのですか?」

この”散歩”を再開したいにまつわるエピソードが利用者さんの思いになります。

この思いを汲み取り、以前に行っていた散歩コースの話をしたり、散歩していた時間帯の話をしたりしていくと、より利用者さんにとって有意義な目標設定ができると思います。

今回紹介した右大腿骨骨折の利用者さんは、私の担当していた利用者さんのエピソードであり、この時の目標は、「毎朝、妻と一緒に〇km散歩できる」と設定し、リハビリでは散歩コースを少しずつ歩く練習を行いました。

「なぜなぜ法」は、一見しつこくて、無意味な質問のように思われるかもしれませんが、実際に行うと、「歩けるようになりたい」というニーズを一つとっても、利用者さんそれぞれで思いが違うことに気付かされます。

是非、試してみてください!


まとめ

今回は、リハビリ意欲を維持するために必要な目標設定時の会話のポイントについて紹介しました。

目標設定の際に、「利用者さんに失敗体験をさせたくない」、「始めから無茶な目標を設定してしまうと落ち込んでしまう」、「小さな目標を少しずつクリアしていくことが最善」のようなセラピストの思い込みを入れてしまうと、利用者さんの意向、思考と異なる目標を設定してしまい、リハビリ意欲を低下させてしまう可能性があります。

目標は、利用者さんにとって最善かつ有意義であれば良いと考えます。

そのため、「なぜなぜ法」を用いて、利用者さんのニーズを深掘りし、思いまで聴取してから、目標を設定してみましょう!

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そうすることで、利用者さんにとっての大切な目標になると思います。

大きすぎる目標を立てて失敗しても、セラピストが一緒に乗り切るようにそばでサポートできるのが、訪問リハビリの醍醐味と思ってます!

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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