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【訪問リハビリあるある】できるようになっても、生活ではなかなかやってくれない。そんな利用者さんへの声かけの工夫!

訪問リハビリでは、困難になった生活動作を評価、練習、助言を行いながら、生活の中で利用者さん自身でも行えるように関わっています。

練習を重ねることで、困難だった生活動作ができるようになっていきます。

利用者さんだけでなく、セラピストとしてもうれしいことなので、訪問リハビリ以外の時間でも挑戦してみるように提案すると思います。

しかし、多くの利用者さんは、実生活で挑戦=行動に移せない方が多い印象です。

この時、利用者さんからは、「やるのをすっかり忘れていた。」、「まだ、1人でやるのは不安。」などのような言い訳をされて困ったことはありませんか?

私は、「なんて声をかければ自主的に行動に移してくれるのか?」と良く悩んでいました。

今回は、訪問リハビリの利用者さんができるようになったことを実生活でも自主的に行うように仕向ける声かけの工夫を紹介します。


セラピストがやりがちな声かけ

訪問リハビリでの練習の結果、困難だった動作が何とか自立した場合、セラピストは実生活でも行ってみるように声かけしていきます。


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例えば、リハビリでズボンの上げ下げができるようになった利用者さんがいたとします。

その時に、セラピストがやりがちな声かけは以下のようになると思います。

「ズボンの上げ下げができるようになりましたね。もう1人でもトイレに行けそうですね。1日1回ほどは、リハビリ以外の時間にやってみてください。」

1日1回から始めるという具体的な内容の指示でベターであるように思われます。。。

しかし、このやりがちな声かけでは、自主的に実生活で行ってくれる利用者さんは少ない印象です。

ある工夫することで、自主的に行ってくれる確率を高められます。

以下に2つの声かけの工夫を紹介します。


声かけの工夫 ①

1つ目の工夫は、「できそうかどうかを尋ねる」になります。


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リハビリでできるようになった生活動作は、実生活でもできそうかどうかは尋ねた方が良いと考えます。

リハビリの時間に成功体験をした場合、利用者さんは喜びの感情を抱いているはずです。

このような気分が良い時には「YES」を引き出しやすくなります。

つまり、「リハビリ以外の時間でも、1人でできそうですか?」と尋ねると、「できる」もしくは「できそう」という返答が得られやすいです。

利用者さん自身に実行する意思を言葉にしてもらうことで、自主的に行動に移しやすくなります。

これは、心理学の「一貫性の法則」が働く為です。

人間は、無意識のうちに自らの行動や発言を貫き通したいという心理に基づいて行動してしまいます。

このことを、「一貫性の法則」と言います。

一貫性の法則とは、無意識のうちに自分自身の発言を貫きたいという心理作用になります。

利用者さんが自主的に行動するように仕向ける場合には、セラピスト主導で進めるのではなく、利用者さん主導にあるように声かけすることが大事になります。


声かけの工夫 ②


2つ目の工夫は、「利用者さんを〇〇な人と伝える」になります。


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利用者さんに自主的に行動を促す場合には、利用者さんのアイデンティティをくすぐることが有効になります。

方法としては、行動を促すために動詞で伝えるのでなく、〇〇な人のように名詞で利用者さんを特徴づけてあげることになります。

例えば、リハビリでズボンの上げ下げができるようになった利用者さんがいたとします。

この利用者さんに対しては、下記のように声かけします。

「今の利用者さんなら、1人でトイレに行ける人ですね。」

このように、セラピストが利用者さんを「1人でトイレに行ける人」と特徴づけることをレッテルを張る=ラベリングと言います。

人間は、その人の性格特性によるものではなく、周囲からのラベリングによって行動パターンが形成される心理があります。

例えば、利用者さんから「いつも髪をきれいにしてますね。」なんて言われてしまったら、その日をきっかけにいつも髪をきれいにしておくようにしてしまうようなものです。

利用者さんが自主的に行動するように仕向ける場合には、セラピストが利用者さんをラベリングするように心がけましょう。


声かけの工夫 ③

3つ目の工夫は、「やるかやらないかは利用者さんに任せる」になります。


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セラピストが、リハビリでできるようになった生活動作を実生活でもやってほしい場合、頻度についても具体的に提案しがちであると思います。

しかし、これは、利用者さんの自主性をくすぐりにくいです。

自主性とは、自分自身で決断して行動することになります。

そのため、利用者さんに行動に移してほしいことであればあるほど、自己選択の余地を残した方が有効です。

例えば、リハビリでズボンの上げ下げができるようになった利用者さんがいたとします。

この利用者さんに対しては、下記のように声かけします。



「ズボンの上げ下げができるようになりましたね。もしかすると、1人でもトイレに行けるかもしれませんね。やってみるかどうかはお任せしますが、やった時には教えてくださいね。」


利用者さんが自主的に行動するように仕向ける場合には、「やるかやらないかは利用者さんに任せます。」と一言添えて自由意志を尊重してみましょう。


まとめ

今回は、訪問リハビリの利用者さんが困難だった生活動作ができるようになっても、なかなか実生活でやってくれない時の声かけの工夫について初回しました。

まとめると、具体的な提案や指示を伝えるのではなく、利用者さんの無意識に働きかけるような声かけをすることで、自主性をくすぐる声かけになります。


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今回紹介した3つの声かけの工夫は、下記になります。

①「できそうかどうかを尋ねる」
利用者さんが気分の良い時に「できる」もしくは、「できそう」と発言させることで行動に移しやすくする。

②「利用者さんを〇〇な人と伝える」
利用者さんを「〇〇な人」と特徴づけることで行動に移しやすくする。

③「やるかやらないかは利用者さんに任せる」
利用者さんの自由意志、自己選択の余地を尊重することで行動に移しやすくする。

上記の工夫を活用して、利用者さんの行動が変わるか、試してみてください。

やるか、やらないかはお任せしますが、利用者さんの無意識を考慮することができれば、訪問リハビリのコミュニケーションの悩みも減るかもしれません。

最後まで、読んでいただきありがとうございます。

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