【新連載:はたらくひとのウェルビーイング】<1>ストレスとの付き合い方
本日よりはたらく人の健康を現場でみまもり続ける産業医であり、合同会社ひとしずくメディカルスーパーバイザーの丸山崇先生による新連載がスタートします。
第1回目はストレスがテーマです。
はたらくひとの多くが抱えておられるストレス、そのメカニズム、そしてストレスとの向き合い方を沢山のの働く人をみつめてこられた産業医のお立場で解説いただきました。
皆様の明日に役立つ情報になりますように。
はたらくひとのウェルビーイングをヨガで実現したい、という想いで事業を展開する合同会社ひとしずくより、必要な方へ、願いを込めてお届けします。
ストレスとの付き合い方
みなさんに「ストレスはありますか?」「ストレスを抱えていますか?」と質問すると、ほとんどの方が「はい」「あります!」と答えます。
中には、
「とても大きなストレスを抱えています」
とか
「ストレスに押しつぶされそうです」
と切実に訴えてくる方もいます。
我々はストレスの中に生きていると言ってもいいぐらい。
しかも、最近の社会は、先の見えない予測不可能な世の中(VUCA worldと言われます。)になり、ますますストレスの多い社会になっていると言われています。
我々が日々大きな影響を受けている、この「ストレス」について考えてみましょう。
ストレスとは何か?
まず、私たちが「ストレス」といった時、何を指すのでしょうか?
ストレスには、ストレスの原因「ストレッサー」と、
それによって起こる反応「ストレス反応」があります。
「ストレッサー」が我々の心や身体に反応して、「ストレス反応」を起こします。
「大事なプレゼンがあり、ドキドキする」
といった時、ストレッサーは「大事なプレゼン」で、「ドキドキする」というのがストレス反応になります。
まずは、「ストレッサー」と「ストレス反応」の仕組みを整理して考えることが必要です。
自分のストレッサーは何かを知る
まず、自分に影響を与えている「ストレッサー」は何か?を知ることが大事です。
ストレッサーを確認することで、ストレッサーを取り除く対処方法が見えてきます。
また、小さなストレッサーに、過剰に反応している自分に気づくこともあります。
「あなたに影響を与えているストレッサーは何ですか?」
「そのストレッサーの中で一番大きなものは何ですか?」
これを、冷静に考えてみましょう。
ストレッサーで一番多いものは?
厚生労働省の調査によると、ストレッサーとして一番多いものは、
人間関係(41.3%)
仕事の質(33.1%)
仕事の量(30.3%)
となっています。
その他、将来への不安、給与などの経済的問題などが続きます。
確かに、「人間関係」が一番大きなストレッサーになることは、うなずけます。
多少、仕事がきつくても、仲間に恵まれていれば、乗り越えていけることもあります。
反対に、仕事の内容は大したことがなくても、嫌な同僚や上司がいる職場では、イライラしたり、落ち着かなかったり、やる気が湧かなくなることもあるでしょう。
自分に影響を与えている原因であるストレッサー、自分の心と身体が反応しているストレッサー
まずは、このストレッサー(ストレスの原因)を見つめて、ストレッサーを観察してみることが、過剰なストレスを軽減し、ストレスと付き合っていく最初の一歩になります。
ストレッサーに反応する心と身体
次に、ストレッサーに影響を受けて我々の心や身体に起こる「ストレス反応」について見ていきましょう。
我々の心や身体は、周りの環境に常に反応をしながら生きています。
明日テストがあり、眠れない、、、
「眠れない」という体の反応は、一つのストレス反応です。
ここで、大前提として、ストレッサーに反応すること自体は「正常な生体反応である」と思ってください。
しかし、この反応が長期に続いたり、あまりに大きな反応を起こす場合に、様々な問題が起こってきます。
ストレス反応の出かたには、3つの面 があります。
一つ目は、
「心理面」です。
イライラする、不安になる、気分が落ち込むなどの主に心の反応が出てきます。
二つ目は、
「身体面」です。
頭が痛い、眠れない、胃が痛い、食欲がわかないなどさまざまな症状があります。
三つ目が、
「行動面」です。
仕事でのミスが増える、過食になる、飲酒量が増える、事故を起こすなどです。
これらの、ストレス反応は、自分では気づいていないこともあります。
年度末になるとなぜか胃の調子が悪くなる。。。
あの上司と一緒に仕事をし始めてから、食事やお酒の量が増えて、体重が増えている。。
自分では気づかなくても、あなたの心や体は反応しているのです。
反応には個人差がある
このストレス反応の出かたには、個人差があります。
あなたは、ストレスを感じた時にどのような反応が出やすいですか?
それを知っていれば、ストレスに反応している自分に早く気づいて、早期対応が出来るようになります。
心や身体の反応に気づく
自分の心や身体に何らかの反応が出ていると気づくためには、どうすればよいでしょうか?
それは、毎日「自分の心と身体を観察しておく」ことです。
毎日、自分に向き合う時間を持っていれば、いつもの自分と違うことに気づきやすくなります。
瞑想や日記などの方法もありますが、「ヨガ」もその一つです。
毎日、ヨガを行うことで、「今日は調子がいいな」とか「今日は身体が重いな」など、その日のコンディションの気づきにつながります。
ヨガを習慣化している人は、自分の変化に敏感になっていきます。
変化に気づけは、行動につながります。
ヨガは、自分の身体に向き合い、自分を知る時間でもあるのです。
ストレス対処は、まず、自分に気づくことから!
その一つとして、ヨガの習慣化をお勧めします。
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ストレスとの付き合い方、難しい面もありますがまず気づくことが大切。気づくことからからスタートしてみてはいかがでしょうか。毎日の運動習慣でご自身のコンディションを見つめてみませんか?
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コラム著者:丸山 崇 氏
産業医科大学准教授 専門:睡眠生体リズム、産業医学
2001年産業医科大学医学部卒業。脳神経外科レジデントとして臨床研修をおこなった後、産業医として、旭化成(株)、新日鐵住金(株)等で企業従業員の健康管理業務を行う。2014年よりスタンフォード大学睡眠生体リズム研究所客員研究員として睡眠とスポーツパフォーマンスの研究などに従事。2018年より産業医科大学医学部准教授。脳内ホルモン(バゾプレッシン、オキシトシン)やストレス反応、睡眠生体リズムの生理機構に関する研究に従事している。
スタンフォード留学中にSearch Inside Yourself(Googleが採用しているマインドフルネスプログラム)やスタンフォード大学CCAREのCompassion Cultivation Trainingなどのコースを修了。また、スタンフォード大学マインドフルネス教室で知られるスティーヴンマーフィー重松先生のワークにも参加。現在は、医療従事者向けのマインドフルネスワークショップなども行っている。
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