事務所勤務_夜イベント編

何かもっと明るく書く予定だったはずなのだけど、なかなか暗くなっている事務所編

一つ伝えたいのは、私はこんなに頑張っていた!こんなにできる!と言いたいわけでは決してない。ただ素直に全部話そうとすると、なかなか言いづらい事があり、それを隠しながら書くと、自分のやってきた事のみにフォーカスしなくてはいけなく、隠そうとする部分が結果暗い感じの書き方になってしまう。どうしたものか、と思っているけど難しい。


この辺で、自分の所属部署ではなかったからこそ、少しライトに書ける夜イベント編を挟もうと思う。

事務所では小さい規模の夜イベントを月に6回ほど、大きい箱での夜イベントを月に1回行っていた。小さい規模の夜イベントに駆り出される事はなかったが、大きい箱での夜イベントには何度か駆り出された。

ちなみに夜イベントと書いたが、正式には深夜のクラブイベントだ。通常のライブイベントのように18時開場・19時開演のものは昼イベントの概念だ。時間軸がイッちゃっているかもしれないが、ご理解頂きたい。

入ったばかりの頃は関係者受付を手伝うくらいで、特に中でバタバタと動く事はなかった。オゾン・スパイラルで関係者受付を捌いていた事が役に立った。

新木場にあるageHaというクラブの外での関係者受付で、真冬だったのでキンキンの海風に曝されて凍え死ぬかと思ったが、ひっきり無しに人が来たので、慌ただしく凍え死ぬ事もなかった。みんなであったかい缶コーヒーを買って、握りしめていた。

途中からは、私がマネージャーをしていたCDデビューする女の子もクラブイベントでパフォーマンスさせてもらう事も多く、その兼ね合いで少し中を手伝ったりした。

ageHaの出演者楽屋の中にあるバーでは、よくドリンクを作った。氷を張ったどぶ漬けに手を突っ込むので腕はびしゃびしゃ、手は鏡月まみれだったけど、それでもお酒が飲めない私にとって、飲まされる事を回避できるバー内が一番安全地帯だった。オゾン・スパイラルで働いていて良かったなぁ、とここでも思った。

そして、たまに遊びに行く事もあったが、言うても業務的にはこのくらいしか思い出がない、夜イベント編。

一つだけ、仕事に関する事ではないが、CDデビューした女の子のマネージャーをしている時に、クラブで起きた事が一番鮮明に覚えているので、その話をしたいと思う。

クリスマス近辺のある日。私とその子は、その子の故郷である沖縄でのライブの為に沖縄へ向かう事になっていた。1ヶ月半前から決まっていたので、チケットも取り準備していると、社長から「この日ageHaのイベントあるから、沖縄から戻ってきて出演しなよ」と言われた。

ageHaに出演できる機会というのは新人アーティストとしては貴重だったので、その子とも相談して、ライブ後最速で東京に戻れるチケットを手配し、1日の間に沖縄と東京でライブする事になった。

朝5時に集合して羽田から沖縄へ、地元のピアニストの方とリハーサルをして、準備をして夕方に本番、終了後すぐに空港に向かい、そのまま羽田へ。新木場に向かう途中、私達は少々ハイになっていた。何故ならこれからまだ本番がある。

「はー、世の中クリスマスですねー」なんて言いながら、その日のセットリスト(曲順)を話したり、私に彼氏がいない事を話しながら新木場に向かった。彼女は、私に彼氏がいない事をずっと心配していた。

そして、ほぼ何も食べずに飛行機に乗ったので、お腹が空いていた。私達は着いて早々にリハーサルをして軽く打ち合わせを終えると、飲食ブースにご飯を食べに行った。

ageHaはもちろんのように、クリスマスの装飾がされていた。飲食ブースは野外に設置されていたが、テントと簡易ハイテーブルが並べられ、電飾がキラキラとしていた。

オープンして間もなかったので、お客さんはまだ全然いなかった。関係者受付の時にも書いたが、新木場の野外でしかも真冬だと、海風も相まってキンッキンに寒い。テントの中には暖房器具もあったが、全然寒かった。恐らく酔っ払っていたらちょっと寒いくらいなのだろうが、我々はシラフだった。

その子はモコモコのコートを着て、私はヒートテックにヒートテックパンツにボアブーツ、沖縄に行く時は丸めて仕舞っていたシワッシワのウルトラライトダウンを羽織って、食事を貪り食べていた。

その間もどうしたら私に彼氏ができるか話をしていたのだが、私は目の端に映る、ある事に気づいた。

ミニスカのサンタ女子が、暖房器具の前に立っている。彼女は完璧なミニスカサンタスタイルで居た。ミニもミニ中のミニ。何なら袖も長袖ではなかったような気がする。特に何をする事もなく、ただ震えながら立っている。完全なナンパ待ちだった。

今一度この時の設定を伝えるが、新木場の12月のほぼ野外・海風でさらに下がる体感温度・オープンして間もないので、まだ人はかなり疎らだ。

恐らくオープンと同時に入店して、トイレで準備して、今そこに立っている。


気合いが違う。


覚悟が違う。


私はその子に「ミニスカサンタさんがいる」とだけ伝えた。その子も私の視線の先の彼女に気づいていたようで、私と目を合わせ、自分達の格好を上から下まで見て、少々無言の時間が続いた後、私たちは言った。

「ダメだ!!笑、すみませんでした、彼氏欲しいなんて軽々しく言って。そりゃ彼氏いないだろうよ笑!すみませんでしたぁぁぁぁぁ!」

「ハタノさん、仕事頑張りましょう!私今夜も頑張ります!」

示しを合わせたように、全てを語らず全てを同時に悟った。その後我々はレッドブルをキメて、ライブ出演を乗り切った。


ライブも無事に終わり、睡魔がピークを迎えんとする時。

我々はあのミニスカサンタさんが、男性と一緒にいる所を見た。そして、またお互いに示しを合わせたように

「良かったですねー。。。!」

「本当に良かった。。。!メリークリスマス!」と言い合った。


何の話?


ハタノ












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