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日経短観とはなんだ~経済指数を学ぼう~

新聞やニュースなどを見ると、景気が良くなった・悪化したとか、株価が上がった・下がったとか日々流れていますよね。色々な理由がありますが、よくある要因に「経済指数」「経済指標」というものがあります。国内外の様々な組織が、定期的に国や地域の経済動向をデータ化・レポート化して公表しているのですね。今の景気を表す公式記録として認められており、発表されるごとにビジネスパーソンは敏感に反応し、自分の経済活動の参考にしています。ただ、今まで学校で学んだことがある人もかなり少ないと思いますし、意外とチンプンカンプンの方も多いのではないでしょうか?このブログでいくつか代表的なものを取り上げて、解説していきたいと思います。今回はその一発目。日経短観をご紹介いたします。

民間企業が感じる景況感を反映したのが日経短観

日経短観は「全国企業短期経済観測調査(ぜんこくきぎょうたんきけいざいかんそくちょうさ)」の略。日本の中央銀行である日本銀行が3カ月に一回公表している統計調査です。これまたお役所である総務省・経済産業省が管轄している、日本の企業情報を調査する「経済センサス」という調査機関があるのですが、そこが管理している情報をベースに、資本金2000万円以上の民間企業から毎回約1万社を抽出し、さらに手前で調査協力の承諾を得られた企業だけに電話・オンラインで質問し、回答が得られたものを集計し、公表されます。毎年3月、6月、9月、12月に調査を実施し、次の月の初め(12月のみ当月中旬)に結果がオープンになります。1万社あれば日本の企業景況感を表す情報としての信頼性が増しますので、オープン直後は株価が大きく動きやすくなります。日本の重要な経済統計の1つとして国内・国外からも注目されています。

各企業の「良くなった」「悪くなった」の数を比較した『D.I.』が最も注目される情報

短観は、3ヶ月に一回、こちらのように公表されます。

https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2021/tka2203.pdf

こまか。。。

かなりのページ数の資料が並び、数字が羅列された表が続きます。ぶっちゃけかなり見にくいです。ご安心ください。一般の方でも分かるように、こんな感じで要旨をまとめてくれたページもあります。

だいぶすっきり

要約されたものは、基本的に人の主観が入ったものですから、いずれはデータで読み取れるようになりたいものですが、拒否反応が起こってもよくないですから(笑)、まずは要旨でざっくり理解するところから始めていくとよいでしょう。

この短観の中で、最も注目すべきは、業況判断D.I.(Diffusion Index/ディフュージョン・インデックス)です。調査対象企業に、最近(回答した時点)と先行き(今後3ヵ月の見通し)の「収益を中心とした業況全般」についての感覚を申告してもらうのです。選択肢は「良い」「さほど良くない」「悪い」の三つ。この回答結果を集計したものがD.I.として算出・公表されます。集計方法は面白く、例えば、回答者の割合がそれぞれ、「良い」30%、「さほど良くない」50%、「悪い」20%であった場合、D.I.は30-20=10と計算されます。良い・悪いの引き算で、プラスなら「良いと考えている企業の方が多い」、マイナスなら「悪いと考えている企業の方が多い」という判断でできますので、業況判断D.I.がプラスであれば景気は良い、マイナスであれば景気は悪いと判断されるのです。ちなみに、レポートでは、大企業・中小企業でも分類が分かれています。

景況感の推移も、D.I.の変化で読み取れる

短観のもう一つの興味深いのは、D.I.の前後比較ができることです。

3ヶ月前の数字から引き算される

上のように、3か月前に行った調査のD.I.と、直近のD.I.を比較して、プラスなら「より景気が良くなった」、マイナスなら「より景気が悪くなった」ということになります。D.I.自体はプラスなので、景気が良いと感じる企業の方が多いはずなので、数字自体が前回から下がっただけで、「景気が良いと感じる企業が減ってきた≒景気悪化の兆候が見える」という見方をする人も出てきますので、それこそ株価にも影響が出たりします。

こんな風に、1つ1つの企業からのヒアリングの総数で景況が調査されますので、手触り感のある情報といえます。だからこそ色々なビジネスパーソンが参考にするのですね。

短観では他にも、「需給・在庫・価格判断DI」「売上高」「経常利益」「売上高経常利益率」「設備投資額」「ソフトウェア・研究を含む設備投資額」「生産・営業用設備判断DI」「雇用人員判断DI」「資金繰り判断DI」「金融機関の貸出態度判断DI」「借入金利水準判断DI」「CPの発行環境判断DI」「企業の物価見通し」「海外での事業活動」と、色々な情報が目白押しです。最初は抵抗感が強いかもしれませんが、どれも、関わる業界・企業にとっては大事な情報です。
まずはじっくり一度目を通してみましょう。


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