むかーしむかし あるところに くろいおおかみがおりました おおかみは あかいひとみが とてもきれいでした
おんなのいるせかいは とてもしずかだった きぎが ある かわが ながれる かぜが ふく それだけでも おと はする なのに、おんなのまわりは おと がしなかった
くろいおおかみの けいやくを うわがきして くろいおおかみに じゆう をあたえた 「……じゆうというのは わたしにひっついていることではないわよ?」
ないはずの 「こころ」というものが うごいた 「おや、わたしとおなじ ひとみ なんだね」 おんなは とても つよかった
「のろいをはこぶ くろいおおかみ わたしに なにかごようかしら?」 ばらのように つきのように ほほえむおんな くろいおおかみの しょうたいを しっていても おそれず ほほえむ きじょうで つよいおんな
くろいおおかみとは すこしちがう あかいひとみ こきゅうをわすれるほど みいっていた
「はじめまして」 すずのなるような こえ 「なにか ごよう? しっこくの おおかみさん」 ほほえんだおんなに くろいおおかみは おとこの めいれいをわすれた
くろいおおかみを めのまえにして さけんだり おびえたり おこったり にんげんは とてもさわがしい でも いま めのまえにいる くろかみのおんなは ちがっていた おびえも いかりも なにもない ただ しずかに くろいおおかみに ほほえんだ
もりのなか ひとり すんでいる くろかみのうつくしいおんなは とてもしずかだった
とあるひ くろいおおかみは くろかみのうつくしいおんなを きずつけろ とめいれいされました
おとこは くろいおおかみに なんども なんども ひとをきずつけさせました なにも かんじずに くろいおおかみは おとこに したがいます
とあるおとこに つくられた くろいおおかみ だれかを きずつけるために うまれたことを しっていました それでも くろいおおかみは なにも かんじずに そんざいしていたのです