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モノクロからの孵化

 白と黒の織り成すこの世界は、どこまでも色褪せ私と分かり合うことはできない。
 そう思っていた。

 永きときをひっそりと生きて、たった一人でこの世を歩く。
 生きることこそが、地獄のような苦しみに苛まれもがいて……でもそれでも生きていく。

 この世界の最期まで、見届けようと決めた。
 どこまでも優しくない現実は、絶望ばかり。
 今や空を見ても木を見ても、色合いなんて感じられない。
 そんな心の余裕なんかなかった。

 キミが現れるまでは。

 ひと目見たとき、この世界は華やかに魔法のように色付いたんだよ。
 そばに居てくれないだろうか?
 キミの笑顔を見ていると、この世界にも七色の光を見いだせそうな気がするんだ。

 どうか、そばにいて欲しい。

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